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口臭について

口臭について

口臭とは、口から発生する不快な臭いです。本人もまわりの人も不快に感じます。口臭の自覚がある人は80%を超えると言われています。その割合は40代後半から50代前半にピークを迎え、その後減少します。人は同じ臭いをずっと嗅いでいると次第に慣れてしまい、その臭いを感じなくなってしまうという順応反応があることも、この要因と思われます。これによって自分の臭いを感じにくくなり、口臭があるのかな?と心配になったりします。

1.口臭の主な原因は歯周病

口臭の原因のほとんどは口の中のトラブルです。なかでも歯周病との関連が深いと考えられています。

歯周病菌は歯と歯ぐきの境目(歯周ポケット)に細菌が集まってバイオフィルムという膜を作り、炎症を起こします。歯周病の原因になる菌の多くは嫌気性菌けんきせいきんといわれ、酸素が苦手という性質があります。そのため酸素が届きにくい歯周ポケットの中に好んで存在します。そして嫌気性菌が活発に活動するようになると揮発性硫黄化合物きはつせいいおうかごうぶつという物質をつくり、口臭のもとになります。

2.歯周病だけではない!口臭の原因

口臭の原因は大きくわけて3つあります。

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    生理的口臭
    お口の中にはたくさんの細菌がいて、唾液の浄化作用によって細菌が増殖するのを防いでいます。しかし1日の中で唾液の量は変動します。そのために起きた時、お腹が空いた時、緊張したりストレスがかかったりすると唾液の量が減り、口臭を感じやすくなります。
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    病的口臭
    体の状態が悪化したときにも、口臭を感じやすくなります。一過性ではない、強烈な臭いがでることが多いようです。原因は様々で、歯周病、むし歯、歯の表面や舌の上の汚れ、入れ歯や被せ物や詰め物が古くなる・壊れるなどのお口のトラブルが臭いのもとになります。その他には口腔がん、呼吸器系や消化器系の病気、肝機能の低下、糖尿病、便秘などが原因になることもあります。
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    女性ホルモンのバランスによる口臭
    生理的口臭に分類されることもありますが、この口臭には女性ホルモンの変動が大きく関わっています。女性ホルモンのひとつであるエストロゲンは自律神経を整える作用があり、エストロゲンの分泌が少なくなると唾液の分泌も少なくなります。ライフステージでみると、思春期、妊娠・出産期、更年期にあたります。毎月でみると生理中や排卵中に影響を受けやすいです。

3.口臭の原因物質

以下の3種類が代表的な口臭原因物質です。

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    硫化水素
    「たまごの腐ったような臭い」と表現されます。硫化水素は温泉や火山そして下水などで発生し、時には死亡事故が起きるほどの毒ガスです。また、最近では口臭だけではなく、歯を支える骨を溶かす強い作用があるといわれていて、歯周病を悪化させる原因となります。
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    メチルメルカプタン
    「玉ねぎの腐った臭い」と表現されます。硫化水素より10倍から20倍の強い臭いを持ち、悪臭防止法や大気汚染防止法でも規制物質・特定物質として指定されています。そして歯周病の進行によって増える物質で、歯周病の進行を助長する物質でもあり、歯周病ともっとも関連の深い臭いです。
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    ジメチルサルファイド
    「生ゴミの臭い」と表現されます。食べ物による一過性の口臭や全身疾患が原因の口臭にみられます。

その他にもアンモニア(臭)(おしっこのような臭い)は腎疾患や便秘、アミン臭(公衆トイレのような臭い)は肝疾患、アセトン臭(甘酸っぱい臭い)は糖尿病の方に多いとされます。

4.口臭のセルフチェック

お口の中の様子からチェックしてみましょう。

  1. 傷がないのに歯ぐきから出血することがある。
  2. 歯ぐきが腫れることがある
  3. 口の中がネバネバする
  4. グラグラする歯がある
  5. 食べ物がよくはさまる
  6. 治療していないむし歯がある
  7. 舌が黄色い
  8. 口の中が乾燥している

この項目に当てはまるものがあれば歯周病のリスクが高く、同時に口臭のリスクも高くなります。

実際にお口の臭いの有無をチェックしてみましょう。

  1. 起床時すぐ(話したり、水分をとったりせず)に、清潔なガラスコップに息を吐きます。即座に入り口を蓋か手で塞ぎ、一旦深呼吸してからそっとコップの中の臭いを嗅ぎます。
  2. 舌の上の白い汚れを綿棒やコットンなどで取って臭いを嗅ぎます。
  3. デンタルフロスを使ったあとに、そのフロスの臭いを嗅ぎます。

このいずれかで不快な臭いがしたら、口臭がある可能性があります。

5.口臭の分類別対処法とケア

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    生理的口臭の場合
    健康であっても1日の中で唾液の分泌量が変化し、それに連動して口臭のリスクも変動します。ブラッシングや歯間ブラシ、デンタルフロスを毎日使ってセルフケアをし、お口の中の歯周病菌を減らしておくことが有効です。
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    病的口臭の場合
    病的口臭の原因の多くはお口の中のトラブルです。むし歯や歯周病、不具合を起こしている入れ歯や治療済みの歯がないか歯科医院でチェックしてもらいましょう。
    全身疾患が原因と思われる場合は専門医の診察を受けて、生活習慣の見直しをしてください。
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    女性ホルモンによる口臭の場合
    生理的口臭の唾液分泌量と同様に、健康であってもホルモンのバランスは変化します。その変化でお口の中が影響を受け、口臭の発生や歯周病が進行しやすくなります。そうならないように、セルフケアをしっかりとしていきましょう。

以上のように口臭には3つの分類がありますが、共通している原因は歯周病の進行です。歯周病予防のためにケアをすることが口臭の予防にもつながります。口臭は歯周病を見つける重要なサインです。見逃さないようにしましょう。

Drコメント

  • 角 祥太郎

    角 祥太郎歯科医師

    口臭の本当の怖さは「誰も教えてくれない」ことです。
    自分で何とかできる口臭は完全に自己責任、特にビジネスパーソンにおいて口臭は致命的です。
    口臭がある人の話は頭に入ってきません。
    「テレワークだから大丈夫」とタカをくくるのも考えものです。
    口臭=細菌が歯ぐきを燃やしている臭いなのです。
    身体の炎症は全身の炎症に繋がります。「焦げ臭いな?」で済んでいる今のうちにケアをしましょう!

  • 宮下 裕志

    宮下 裕志歯科医師

    口臭の原因の8割はお口の中の問題、それ以外に胃や鼻が原因で起こることがあります。
    口臭というのは、簡単に言うと匂いを出す細菌が多くいる場合に起こります。
    その細菌は空気を嫌う菌ですので、それらが蓄積して停滞している場所があるということです。
    例えば、歯周ポケットや、むし歯のある部位や、被さっている歯がぴったりあっていない場所も原因となります。

  • 王 さき

    王 さき歯科医師

    ご家族から口臭を指摘されて来院される患者さんも少なくありません。
    口の中が原因の口臭の場合、原因に対した適切なケアを行うことで劇的に改善します。
    また、口臭は胃腸・呼吸器・糖尿病などの体の不調のサインの可能性もあります。
    ご自身で悩まず、まずは歯科医院や医療機関で相談をしてみてください。

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