バランスの取れた食事に加え、栄養補助食品などの活用も

健やかな心身の維持に不可欠、不足しがちな栄養素のビタミンD、亜鉛、マグネシウムの効果とは?

2025.5.30 更新

からだづくりにおいて、運動とともに重要なのが「食事」です。とはいえ、忙しい毎日の中でバランスを考えたメニュー選びはできていないという人も多いのではないでしょうか。必要な栄養素にはどんなものがあるのか、どんな栄養素が不足しがちなのか、どうしたら過不足なく摂ることができるのか。毎日の食事の工夫、そして保健機能食品やサプリメントなどの上手な取り入れ方を紹介します。

<ポイントのまとめ>

食事は体をつくる基本中の基本。しかし、主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を毎日摂っている人は半数に満たない状況で、野菜の摂取量も減り続けています。からだづくりと健康のためには、「たんぱく質」「脂質」「炭水化物」「ビタミン」「ミネラル」の“5大栄養素”をバランスよく摂ることが重要です。最近ではこれに「食物繊維」を加えて“6大栄養素”と呼ばれることもあります。

アンチエイジングの観点から栄養療法に取り組む満尾(みつお)クリニック院長の満尾正先生によれば、その重要性が世界的に注目されているにも関わらず、日本人に不足している栄養素の御三家が「ビタミンD」「亜鉛」「マグネシウム」だといいます。

「ビタミンD」は骨の健康だけでなく、免疫維持や生活習慣病予防など多彩な作用が明らかになっている栄養素ですが、多くの人で不足しています。東京都内で健康診断を受けた成人約5500人の血中ビタミンD濃度を調べた研究では、対象者の98%で足りていなかったとの報告もあります※1。ビタミンDは日の光を浴びることで体の中で作られ、食品では魚類やキノコ類に多く含まれていますが、日を浴びる機会が少ない、魚介類をあまり食べないという人は要注意です。
また、「亜鉛」と「マグネシウム」はどちらも体の円滑な代謝活動に欠かせないミネラル。亜鉛が不足すると生活習慣病、骨や皮膚のトラブル、不妊などの一因に。加齢や飲酒などで不足しやすくなります。一方、マグネシウムが不足すると、こむら返りや不整脈、便秘などが起こりやすくなります。2型糖尿病の人で不足しているケースが多いという報告もあります。海藻や豆類をあまり食べない人やストレスの多い人は不足しがちなので注意が必要です。
このほか、「食物繊維」や「魚油」も積極的に摂りたい重要な栄養素です。
毎日の食事に気をつけ、保健機能食品やサプリメントなども上手に利用しながら、大切な栄養素が不足しないよう心がけましょう。

  • 1 J Nutr. 2023 Apr;153(4):1253-1264.

主食+主菜+副菜を1日2回以上摂る人は5割に満たない

健康寿命は、日々の生活習慣の積み重ねによって生まれます。生活習慣は、食事、運動、睡眠が大きな柱になりますが、体を維持する材料であり、不足したら新陳代謝にも支障をきたすのが食事です。健康は自分で積み上げていくものだという意識を持って、“健康資産”を増やしていくことが大切です。そのための投資に当たるのが、日々の食事といえます」と満尾先生は説明します。

まずは、その大切な食事のあり様を反映する日本人の栄養状況が今どうなっているか、見てみましょう。

厚生労働省の国民健康・栄養調査では、主食(ご飯やパンなど)・主菜(魚介類や肉類、卵、大豆製品など)・副菜(野菜や海藻など)を組み合わせた食事をどのくらいの頻度でとっているか調べています。それによると、この組み合わせを毎日1日2回以上摂っているという人の割合は、男性で45.7%、女性で47.1%でした※2。厚生労働省が進める「健康日本21(第三次)」では50%を目標にしておりそれに近づいているようにも見えます。しかし、年代別にみると20〜30歳代では3割にも達しておらず、40〜50歳代でも4割前後という結果です。さらに、野菜の摂取量もこの6~7年減少し続けていて、特に若い年代ほど少ないことがわかっています。からだづくりの基本となる食事は、課題が多いのが現状といえるでしょう。

