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症例から学ぶ

爪囲炎

原因

発症のメカニズムはよくわかっていません。増殖・分化が活発な爪母細胞に上皮成長因子受容体(EGFR)阻害薬が作用して、角化異常が起こり、爪甲が薄くなって刺激に弱くなり、爪の周囲の皮膚の炎症が起こると推測されています。

発現時期

EGFR阻害薬投与開始から約6〜8週間目に起こる傾向があります。他の皮膚症状より遅れて発現し、長期間にわたって続くことが少なくありません。

外見的特徴と自覚症状

初期の症状としては爪のまわりの発赤や腫れが見られ、進行すると肉芽を形成します。
【写真13、14】

  • 写真13

  • 写真13

写真13 爪囲炎

写真14

写真14 爪囲炎

疼痛を伴い、進行するほど痛みは強くなり、日常生活の作業が制限されるなど、患者さんのQOLは著しく低下します。

対処法・指導

有用な支持療法は確立されておらず、最も治療に困る副作用のひとつです。
悪化を防ぐために、保湿剤やステロイド外用薬、あるいは洗浄や指へのテーピング、爪切り指導、巻き爪の処置などが行われます。ミノサイクリンを内服する場合もあります。
テーピングをする際は、盛り上がった肉芽を爪からはがすように引っ張りながら、テープで固定します。指先の血液循環が悪くならないように、テープはらせん状に巻きます。足の場合は患者さん自身でもできますが、利き手にテーピングする場合には介護者の協力が必要になるでしょう。
爪囲炎が重症化すると、薬剤を休薬しなければならなくなります。したがって、重症化させないように対処することが重要になります。
重症化して肉芽が悪化した場合、皮膚科で液体窒素による肉芽処置を行うこともあります。

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