睡眠コラム5

いま話題のスリープテックとは

最近、ウェブや新聞などで「スリープテック」という言葉を見かけることが多くなりました。スリープテックとは、IT(情報技術)やAI(人工知能)などの技術を使い、"眠り"を科学的に分析したり、睡眠改善するための製品やサービスのことをいいます。悪い睡眠が健康や経済損失につながる大きな要因であることが世界的に認識されてきたことが背景にあります。睡眠を記録する機能を備えた時計タイプのウェアラブル端末やアプリ、太陽光を再現して体内時計のリセットを促す目覚まし時計、睡眠中の体の動きやいびきをモニターする寝具、音や香りで眠りを誘う機器など、多種多様なものが開発されています。

例えば脈拍などのヘルスケアデータを計測できる腕時計型の端末だけとっても幾つかの種類がありますが、実際にそれで睡眠の状態が正確に計測できるのか気になるところです。
「厳密には睡眠の深さは脳波で定義されています。これに対し時計タイプの端末やアプリなどは脈拍や呼吸、振動等から推定しているので、眠りの深さは正確に反映されない可能性があります。ただし、入眠時間と起床時間は比較的正確に感知されるので、自分が実際に寝不足かどうか、睡眠リズムに問題はないかなどを確認するのには有用でしょう」(中村先生)。
多くの企業や大学などでスリープテックの研究が進められており、今後ますます多様な商品やサービスが開発されると期待されます。

専門家プロフィール

中村真樹先生
青山・表参道睡眠ストレスクリニック院長。日本睡眠学会専門医。東北大学医学部卒・東北大学大学院医学研究科修了後、東北大学病院精神科で助教、外来医長を務める。睡眠総合ケアクリニック代々木院長を経て、2017年より現職。公益財団法人神経研究所附属睡眠学センター研究員、東京医科大学睡眠学講座客員講師。
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