教えて!肝斑というシミの真実
「肝斑(かんぱん)」はまだまだなじみが薄いシミですよね。でも「シミ」といえば「肝斑」のこと—いわば「肝斑は元祖シミ」と考えている皮膚科医も多く、肝斑で病院を訪れる人も少なくありません。
外来では、肝斑であることを知らずに悩んでいるという方を多くお見受けします。特に肝斑は左右対称に広がるため、女性に与える精神的ダメージがとても大きいといった特徴があります。ですが、これからは肝斑について正しい知識を身につけていただき、もう肝斑に悩まないでほしいと思います。残念ながら、シミで皮膚科医に行ってみようと考えてくださる方はまだまだ少ないのが現状のようです。ですが、皮膚科は皮膚の病気を診るだけでなく、健康で美しい肌を維持するための役割も担っているのです。シミで気軽に皮膚科に来ていただけるようになればいいな・・・と考えております。
肝斑が、他のシミと違うところは、内服薬で治療の成果が表れること。肝斑と診断したら、トラネキサム酸を処方して治していきます。
もし肝斑が疑わしいとかシミに悩んでいるのなら、治療を始めることをおすすめします。シミを治すといっても、種類によって治療法はさまざまだし、またその人のシミのタイプなどによって、改善したときの実感も異なります。行動を起こすことが、肝斑治療の大事なステップです。皮膚科専門医で診断してもらったり、また薬局で買えるトラネキサム酸配合の内服薬もあります。
顔に広がるシミの場合、みなさんが自分でシミの種類を見分けるのも、実はそんなに難しくありません。
あるリビング紙でシミのイラストが掲載されたことがありましたが、その絵を見て、肝斑を自覚して受診された方もいました。「これだ!」と思った人が結構多かったのです。ご自分のシミが、ほほ骨に沿って左右対称にあるかなど、見分け方にはポイントがあります。鏡を見てチェックをしてみましょう。
もやっと広がった蝶々タイプ
ほほ骨から下の方にかけて、両側にもやっと広がったタイプ。面積が広く顔色全体がくすんで見えることも。日光黒子(老人性色素斑)など色の濃いシミの下に、こんな肝斑が薄く広がっている場合もあります。
ほほ骨に沿って筆で書いたようなタイプ
ほほ骨に沿って、左右対称に筆で描いたようなシミ。ほほには別の種類のシミが広がっていることもあります。
こめかみ近く[チビ肝斑(かんぱん)]
ほほ骨から目尻の下あたりに、左右対称に小さく広がったシミ。 または、こめかみ近くに小さく広がったシミ。いわゆる「チビ肝斑」です。
左右対称だが大きさが違うタイプ
ほほ骨に沿って左右対称だけれど、大きさが違ったり、また片方が目尻の方に広がるなど、位置が少し違うケースもあります。
額や口のまわりにも出るタイプ
ほほ骨に沿って左右対称に広がるだけでなく、額中央、あるいは口の周りなどにも出ている場合があります。
シミにはいろいろなケースがあり、肝斑と日光黒子(老人性色素斑)を併発している人も多くいます。
たとえば日光黒子とソバカスは治療法がだいたい同じですが、肝斑は他のシミと治療法が異なります。だから、皮膚科医は診断のとき、どんなシミか、併発があるかなどをしっかり把握する必要があるのです。
お肌の刺激に影響される肝斑は、レーザー治療で、かえって悪化させてしまう場合もありますので、複数のシミがあれば、まず肝斑から治していくのがふさわしいと考えています。