正しいくすりの知識を身につけよう 第2回

「くすり」の疑問をこれで解決! 役割を理解して選ぶための7つの疑問Q&A

2023.9.7 更新

「くすりとサプリメントは何が違うの?」「病院でもらうくすりと薬局で買えるくすりはどう違うの?」「OTCって何?」「副作用は誰にでも起こるの?」……など、実はくすりについてよく知らないまま使っていることも多いのでは!? くすりの基本や仕組みを知れば、もっとくすりを上手に使えるはず。くすりにまつわる7つの疑問について解説します。

Q1軽い症状ならくすりではなく、健康食品やサプリメントをとっておいたほうがいいの?

A1.

健康食品やサプリメントは“食べ物”です。くすりとは目的が違います

いわゆる健康食品や、サプリメントを利用している人は少なくありません。「体にいい」という印象がある健康食品ですが、“病気を治す”ものではなく、あくまで「食品」。普段の食事に加えることで、栄養補給や健康維持を目的に利用するものです。年齢に負けない強い体づくりをしたい、睡眠の質を向上させたいなど、体を整えておきたい場合やメンテナンスしたい場合に健康食品やサプリメントを選ぶのがいいでしょう。

一方で、くすり(医薬品)は病気や症状を治すことを目的に作られたもの。国から成分の効果や安全性が認められています。ですから、頭痛や咳(せき)など、何か症状があって治したいときに、それに適した医薬品を選んで使いましょう。

ちなみに、いわゆる健康食品は、「一般食品」に分類されています。「栄養補助食品」「健康補助食品」「栄養調整食品」「栄養強化食品」などの表示で販売されているものは、この「一般食品」に入ります。これらは食品なので、「こんな機能があります」といった表示をすることはできません。

これに対し、機能性を表示できるものがあり、それが「保健機能食品」です。保健機能食品には、「特定保健用食品」、「機能性表示食品」、「栄養機能食品」の3種類があります。

保健機能食品をテーブルに並べて見比べている男性

「特定保健用食品」

一般に「トクホ」と呼ばれているものです。「『血圧が高めの方に』とか、『糖の吸収を抑える』といった表示のある商品を見たことがあるのではないでしょうか。これは科学的根拠があって、国が有効性や安全性について審査を行い、消費者庁長官が許可をしている食品のことです。特定の健康効果が期待できる旨を商品に表示することができます」と薬剤師の鈴木伸悟先生は話します。

「機能性表示食品」

事業者(製品を販売する企業)の責任で、科学的根拠を基に機能性を製品に表示できるものとして消費者庁に届けられた食品のことです。例えば「おなかの調子を整えます」「脂肪の吸収をおだやかにします」などの「健康の維持や増進に役立つ食品の機能性」が表示されています。機能性表示食品は、販売前に安全性や機能性の根拠となる情報を消費者庁に届けますが、特定保健用食品とは違い、消費者庁の個別の許可を受けたものではありません。2015年から始まった比較的新しい制度です。

「栄養機能食品」

特定の栄養成分の補給のために利用する食品で、栄養成分の基本的な機能を表示するものをいいます。ビタミンやミネラルなど、1日に必要な栄養成分が不足しがちな場合、その補給のために利用される食品です。高齢の方や食生活の乱れなどで、1日に必要な栄養を十分摂取できないような場合に利用できます。製品にはビタミンなどの栄養成分の機能や、1日当たりの摂取目安などが表示されています。

なお、くすりには大きく「医療用医薬品」と「市販薬(OTC医薬品)」があります。

医薬品と食品の違いの図

Q2病院で出されるくすりとお店で買えるくすりは何が違うの?

A2.