国民健康・栄養調査、一日の野菜摂取量の推移

  • 2 令和5年国民健康・栄養調査

意識して摂りたい6大栄養素

体を作る元となる栄養素は大きく5つあります。それらは「たんぱく質」「脂質」「炭水化物」「ビタミン」「ミネラル」で、5大栄養素と呼ばれています。近年はこれに「食物繊維」を加えて、“6大栄養素”と呼ぶことも多くなっています。それぞれの栄養素について説明しましょう。

たんぱく質

筋肉や内臓、皮膚、髪の毛、爪など、体をつくる材料になる栄養素です。体の中の様々な代謝に必要な酵素や、体の働きを調整するホルモン、免疫を担う抗体などの材料にもなります。たんぱく質を構成するアミノ酸は全部で20種類あります。そのうち9種類は体内で合成できない必須アミノ酸なので、食事から補う必要があります。たんぱく質を多く含む食品には、肉や魚、卵、大豆製品、乳製品などがあります。
そもそも日本人はたんぱく質が不足しがちです。「日本人の食事摂取基準2020年版」によれば、年齢にもよりますが、男性は1日当たりの目標量より約16g、女性は約7g足りないと考えられています。一方、高齢者約900人を対象に4年間追跡調査した国内の研究では、たんぱく質不足の指標となる血中アルブミン値が低いと認知機能低下リスクが約2倍高まっていました※3。
こうしたことを防ぐためにも、しっかりたんぱく質をとる必要があります。目安としては、1食あたり20g以上です。例えば手のひらに乗るぐらいの量の卵や納豆、チーズ、もしくはコップ1杯の牛乳、ヨーグルトには6〜8gのたんぱく質が含まれています。そのため、まずは朝食でこの量のたんぱく質を追加すれば、女性は不足分を補えます。男性は、さらに手のひら1枚分のたんぱく質を昼食か夕食に加えると良いでしょう。

  • 3 J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2014 Oct; 69(10): 1276-83

魚、肉、卵、納豆、牛乳の集合イラスト

脂質

多くのエネルギーが得られる効率のよいエネルギー源です。また、細胞膜やホルモンなどの材料になります。皮下脂肪にも、体を寒さから守ったり臓器を保護したりする働きがあります。ただし、摂り過ぎると肥満などの原因になるので注意が必要です。

なお、脂質を構成している脂肪酸には、常温で固まる「飽和脂肪酸」と、固まらない「不飽和脂肪酸」があり、さらに不飽和脂肪酸は一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸(n-3系とn-6系)に分けられます。飽和脂肪酸は肉や乳製品などの油に多く、不飽和脂肪酸は植物や魚などの油に多く含まれます。

さらに、n-3系とn-6系の脂肪酸の摂取比率も健康に関係します。普段の食事ではn-6系脂肪酸を多くとりがちですが、血液中のn-6系脂肪酸の比率が高いほど、がんや心血管系の死亡リスクが高まるという研究もあります※4。
厚生労働省の食事摂取基準では、飽和脂肪酸、n-3系脂肪酸、n-6系脂肪酸の摂取目標量が示されており、これらをバランスよく摂ることが推奨されています。

日本人の脂質の摂取目標
性別 男性 女性
年齢 18〜29歳 30〜49歳 50〜64歳 65〜74歳 75歳以上 18〜29歳 30〜49歳 50〜64歳 65〜74歳 75歳以上
脂質(エネルギー比率) 目標量 20%以上30%未満 20%以上30%未満
飽和脂肪酸(エネルギー比率) 目標量 7%以下 7%以下
n-6系脂肪酸(g/日) 目安量 12g 11g 10g 9g 9g 8g
妊婦、授乳婦9g
n-3系脂肪酸(g/日) 目安量 22g 23g 1.6g 1.9g 2.0g 1.8g
妊婦、授乳婦1.7g

(出典:厚生労働省、日本人の食事摂取基準(2025年版))
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/syokuji_kijyun.html

