労働安全衛生の推進

第一三共グループでは、EHS*経営委員会にてグローバルでの健康・労働安全に関する方針・目標・施策を定めています。国内グループ会社においては、最高健康経営責任者をトップとした健康経営推進体制を敷き、会社と労働組合で合意した安全衛生管理の中期方針に基づいた安全衛生施策を推進しています。

*EHS:Environment, Health and Safety(環境・健康・安全)

第一三共株式会社「社員の健康と安全

健康・安全に関する取り組み

第5期中期EHS経営方針(2021~25年度)に基づき、「働きがいのある職場づくり」の実現を目指して取り組んでいます。
健康に関する第一三共グループ方針:
(1)社員の健康増進
(2)快適な職場・作業環境の整備
(3)労働安全衛生対策の強化
(4)教育・コミュニケーション

健康増進については、重点領域を「生活習慣病、がん、メンタルヘルス、運動機能」に設定し、社員の健康増進を図っています。また労働安全については、2021年4月より、労働安全衛生マネジメントシステムを導入し、労働災害の未然防止および労働災害発生時の被害の最小化を推進し、社員の安全の確保に取り組んでいます。

健康経営の推進にあたっては、2017年に社員の健康課題を把握するため、各種健康関連データを多面的に分析しました。その結果、定期健康診断における各種検査項目の有所見率(臨床検査値が正常範囲外にある社員の割合)が一般に比して高い状況のなか、健康上の課題に対して改善のための行動を自発的に起こさない、または改善する意識がないという社員が少なからずいるということが明らかになりました。この結果は「将来的に社員に健康障害が発生するリスク」であり、会社・社員の双方にとって早急に改善する必要がありました。

そこで、「健康意識の向上」を重要課題とし、社員が自身の健康状態を正しく理解し、自ら健康保持・増進に取り組める環境を整備すべく、評価指標・目標を設定したうえで、目標達成に向けて保健指導や社員啓発などの取り組みを強化してきました。こうした2020年度までの取り組みにより、健康施策の実行状況や受診率など、一定に行動が定着したと判断し、2021年度からは社員の生産性向上を目指し、健康保持・増進に係る新たな評価指標(下図参照)・目標を設定し、さらなる健康経営の推進を図っています。

評価指数(2021-2025年度)



評価指標

基準値
(年度)

2021年度
実績
目標値
2021
年度
2022
年度
2025
年度
備考
(1) アブセンティーイズム
(30日以上の私傷病休業者)
4人
(2019)
3人 設定なし*

※短期で改善は困難なため、単年は設定しない
3人 基準値から
20%減
(2) プレゼンティーイズム 16.2%
(2020)
12.5% 13% 基準値から
20%減
(3) 有所見者率 脂質 42.6%
(2019)
41.4% 30% 一般平均(健保連2019年データ)以下に改善
血圧 27.9% (2019) 26.2% 16%
肝機能 22.7% (2019) 21.3% 15%
(4) 転倒・転落労災発生数 2件 (2018) 1件 1件 基準値から
50%減
(5) 高ストレス者率 6.2% (2020) 5.7% 2%
(6) 健康イベント参加率 13.4% (2020) 15.4% 15% 35% 40% イベント参加者数/
全社員数
(7) 特定保健指導実施率 56.9% (2019) 69.7% 50% 65% 70%
(8) 喫煙率 24.3% (2019) 19.2% 13% 11% 8% 2030年度には0%

*(1)~(5)は短期間での改善は困難なため、単年度の目標は設定しない。

日本国内の労働安全衛生に関する制度・取り組み

制度・
取り組み
概要
社内健康サイト 社内イントラネットに健康に関する情報サイトを開設し、全社員へ健康経営の推進状況、会社制度、各種健康情報を紹介しています。
定期健康診断 第一三共グループにおいては統一の基準で、全社員を対象に実施しています(2021年度定期健康診断受診率 100%、有所見者における医療機関受診率 88%)。健康保険組合と協力し、メタボリックシンドローム該当者および予備群には特定検診の結果に基づいたリスクの度合いに応じて、栄養指導などを含む生活習慣改善指導を提供しています。
人間ドック受診 健康保険組合と協力し全従業員に対して受診を勧奨するとともに、人間ドック休暇を導入しています。被扶養者にも同様に受診を推奨しています。
健康診断結果管理 健康診断結果を一元管理するデータベースを導入しています。
長時間労働対策 長時間労働者に対する医師面接を実施し、事後措置対象者には、産業医・上長と連携し個別指導を徹底しています。また、長時間労働を抑制するために、年間所定外労働時間の上限設定、勤務間インターバルの確保、有給休暇取得促進にも取り組んでいます。
がん対策 仕事と治療の両立を目的として、通院型がん治療における療養休暇の一日単位または半日単位での分割取得を導入しています。また、がんについての基本的な知識や安心して働くための会社の支援制度を紹介する「がんと向き合うガイドブック」を作成し、提供しています。また、がん以外の治療についても分割取得制度を導入しています。
禁煙推進 2021年4月に社長から2030年に喫煙率ゼロを目指す禁煙宣言を発表しました。敷地内、就業時間内禁煙などの環境整備に加え、役員や組織長の率先垂範により、積極的な禁煙推進を図っています。また、オンライン禁煙外来プログラムの費用補助施策を利用した参加者全員が禁煙を達成しています。
からだの健康づくり 社員の健康増進を図るため、健康対策の重点領域に対応した、健康改善アプリの提供、お笑い健康ライブ、スポーツクラブの利用補助など、多様な施策を提供しています。健康保険組合と協力し、ウォーキング、禁煙、ライフスタイル、節酒など生活習慣を改善するプログラムや、個人向けの健康情報提供ポータルMY HEALTH WEB(マイヘルスウェブ)を提供しています。
また、第一三共ヘルスケアにおいて独自の健康イベントを企画・実施しています。
心の健康づくり ストレスチェックを実施し、高ストレス者に対しては個別のフォローを実施しています(2021年度ストレスチェック受検率 94.8%)。また、セルフケア*1・ラインケア*2に関する研修を実施するなど、不調者発生の予防に取り組んでいます。外部のメンタルヘルスカウンセリングと契約し、いつでもカウンセリングが受けられる体制を取っています。また、ストレスに対する対応力を高める方法を習得する研修を実施し、各自の心の健康づくりを推進しています。さらに、就業環境が大きく変化する異動者、入社者に対するエンゲージメント調査の実施により、心身の状態変化を早期に把握、対応する体制を整えています。
職場復帰支援制度 傷病による療養休暇や休職に対する円滑な復職と再発防止を目的として、職場復帰支援制度を運用しています。この制度に基づき、産業医や産業保健スタッフの関与のもと、体調不良者の復職中におけるフォロー・復職判定・復職後のフォローを実施しています。
団体長期障害所得補償制度
(GLTD)
万が一の就業不能リスクに備え、病気やケガで働けなくなった人に、最長、定年まで一定の割合で収入補償を行う制度を導入しています。
  • *1 社員自身がストレスや心の健康について理解し、自らのストレスを適切に対処して、予防・軽減につなげること
  • *2 部下と日常的に接する上司が、心の健康のために職場環境などを改善することや部下からの相談に対応すること

健康経営優良法人2023~ホワイト500~に認定

第一三共ヘルスケアを含む第一三共グループは、「健康経営優良法人2023~ホワイト500~」に認定されました。