病院で処方されるくすりは医師の処方せんが必要です

病院で出されるくすりのことを医療用医薬品といいます。つまり医療機関で診察を受け、医師から処方されるくすりのことです。一般に「処方薬」とも呼ばれます。医師が出した処方せんを保険薬局(調剤薬局)または調剤併設型のドラッグストアに持参して、くすりを購入します。

これに対して処方せんがなくても薬局やドラッグストアなどで買えるくすりが、市販薬(OTC医薬品)です。薬剤師や登録販売者に相談するなどして、自らの判断で買うことができます。OTCとは、「オーバー・ザ・カウンター(Over The Counter)」の略です。カウンター越しにくすりを販売するという由来から、市販薬を意味するようになりました。

では、病院でもらう処方薬と薬局などで買える市販薬はどう違うのでしょうか。
横浜薬科大学教授の小出彰宏先生は次のように説明します。「医師が患者を診察して処方する処方薬は、病気や症状を治す効果が高い一方で、その分副作用のリスクも高くなる傾向があります。それに比べると、市販薬は通常、効果が穏やかで、副作用のリスクも抑えられるという特徴があり、安全性が重視されています

ただし、市販薬と医療用医薬品は全て、別々の成分というわけではありません。
市販薬には、「要指導医薬品」と「一般用医薬品」があり、「一般用医薬品」の中でも含有する成分を、使用方法の難しさ、相互作用(飲み合わせ)、副作用の項目で評価し、注意が必要な度合いによって、「第1類医薬品」、「指定第2類医薬品」、「第2類医薬品」、「第3類医薬品」と4段階に分類しています。

「要指導医薬品」は、市販薬の中で最も慎重に販売することが求められています。これは、“医療用医薬品から市販薬に転用されたばかりのくすり”で、薬剤師による対面販売が必要になります。薬局で、空の箱しか置いていなかったり、薬剤師さんの後ろにしか製品が置いてなかったりするものを見かけたことがあるかもしれません。

一般に、市販薬は処方薬に比べて効果がマイルドですが、中には処方薬と同じ成分のものもあります。それが「スイッチOTC」と呼ばれるくすりです。これは処方薬の中でも長い間使用された歴史があり、効果と安全性が評価されたくすりの有効成分を市販薬としても販売できるようにしたものです。処方薬から市販薬にスイッチ(転用)されたくすりなので、「スイッチOTC」と呼ばれます。例えば解熱鎮痛薬のロキソプロフェン、イブプロフェンなどもスイッチOTCです。

病院で処方されるくすりが、利便性や安全性の観点から、薬局でも買えるくすりになっている場合もありますので、薬剤師または登録販売者に相談しながら上手に活用してみましょう。

(その他、OTC医薬品の分類について、詳しくはこちら

近年、自分自身の健康に責任を持ち、軽い体の不調は自分で手当てをしようという“セルフメディケーション”が推進されています。そんな中、より効果のあるくすりを多くの人が利用できるように、処方薬から市販薬への転用が進んでいます。ただし、以前は医師の責任の下で処方されていたくすりですから、安全性に気をつけながら、慎重に使用する必要があります。そこで転用されたばかりのときには『要指導医薬品』という一般用医薬品とは異なる位置づけにして、必ず薬剤師が対面で指導と情報提供を行い、取り扱いに十分注意を払うようになっているのです。その後、使用状況や安全性などに問題がないと評価されれば、通常、3年ほどで一般用医薬品へと移行します」と小出先生は説明します。

薬局で薬剤師にどの市販薬が良いか相談する女性

Q3西洋薬と漢方薬は何が違うの?

A3.

くすりを構成する成分が違います。効き目の出やすい病気や症状が異なることもあります

薬局やドラッグストアでは、漢方薬もよく見かけます。西洋薬と漢方薬にはどのような違いがあるのでしょうか。大きな違いは、くすりを構成する成分でしょう。西洋薬は、人工的に化学合成された成分によってできています。一方、漢方薬は生薬そのものから作られています。生薬とは植物や動物、鉱物などのエキスやその一部を使うくすりのことです。また、漢方薬には多くの成分が含まれることが多いのも特徴です。なお、西洋薬も歴史的に見ると、もともとは生薬に含まれる有効成分を抽出し、それを化学的に変化させたり、化学合成したりして作られてきたものが数多くあります。

西洋薬と漢方薬は、どんな使い分けをされているでしょうか。
鈴木先生は「西洋薬は、高血圧や糖尿病、脂質異常症、感染症など、病名や原因がはっきりしている場合によく使われます。目的とする病気や症状をピンポイントで治療する場合は、西洋薬が向いています。これに対して漢方薬は、一般に原因がはっきりしない症状や、体質が関係している不調によく用いられます。漢方薬は効果が現れるまでに時間がかかると考えられがちですが、中には即効性があるものもあります。例えば、脚がつる“こむら返り”に使う芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)は、服用から10分以内に効果が出るケースが少なくありません。小青竜湯(しょうせいりゅうとう)は花粉症などのアレルギー性鼻炎による鼻水に、葛根湯(かっこんとう)は風邪のひき始めに速く効果が現れることが多いようです」と話します。

漢方薬は体にやさしい印象がありますが、もちろん副作用のリスクはあります。「西洋薬と同様、用法・用量を守って正しく使う必要があります」(鈴木先生)

生薬と西洋薬のイラスト

Q4くすりにはどうして飲み薬や貼り薬などの種類があるの?