  • 4 Epidemiology and Global Health https://doi.org/10.7554/eLife.90132.2

炭水化物(糖質)

炭水化物は、糖質と食物繊維を合わせた総称です。このうち糖質は体内で消化されブドウ糖などに分解され、脳や体を動かす主要なエネルギー源になります。糖質を多く含む食品には、ご飯やパン、麺類、いも類、果物、砂糖などがあります。なくてはならない栄養素ですが、特に精製された糖質を過剰に摂取すると体内で脂肪として貯蔵され、肥満や生活習慣病などの原因になるリスクが高まります。

ご飯、パン、芋、りんご、砂糖の集合イラスト

ビタミン

体の機能を正常に維持するために必要な栄養素です。水に溶ける水溶性と油に溶ける脂溶性があり、水溶性ビタミンにはビタミンB群(B1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン)とビタミンC、脂溶性ビタミンはビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKなどがあります。これらのほとんどは体内で合成することができないため、食事や保健機能食品などで補う必要があります。不足すると欠乏症による病気や不調が起こることも。ただし、脂溶性のビタミンは脂肪組織に蓄積され、不調や病気の原因になることがあるので過剰摂取には注意が必要です。

ミネラル

体を構成する主な4元素(酸素、炭素、水素、窒素)以外のもので、「無機質」とも呼ばれます。体の機能を整えたり、骨や歯などの材料になったり、酵素の働きを助けたりする役割を担っています。代表的なものには、カルシウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、リン、鉄、亜鉛、銅、セレン、クロムなどがあります。これらは体の中で合成できないため、食事や保健機能食品などで摂る必要があります。不足すると欠乏症を招いて病気や不調の原因になりますが、一方、摂り過ぎた場合は過剰症や中毒を起こすこともあります。

食物繊維

炭水化物のひとつですが、近年はその機能の重要性から“第6の栄養素”とも呼ばれています。食物繊維は腸の中で有用菌のエサになって、その代謝物が腸を健康にしたり、免疫調整作用によって感染予防に役立ったりします。また、胃・小腸で消化吸収されずに大腸まで達して便通を整えたり、摂り過ぎた脂質や糖質、食塩などを吸着して体の外に排出したりするなどの働きもあります。大きくわけて「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」の2種類があります。水溶性食物繊維は大麦などの穀物、海藻、いも類、果物などに多く、腸内細菌のエサになり腸内環境を整えます。不溶性食物繊維は大豆などの豆類、キノコ、ナッツなどに多く、腸を刺激して便通を促します。

このように重要な役割を果たしている食物繊維ですが、日本人で足りていない栄養素の一つでもあります。「日本人の食事摂取基準2020年版」では、成人の食物繊維摂取目標量が男性21g以上、女性18g以上とされていますが、2018年の摂取量は14.4gでした※5。食物繊維摂取量が少ないほど、死亡リスクが高まるという報告※6もあるので、意識してとる必要があるでしょう。

全粒穀物類、豆、ゴボウ、アボカド、さつまいもなどの集合イラスト

  • 5 厚生労働省、国民健康・栄養調査報告
  • 6 Lancet. 2019 Feb 2; 393(10170): 434-445

日本人が不足しがちなビタミンD、亜鉛、マグネシウム

これらの栄養素の中でも、日本人が不足しがちなものがあります。満尾先生は、まず次の3つの栄養素をあげます。
現代人に足りていない大切な栄養素の御三家が、ビタミンD、亜鉛、マグネシウムです。私のクリニックでは患者さんの血液中の濃度を調べていますが、一見、健康状態が良さそうな人でもこれらの栄養素が十分足りているという人はごく稀にしかいません。通常の健康診断ではそこまで測定しませんから、不足に気づいていない方がほとんどでしょう

