インフルエンザを予防するには、「予防接種を受けること」「感染経路を断つこと」「免疫力を高めること」の3つが大切です。インフルエンザにかからない・広げない対策を実践しましょう。
ワクチンを接種してもインフルエンザにかかることはありますが、発病を抑える効果が一定程度認められているほか、重症化や肺炎などの合併症を防ぐ効果があるとされています※2。6ヵ月以上の小児や高齢者、呼吸器・心臓・腎臓などに持病のある人など重症化のリスクが高い人には、ワクチン接種がすすめられています。インフルエンザワクチンの種類には、以前から使われている皮下注射の不活化ワクチンと、鼻に噴霧するタイプの生ワクチンの2種類があり、生ワクチンと不活化ワクチンの効果は、ほぼ同等とされています※3。
インフルエンザワクチンは生後6ヵ月から接種できます。不活化ワクチンは、13歳未満は2回、13歳以上は原則1回接種します。生ワクチンの接種対象は2~18歳で、左右の鼻の中に1回ずつ噴霧します。
ワクチンを接種してから抗体ができて効果が現れるまで、2〜3週間かかります。日本では、インフルエンザは例年12~4月頃に流行し、1月末~3月上旬に流行のピークを迎えます。そのため、12月中旬までにワクチン接種を済ませておきましょう。
インフルエンザワクチンは、そのシーズンに流行すると予測されるウイルスに合わせて製造されます。また、ワクチンの効果が持続する期間は約5ヵ月とされ、「去年打ったから今年も大丈夫」というものではありません。毎年、定期的に接種することが望まれます。

インフルエンザの主な感染経路は、「飛沫感染」と「接触感染」です。感染を予防し、さらに広げないために、感染経路を断つ対策に取り組みましょう。

流水とせっけんでの手洗いは、手や体に付着したウイルスを除去する効果があり、インフルエンザに限らず、接触や飛沫で広がるさまざまな感染症にも共通する対策です。帰宅時や調理の前後、食事前など、こまめな手洗いを心がけましょう。また、インフルエンザウイルスにはアルコールを含む消毒液による手指消毒も効果的です。
インフルエンザが流行してきたら、特に高齢者、持病のある人、妊婦、体調不良や睡眠不足の人は、人混みや繁華街への外出を避けましょう。やむを得ず外出する場合は、不織布製マスクを着用することで、飛沫感染をある程度防ぐことができます。
インフルエンザに感染していても症状がまったくない場合(不顕性感染)や、風邪に似た軽い症状だけの場合など、本人も周囲も気づかないままのことも少なくありません。まわりの人にうつさないために「咳エチケット」を心がけましょう。特に電車や職場、学校など人が集まるところでの実践が大切です。

免疫力が弱っているとインフルエンザウイルスに感染しやすくなり、感染したときに重症化しやすくなる可能性があります。日頃から免疫力を高める生活習慣を意識しましょう。
空気が乾燥すると、のどや鼻の粘膜の防御機能が低下してウイルスが体に侵入しやすくなります。室内では加湿器などを使って適度な湿度(50~60%)を保ちましょう。
また、季節を問わず十分な換気が重要です。常時換気設備や台所・洗面所などの換気扇を常時運転して換気を確保しましょう。窓を開ける場合は、対角線上にあるドアや窓を2ヵ所開放すると効果的です。窓が一つしかない場合は部屋のドアを開けて、扇風機などを窓の外に向けて設置しましょう。
抵抗力や免疫力を高めるタンパク質やビタミンC、ビタミンB群、粘膜を保護するビタミンAをしっかり取りましょう。
また、適度に体を動かすことは自己免疫力を高め、インフルエンザをはじめとするウイルス性の感染症予防に役立つといわれています。運動習慣のない人は、ウォーキングのような負荷の少ないものから始めてみましょう。
睡眠不足は、免疫力の低下につながるといわれています。質の良い睡眠を取るために、就寝1時間前からスマートフォンやパソコンの使用を控え、寝室はできるだけ暗く、静かな環境を整えましょう。日中に体を動かし、適度な疲労を感じることで寝付きが良くなります。