A4.

効かせたいところに効きやすいようにできています

くすりには大きく「内服薬」「外用薬」「注射薬」の3種類があります。内服薬は、口から飲むくすり。外用薬は、貼ったり塗ったりして、皮膚など体の外側から効かせるくすり。注射薬は、皮膚の内側や血管内に直接入れるくすりのことです。このうち市販薬にあるのは、内服薬と外用薬です。

さらに、内服薬には錠剤やカプセル剤、散剤、顆粒剤、液剤、シロップ剤など、いろいろな形(剤形)のものがあります。錠剤は成分を固めてあり、表面をコーティングして飲みやすくしたり、腸で溶けるようにしたり、徐々に溶けるようにしたりと、様々な工夫が施されているものもあります。カプセル剤は、顆粒を詰めたものや液体を詰めた軟カプセルがあります。内服薬には、胃で溶けず腸で溶けるように工夫しているものも。錠剤もカプセル剤も、服用の際には噛まずに、十分な量の水で飲みましょう。また、散剤とは粉薬のことです。

なぜくすりには、このようにいろいろな剤形があるのでしょうか。
小出先生は「くすりを飲みやすくし、効果を確実に得るために剤形の工夫が凝らされています。くすりの有効成分をどこに、どのくらいの時間をかけて届けたいかによって、剤形は違ってきます。
例えば、ゆっくりと吸収されて効果が長続きするように作られたくすりを『徐放性製剤』といい、時間をかけて体内に徐々に吸収されるように工夫されています。その結果、従来1日3回飲む必要があったくすりを、1日1回の服用で済むようにできたものもあります。
また、胃では溶けずに腸の中で溶けるように設計されたくすりは『腸溶性製剤』と呼ばれます。それぞれのくすりの目的に応じて、適切な剤形が決められているのです
」と解説します。

【第一三共ヘルスケアの該当製品】

一方、外用剤は体の外側から患部に直接貼ったり塗ったりするくすりのこと。患部や用途に応じて、貼付薬(貼り薬)、塗り薬、点眼薬、点鼻薬、坐薬などいくつかの種類があります。くすりの有効成分は、皮膚や粘膜などから体内に吸収されます。
貼り薬や塗り薬には、皮膚から体内に吸収されることで、使用した部位周辺に効果を発揮することを目的にしたものや、皮膚から直接体内の毛細血管に入り、全身に運ばれて効果を発揮することを目的としたものがあります。全身への作用を期待した貼り薬は、皮膚から全身の血流に運ばれるまでに時間がかかるので、効果が緩やかに現れます。また、安定した量のくすりをゆっくり体内に移動させるため、安定した効果が持続します。一方、坐薬は肛門のすぐ上に位置する直腸から血流に入るので、より早く効果を発揮するという特徴があります」と小出先生。

医薬品のさまざまな剤形の図

【第一三共ヘルスケアの該当製品】

Q5どうしてくすりには大人用と子ども用があるの?

A5.

子どもは臓器が未成熟なので、大人と同じ成分や量を使えないからです

風邪薬や解熱鎮痛薬などは、大人用と子ども用がそれぞれ市販されています。どうして大人と子どもで同じくすりを使えないのでしょうか。
発達段階にある子どもの場合、臓器が未成熟で、体内でくすりを吸収したり、代謝、排泄したりする能力が十分に発達していません。
もしも大人と同じ量のくすりを飲んでしまったら、副作用が起き、肝臓や腎臓などの大切な臓器にダメージが及ぶ危険性があります。また、そもそも子どもが飲んだときの安全性が確認できておらず、飲んではいけない成分もあります。
子ども用の手持ちがないからといって、大人が使っているくすりを半分に減らして子どもに使うなどということは、絶対にしてはいけません
」と小出先生は警鐘を鳴らします。