では、これらの栄養素はなぜ重要なのでしょうか。ひとつずつ説明していきましょう。

日本人の8割が足りていないビタミンD

ビタミンDは脂溶性のビタミンで、食事などから補う以外に、日光を浴びることで皮膚でも合成されます。近年、多くの作用が明らかになっている注目の栄養素です。
ビタミンDは全身で働き、骨を作る、免疫を調整してインフルエンザなどの感染症やがんを防ぐ、動脈硬化や肥満、心臓病、糖尿病、うつ病、認知症、筋力低下、フレイルを予防する、さらには死亡率を低下させるなど、実に様々な健康効果を発揮することが世界中の数多くの研究で確認されています。例えば新型コロナウイルス感染症とビタミンDとの関係では、血中ビタミンD濃度が高い人ほどウイルスの陽性率が低く、また感染しても重症化や死亡率が低いことが報告されています※7」と満尾先生は話します。

現在、ビタミンDが不足しているのは日本人の約8割に上ると報告されています※8。そして、それによる健康被害も既に出てきていると満尾先生は警鐘を鳴らします。
ビタミンDに関して私が最も危惧していることの一つは、子どもの健康が脅かされていることです。日本でも新生児のビタミンD欠乏症や“くる病”の発症が増えているという報告があります※9。くる病はビタミンDの欠乏などで骨が弱くなったり変形したりする病気です。イギリスの産業革命のころ、石炭を燃やして空が真っ暗になり、日に当たることが難しくなって、この病気が増えました。過去の病気だと思っていましたが、現代でも増えているのです。原因は、お母さんのビタミンD不足です。肌を守るために日焼けを避け、ビタミンDを多く含む魚もあまり食べないため、血中のビタミンD濃度が低い人が多く、その影響が母体だけでなく子どもの健康にまで及んでいるわけです

日本人の8割はビタミンD不足

では、ビタミンDを増やすにはどうしたらいいでしょうか。2本柱となるのが「日光浴」と「魚からの摂取」だと満尾先生は話します。
日光浴は、過度に浴びると日焼けや皮膚がんのリスクがありますが、実はビタミンD生成のために必要な時間はそれほど長くはありません。例えば春から秋の晴れている日なら日焼け止めを塗らずに半袖で15~30分、曇りの日なら30~60分ほど、それを週に3回ほど続ければ十分なビタミンDを作ることができるといわれています。なお日差しの弱い冬場はもう少し長く行うようにしましょう。ウォーキングやハイキング、ゴルフ、園芸など、屋外で楽しく体を動かしながら日光を浴びるようにするといいでしょう。

食事は、魚がお勧めです。鮭やサンマ、イワシ、サバ、ヒラメなどにビタミンDが多く含まれます。干しシイタケやきくらげなどにも含まれていますが、含有量や生理活性からすると魚の方が効率的に摂取できます

スーパーの棚から鮭缶やサバ缶を選んでいる40代女性

  • 7 PLos Onw. Sep 17; 15(9), 2020
  • 8 Osteoporos Int. 2013; 24(11): 2775-87.
  • 9 J Clin Endocrinol Metab. 2008 May;93(5):1784-8.

亜鉛不足は様々な不調や病気のリスクを高める

亜鉛も体の調整に欠かせない必須ミネラルのひとつで、骨や筋肉、皮膚、目、肝臓、前立腺など多くの臓器に存在しています。様々な種類の酵素の構成成分で、たんぱく質の代謝や糖の代謝、骨の代謝、アルコールの代謝など、生体内での反応に関わっています。
細胞分裂をするときにも亜鉛が必要で、DNAの合成にも関わっています。体を酸化から守る抗酸化作用もあります。全身に働いていますから、不足すると糖尿病や、高血圧、心筋梗塞、糖尿病、胃潰瘍、前立腺肥大、不妊、骨粗鬆症、加齢黄斑変性、皮膚トラブル、脱毛、味覚障害、舌痛症、うつ病、生殖機能の低下など、実に様々な病気や不調を招く可能性があります」(満尾先生)

では亜鉛不足はどんな人に起こりやすいのでしょうか。
当院では患者さんの血中亜鉛濃度を測定していますが、70歳を超えると男女ともに急激に下がる傾向があります。加齢に伴い、体の亜鉛を吸収する力が低下するのが主な原因と考えられます。またアルコールを分解するのに亜鉛が使われるため、アルコールをたくさん飲む人も亜鉛不足になりやすい。また、ビタミンDが足りない人も亜鉛不足になる確率が高いことがわかっています」(満尾先生)

