スキンケアのポイント

洗顔料はよく泡立て、泡で汚れを包み込むようにやさしく洗いましょう

洗顔は、とにかく‘肌にやさしく’が基本です。力を入れて余計な刺激を加えないようにします。洗顔料は肌の上で泡立てるのではなく、手のひらや泡立てネットを使い、先に泡立ててから使うのがおすすめです。手のひらいっぱいによく泡立てたら、手のひらでやさしく、肌に手が触れるか触れないかくらいの感じでなでるように洗います。汚れをよく落としたいばかりに、洗顔料をゴシゴシとこすりつけるのは、決して肌によいことではありません。洗顔料は残らないようにしっかり洗い流しますが、このときも力を入れてこすらないようにしてください。

正しい洗顔の仕方

  • 洗顔料をよく泡立てます。

  • 泡で汚れを浮き上がらせるように洗います。
    その後、泡をていねいに洗い流します。

  • タオルで軽く押さえるように水気をとります。

摩擦は肌の敵、ゴシゴシこすらないでください

メイクや汚れを落とすのは大切なことと、みなさん、思っていらっしゃいます。その思いが高じて、かえって肌にダメージを与えていることが少なくありません。たとえばシートタイプのメイク落としを使用する場合も、やさしくひと拭きではなく、つい力が入ってしまい、しっかりこすってメイクを落とそうとしていませんか。
また、スクラブ入りの洗顔料でゴシゴシこすって肌の汚れを落とそうとする人も多いようです。どちらも大切な肌に刺激を与えることになるので、やりすぎには要注意。肌にとって摩擦は大きな負担です。できるだけ避けるようにしましょう。

自分の肌を信じましょう。化粧品は少しでも違和感があったらすぐやめて!

洗顔後に化粧水などを使う際、ヒリヒリする、かゆみがでる、赤くなるなど自覚症状があったらすぐに使用をやめましょう。
値段が高いからとあきらめがつかず、つい使い続けてしまうこともあるかと思いますが、この際、思い切ってやめること。実際に、肌に合わないにもかかわらずストップしなかったために肌荒れをおこし、肝斑を悪化させた患者さんもいらっしゃいます。これまで長く使い続けていた化粧品でも、急に肌に合わなくなるということもあります。漫然と使い続けるのではなく、肌質との相性などをこまめにチェックすることが大切です。

美白剤は継続することが効果を引き出すいちばんのポイントです

しみやくすみが気になると、美白剤を使う方も多いと思います。
値段も成分も多種多様の製品がありますので、値段に影響されず、自分の肌に合ったものと出会ったら、毎日使い続けることが大切です。また、美白を一生懸命行いながら、一方で、うっかり紫外線を浴びているのでは効果はあがりません。美白は1日にしてならず。紫外線対策とあわせて、日々の努力、積み重ねが美白には欠かせないということを、いつも患者さんにお伝えしています。

マッサージでこすり、さらにゴシゴシ拭き取る。これでは肌が悲鳴を上げます

血行がよくなり新陳代謝がさかんになる、ハリが回復する、しわものびる…、マッサージは肌によいというイメージがあると思います。しかしながら肌へのやさしさ抜きのマッサージはご用心。クリームをよく塗り込んでマッサージをしっかり数分間。マッサージが終わったらクリームを拭き取るためにまたゴシゴシ。これでは、ずっと肌をこすりっぱなしです。肌のためと思ったことが、逆に肌に余計なダメージを与えることになってしまいます。マッサージをするなら、洗顔と同様に、やさしく適度に、を心がけてください。

肌への刺激で悪化しやすい肝斑の場合、過度のマッサージは控えましょう

マッサージをはじめる前に、自分の肌の状態をよくチェックすることも必要です。あなたは肝斑がありませんか? マッサージが度を越すと、ケアのつもりが、かえってしみの原因になり得ます。なかでも、肝斑は、刺激によって症状が悪化する傾向にありますので、肝斑を発症していたら、過度のマッサージは避けたほうが肌のため。いまの肌の状態をしっかり把握したうえで、スキンケアを考えるようにしましょう。

肝斑を画像で見る

「何もしない」もケアのひとつ。肌の持つ自然治癒力に任せてみて

たとえば、古い角質を早く落とそうと、メガネ拭きなどにも使われている超極細繊維を用いた洗顔クロスでこする人も少なくありません。しかし、どんな洗顔法であってもやりすぎは禁物。肌にはターンオーバーというサイクルがあって、自分で生まれ変わることができますし、天然の保湿成分によるバリア機能も備わっています。こうした肌の持つ自然治癒力に任せることも大切です。洗顔クロスなどで強い刺激を与え続けてしまうと、かえってこの力を損なってしまうこともあります。何もせずに肌の回復を待ち、その間に、トラブルの原因を軽減することに努めるのも賢いスキンケアといえると思います。

しみのメカニズム

肌トラブルがあったら患部を触らないこと。無意識のクセに注意して!

ニキビ、吹き出物、しみ、そばかす、シワ…、肌に何かトラブルがあると、ついそこに手がいってしまう方が意外に多いんです。鏡の前でなくても、普段意識しないまま、しょっちゅう触ってしまっている…。指摘しても、ほとんど自分では気づいていらっしゃらないようです。こうして触れることが刺激になって、トラブルを悪化させることもあります。そんなときは、もちろん、マッサージも控えたほうがいいでしょう。「肌のトラブルには触らない」を心がけるようにしてください。

お話を伺ったのは…

近畿大学医学部附属病院 美容皮膚科レーザーチームリーダー

山本 晴代先生

日本皮膚科学会認定皮膚科専門医
日本皮膚科学会美容皮膚科・レーザー指導専門医
日本美容皮膚科学会 代議員
日本レーザー医学会指導医・専門医
日本抗加齢医学会専門医