子どもの中には、大人と変わらないくらい体格の大きい子どももいます。そのような場合も、やはり大人用のくすりを使ってはいけないのでしょうか。
医師が患者を診察して処方する処方薬の場合は、医師の判断で調整することもあるかもしれません。しかし市販薬では自己判断で大人用のくすりを使ってはいけません。体が大きくても、内臓の働きまで大人と同じとは限らないからです。子ども用のくすりには、パッケージに『小児用』とか、『ジュニア』などと記載されていることが多いですが、くすりを選ぶ際には説明書(添付文書)を読んで、そのくすりの対象の年齢を必ず確認するようにしてください」(鈴木先生)

ドラッグストアで子ども用の解熱鎮痛薬を選ぶ親子

【第一三共ヘルスケアの該当製品】

Q6くすりを飲むと眠くなったり喉が渇いたり…これも副作用?

A6.

目指す目的(主作用)以外に起こる作用=副作用。様々な症状があり、体質や飲み合わせなど原因は様々です

くすりを飲むと眠くなったり、喉が渇いたりするのは副作用の可能性があります。くすりには、病気を治したり、症状を軽くしたりする“効き目”があり、それをくすりの「主作用」といいます。一方で、くすりには本来の目的ではない、好ましくない作用が出ることもあります。これを「副作用」といいます。
残念ながら「くすり」自身が「これは、体にとって良い作用だから発揮して、これは望ましくないから発揮しないようにしよう」と取捨選択してくれるわけではないため、すべてのくすりには、主作用に伴う副作用があり得ると知っておきましょう。

そもそもなぜ副作用は起こるのでしょうか。その原因は大きく5つ考えられます。
1つめは、「くすりの性質」によるもの。くすり自体が持つ元々の働きによって、主作用だけでなく、副作用が起こる可能性があるのです。

例えば風邪薬や鼻炎薬に入っている抗ヒスタミン薬。これには、くしゃみや鼻水を和らげる“主作用”があるとともに、眠気をもよおす“副作用”もあります。また胃痛などを和らげる抗コリン薬には唾液の分泌を抑える働きもあるため、口が渇く“副作用”が現れることがあります。
発熱時に使う解熱鎮痛薬(非ステロイド性抗炎症薬:NSAIDs)では、胃のムカムカや胃痛の副作用が起こることがあります。解熱鎮痛薬は発熱や痛みの原因となるプロスタグランジンという物質を抑えますが、もともとプロスタグランジンには胃を守る働きがあるため、それを抑えることで胃が荒れることがあるのです
」(鈴木先生)

2つめは、「くすりの使い方」によるもの。定められた量よりも多く飲んでしまった、食後に飲むよう指示されているのに食前に飲んでしまった、などの際に起こる可能性があります。くすりを誤って使うと副作用を招くリスクが増しますので、気をつけましょう。

3つめは、「飲み合わせ」によるもの。別のくすりと一緒に飲んだ、くすりに影響を及ぼすような食べ物や飲み物と一緒に服用した、などがこれに当たります。別のくすりも飲むときには、一緒に飲んで大丈夫かどうか、薬剤師または登録販売者に相談するようにしましょう。

4つめは、「くすりを使う人の体質」によるもの。体がくすりを異物とみなしてアレルギー反応を起こし、かゆみや発疹、かぶれなどを起こすことがあります。特にアレルギー体質の人は、くすりに対して過敏な反応が出やすいので注意が必要です。くすりや食べ物などにアレルギーがある場合には、薬剤師または登録販売者に伝えてからくすりを選ぶようにしましょう。

そして5つめが、「予期できない」ものです。「くすりの説明書(添付文書)には、『服用後、次のような症状があらわれた場合は副作用の可能性があります』という文言に続いて、いろいろな症状が明記されています。これらはすでに報告されている副作用ですが、そこにはない副作用が出てこないとは限りません」と小出先生。