亜鉛を多く含む食品は、魚介類や肉類、卵、チーズ、豆、ナッツ、ココア、抹茶などで、特に牡蠣にはたくさん含まれています。

牡蠣、魚、肉、卵、ココアの集合イラスト

マグネシウム不足はこむら返りや不整脈の原因に

マグネシウムも体の調整に欠かせない必須ミネラルのひとつです。カルシウムやリンとともに骨の形成や体内での様々な代謝を助ける働きをしています。
筋肉を緩める作用もありますから、マグネシウムが足りなくなると筋肉に痙攣が起こりやすくなります。例えば、骨格筋に起こると筋肉がつる“こむら返り”、心臓の筋肉に起こると不整脈、腸管だと便秘などが起こります。他にも骨粗鬆症や片頭痛、不眠、うつ病、疲労などが起こることもあります」(満尾先生)

食事からのマグネシウム摂取量と狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患の発症リスクに関連があるとの報告もあります。約85,000人の住民を対象にした国立がん研究センターと国立循環器病研究センターの疫学調査では、食事からのマグネシウム摂取量が多い人はそうでない人に比べ、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患の発症率が少ないという結果でした※10。

足がつって痛がっている60代男性

どんな人がマグネシウム不足に陥りやすいのでしょうか。
マグネシウムは緑の濃い野菜に多いので、野菜が苦手な方は不足しがちです。また、近年では土壌のミネラルが減り、野菜に含まれるマグネシウム量自体が少なくなっているという指摘もあります。さらに、肉体的、精神的なストレスが多いとマグネシウムが体外に排出され、加齢もストレスのひとつなので年齢を重ねるとともに不足しやすくなります」と満尾先生。

マグネシウムを多く含む食品には、ホウレンソウ、ブロッコリー、ケールなどの野菜、ヒジキや海苔などの海藻類、豆腐や納豆などの大豆製品、牡蠣、バナナ、ナッツなどがあります。

  • 10 Clin Nutr. 2018 Oct;37(5):1602-1608. doi: 10.1016/j.clnu.2017.08.006. Epub 2017 Aug 12.

これら3つの栄養素以外にも、日本人が積極的に摂りたい栄養素があると満尾先生は次のように話します。
食物繊維も不足度合いが大きい栄養素なので、意識して摂ってほしい栄養素です。患者さんには特に納豆をお勧めしています。100gに約10gの食物繊維を含むだけでなく、マグネシウムや亜鉛も含んでいます。また、イワシやアジ、サバなどの青魚をもっと摂るといいでしょう。特に若い世代では摂取量が少ない人が多いので、意識して摂るようにしてください。魚油には、炎症を抑える作用があるn-3系不飽和脂肪酸であるEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)が多く含まれています。青魚や鮭にはビタミンDも豊富です。加えて、甘いものを多く食べる人やアルコールをたくさん飲む人はビタミンB群が不足しがちなので食事や保健機能食品などで補ってください

主食、副菜、主菜などでバランスよく栄養素を摂る

栄養は食事からとるのが基本です。とはいえ、どんな食事をどのくらい摂ればバランスよく栄養を摂取できるのか、自分の現在の食事が適切なのかどうか、よくわからないという人もいることでしょう。そんなとき参考になるのが、厚生労働省と農林水産省が合同で策定した「食事バランスガイド」です。

これは食事内容を「主食」「副菜」「主菜」「牛乳・乳製品」「果物」の5グループに区分し、何をどれだけ食べたらいいか、コマの形のイラストで表現したものです。単独の食品ではなく、料理として示されているのが特徴です。

