「これってもしかして副作用?」と思ったら

薬には、「つらい症状を改善する」といったメリットがある一方、「好ましくない症状があらわれる」という副作用のリスクもあります。いざというときに慌てずにすむよう、副作用とその対処法、万が一のときに利用できる制度があることを知っておきましょう。

OTC医薬品(市販薬)だからといってリスクがないわけではありません

OTC医薬品でも副作用が起こることはあるの?

薬は、どのようなものでも主作用(症状が軽くなるなどの期待される作用)と、副作用(期待される作用以外の好ましくない作用)をあわせ持っています。そのような薬の性質上、安全性の高い成分が使用されているOTC医薬品でも「副作用がまったく起こらない」というものはありません。
薬の効き方には個人差があるため、人によって「合う」「合わない」があります。初めて使う薬では特に注意が必要です。また、いつも使っている薬でも、そのときの体調などによって効き方が異なり、思わぬ副作用が起こる可能性はあります。薬を適切に使用していても副作用が起こることはあり、まれではありますが、重症化したり、放っておくと重大な影響をおよぼしたりすることもあります。

副作用かどうかを疑う目安はあるの?

ひと言で「副作用」といっても、その症状はさまざまであり、同じ薬でもどのような症状がみられるかは人によって異なります。添付文書に副作用として記載されている症状とは違っても、薬を使った後に「つらい」「おかしい」「いつもと違う」など、少しでも好ましくない症状がみられたときには、がまんせずに、医師、もしくは購入した薬局やドラッグストアの薬剤師・登録販売者に相談しましょう。
またそのような症状がみられた場合は、「もったいないから」などと薬を使い続けることはせず、すぐに使用を中止しましょう。

副作用かなと思ったら

副作用を防ぐためには

副作用を防ぐためには、薬についている説明書(添付文書)をよく読み、決められた用法・用量を守って正しく使用することが大切です。
特に、

  • アレルギー体質の人
  • 持病がある人(ほかに服用している薬がある人)
  • 高所などで危険な作業をする人、車の運転をする人

などは注意が必要です。
薬局やドラッグストアなどで薬を購入する際には、薬剤師や登録販売者に相談し、その薬が自分の体質に合っているか、その薬にどのような副作用があるのかなどを確認しましょう。

副作用で使われる「重症」・「重篤」とは?

「重症」という用語は、副作用の度合いとして、「軽度・中等度」と比較する場合の程度が重い場合を指します。例えば「重症の肝障害」のように、度合いの高さとして用います。この場合症状としては高いが、医学的重要性が低い場合もあります。対して、「重篤」は使用者の生命または機能を危険にさらす、死亡や後遺症のほか入院が必要な場合を指し、例えば発生した副作用について本人の自覚症状が低レベルでも、血液検査の数値が異常値を示し、検査入院が必要になる、などの場合も含まれます。このため「重症」であっても「重篤」ではない場合、「重篤」であっても「重症」ではない場合があります。

「重篤副作用疾患別対応マニュアル」を知っていますか?

OTC医薬品の使用によって重い副作用が起こることはまれですが、放っておくと重症化することがあるため、早めに気づいて対応することが必要です。早期発見・早期対応のためにも、重篤な副作用の初期症状を知っておくことは大切です。知っていれば万が一の場合も早急な対応につなげることができます。
そこで覚えておきたいのが、医薬品医療機器総合機構(PMDA)が一般の方向けに公開している「重篤副作用疾患別対応マニュアル」です。これは、薬を使用する患者さん本人やご家族に知っておいてもらいたい重篤な副作用の初期症状と、早期発見・対応のポイントが疾患別にわかりやすくまとまっています。
薬を使用した後に「もしかして」と思ったときや、「どんな症状が起こるのか知っておきたい」というときに味方になってくれるはずです。ぜひ活用してください。

適正に使用しても予期せぬ副作用が出たら

重篤な健康被害が出たときに活用できる「医薬品副作用被害救済制度」

薬は、正しく使用しても思わぬ副作用が起こることがあります。説明書(添付文書)に従って適正に使用したにも関わらず副作用が起こった場合に、医療費などの給付を受けられる「医薬品副作用被害救済制度」があります。
この制度は、健康被害にあった人の迅速な救済を目的として制定された公的制度で、副作用によって重篤な健康被害が生じ、入院治療が必要な程度の場合の医療費や後遺症に対する年金などの給付を行うものです。
ただし、この制度は薬の副作用によるすべての健康被害を対象としているわけではありません。専門機関による審議と、「その症状が薬の副作用によるものか」「薬が適正に使用されたか」などの医学的・薬学的な判定をした上で、給付されるかどうかが決まります。
※医薬部外品・化粧品などは対象外となります。医薬品であるのかどうかは、パッケージに記載されている医薬品分類を確認しましょう。

「医薬品副作用被害救済制度」の給付を受けるには

制度による給付の対象となるのは、薬を適正に使用したにも関わらず、入院が必要になるほど重い症状や、日常生活が著しく制限されるほどの障害がみられた場合と、それらの症状によって亡くなった場合です。
給付を受けるためには、健康被害を受けた本人や家族による申請が必要です。請求書と請求に必要な書類(医師による診断書、薬局などによる販売証明書など)を医薬品医療機器総合機構(PMDA)に送付し、請求をおこないます。
給付には、医療費、医療手当など7種類があり、それぞれで請求期限や必要な書類が異なります。

手続きの流れ

いざというときのための心がまえを

OTC医薬品により重篤な副作用が起こることはまれであり、怖がりすぎることはありません。ただし、いざというときの対処法や活用できる制度などを知っておくことや、「起こる可能性がある」と心がまえをしておくことは大切です。
重い症状ではなくても、「つらい」「おかしい」「いつもと違う」など、気になることや心配なことがあれば、早めに医師や薬剤師・登録販売者に相談しましょう。

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