くすりの副作用は、眠気や口の渇き、動悸、胃の不快感、胃痛、腹痛、かゆみ、発疹など、実に様々。解熱鎮痛薬を飲んだ後に胃が痛くなったり、鼻炎薬を飲んだ後に眠気をもよおしたりした人がいるかもしれません。
もしくすりを飲んだ後に『いつもと違う』『体調がおかしい』と感じることがあれば、副作用の可能性があります。すぐに服用をやめ、くすりの説明書を持って医師や薬剤師に相談してください」と小出先生は注意を促します。

副作用はすべての人に起こるものではありません。と同時に、くすりを正しく使っていても、思わぬ副作用は誰にでも起こり得ます。もし入院が必要な重い副作用が出た場合には、国の「医薬品副作用被害救済制度」の対象になり、医療費などの給付を受けられます。これは処方薬だけでなく、市販薬にも適用されるので、覚えておきましょう。ただし、この制度が適用されるのは、説明書に従って正しく使用した場合に限られます。くすりを正しく使うことは、いざというときにも役立つのです。

市販薬(OTC医薬品)の主作用と副作用の例

薬の種類 主作用 副作用
NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)などの解熱鎮痛薬 解熱、鎮痛 胃の不快感、胃痛など
(痛みや発熱の引き金になる一方で、胃の粘膜を守るプロスタグランジンの作用を抑えることで起こる)
抗ヒスタミン薬
(風邪薬、鼻炎薬、酔い止めなど)
アレルギー反応を抑え、くしゃみや鼻水、かゆみなどを抑える 眠気、集中力の低下など
(脳の覚醒や興奮を抑える作用により起こる)
抗コリン薬
(鎮痛鎮痙薬など)
胃腸の痛みや胃腸の痙攣を抑える 口の渇き、便秘など
(副交感神経の働きを抑えることで起こる)

くすりを飲んだ後にこんな症状が出たら副作用かも?

  • 体がかゆくなる
  • 赤いブツブツなどの発疹が出る
  • 眠くなる
  • 心臓がドキドキする
  • 胃がムカムカする
  • 胃が痛む
  • お腹が痛くなる
  • 口が渇く
  • だるい、白目が黄色くなる(肝機能障害)
  • むくむ(腎機能障害)

……など

Q7くすりについている説明書は何を見ればいいの?

A7.

「用法・用量」「使用上の注意」など7つの項目を確認しましょう

市販薬を使う際に必ず目を通したいのが、くすりについている説明書(添付文書)です。説明書には、(1)製品名や分類、(2)使用上の注意、(3)成分、(4)効能・効果、(5)用法・用量、(6)保管及び取り扱い上の注意、(7)問い合わせ先・製造販売元という7つの項目が載っています。

文字がぎっしりで読みにくいと感じる方もいるかもしれませんが、くすりを正しく使用するには、最初に読んで必要な情報を得ておくことがとても大切です。「このくすりはどんな症状に効くか」、「どのような成分が入っているか」、「いつ・どれだけの量を飲めばいいか」、「どんなことに気をつけて使えばいいか」など、基本情報を確認しましょう。

中でも特に大事なのは『使用上の注意』のところに書かれている『してはいけないこと』です。例えば解熱鎮痛薬の場合は、他の鎮痛薬や風邪薬と一緒に飲まない、服用後は飲酒をしない、長期連続して服用しない、などと書かれています。これらは絶対に守りましょう」と鈴木先生は強調します。

なお、説明書や、くすりの箱や袋はいつでも確認できるよう、使い終わるまでは捨てないでおきましょう。

箱からくすりを取り出し、説明書を読んでいる女性

専門家プロフィール(あいうえお順)

小出彰宏先生
横浜薬科大学教授。日本くすり教育研究所理事。岐阜薬科大学大学院薬学研究科修士課程修了。薬学博士。医薬品の適正使用や学校薬剤師による保健教育などの推進に取り組む。元文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課健康教育調査官として、数多くの教材作成にも携わった。中学・高校に出向き、生徒に「薬物乱用防止」の講義も行う。
鈴木伸悟先生
有限会社ウインファーマ セルフメディケーション推進室・室長。横浜市西区薬剤師会理事。大手ドラッグストアでの勤務を経て、処方箋調剤を主体とした保険薬局でOTC医薬品の販売に取り組む。また薬剤師や医薬品登録販売者向けにSNSでOTC医薬品の情報を発信。メディア出演や連載、講演会などの活動も。
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