コマの上部には最も多く摂るべき主食(ご飯やパン)、その下には副菜(野菜やキノコなど)、次は主菜(肉や魚、卵、大豆料理など)、そして牛乳・乳製品と果物という順です。そのバランスが崩れると、コマが傾いたり倒れたりすることを示しており、食事の栄養バランスがよくないということです。なお、コマの一番上には運動をしている人が描かれ、食事に加えて運動も健康維持に欠かせないことが示されています。ご自身の食事内容のバランスが適切かどうか確認してみましょう。

中高年の日本人約8万人を約15年間追跡調査した疫学研究では、食事内容がこの食事バランスガイドに近い人ほど総死亡率、心血管系疾患(特に脳血管疾患)による死亡率が低いと報告されています※11。

食事バランスガイド

  • 11 BMJ. 2016 Mar 22:352:i1209. doi: 10.1136/bmj.i1209.

不足しがちな栄養素は健康食品などで補う

食事だけでは不足しがちな栄養素は健康食品から補う方法もあります。健康食品には、国の制度に基づいて機能性を表示しているものと、そうでないものがあります。機能性を表示しているものは「保健機能食品」と呼ばれ、この中には「機能性表示食品」「栄養機能食品」「特定保健用食品」があります。

健康食品と医薬品の分類

機能性表示食品は、安全性や機能性の根拠となる情報を消費者庁長官に届け、事業者(製品を販売する企業)の責任において、科学的根拠に基づいた機能性を表示したものです。例えば、内臓脂肪の減少や血圧の低下などの表示があります。

一方、栄養機能食品は、ビタミンやミネラルなど必要な栄養素が不足しがちな場合、その補給のために利用するものです。すでに科学的根拠が確認されている栄養成分の機能と、その1日当たりの摂取目安量などが表示されています。サプリメントの場合、国が基準値を定めた特定の成分で、かつ基準値に合っているものが栄養機能食品となります。

特定保健用食品は、一般に「トクホ」と呼ばれるものです。国の審査によって、健康の維持増進に役立つことが科学的根拠に基づき、特定保健用食品の表示が許可されます。「糖の吸収を抑える」「コレステロールの吸収を抑える」などの表示があり、製品には許可マーク(トクホマーク)がついています。

毎日の食事で不足しがちな栄養素は、これらの食品を上手に利用して補うといいでしょう。満尾先生は次のように話します。

私のクリニックでは、患者さんごとにどんな栄養素が足りないかを調べ、その不足した栄養素を食事だけでなく、サプリメントも利用して補ってもらうようにしています。例えばビタミンDですが、これは同じ量を摂っても人によって血中濃度の上がり方に差が出やすい傾向があります。太っている人は脂肪組織にビタミンDが溶け込むため、血中濃度が十分に上がりません。脂肪肝などがあって肝臓の機能が低下している人も同様です。そのような場合には、通常よりも多めにサプリメントを摂るように指導しています。なお、ビタミンDについては、食事やサプリメントから摂取できるのは、25-ヒドロキシビタミンDというビタミンDの前駆体です。これは体の中に吸収されてから活性型のビタミンDに変わり、健康効果を発揮します。薬の場合は最初から活性型になっていますが、食品やサプリメントの場合は、いわばビタミンD活性バージョンに変身する前の元材料を摂っているわけです。

繰り返しになりますが、栄養摂取の基本は毎日の食事といっても、それだけでは補いにくい栄養素があります。健康維持のため、大切な栄養素が不足しないよう日ごろからサプリメントを活用するのもいいでしょう。その場合、まずはマルチビタミンやミネラルのサプリメントをベースにし、さらにビタミンDなど不足しがちなサプリメントをプラスすることをお勧めします

自分のからだと健康は自分でつくり上げる。食事についても、自分が今何を摂っているのか常に意識を持ちながら選択して食べるようにしたいものです。

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専門家プロフィール(あいうえお順)

満尾正先生
1982年、満尾クリニック(東京都、渋谷区)院長。北海道大学医学部卒業。杏林大学救急医学講師、ハーバード大学外科代謝栄養学教室研究員などを経て、2002年、アンチエイジング治療専門の現クリニックを開業。米国アンチエイジング認定資格取得(日本初)。日本抗加齢医学会認定医。
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