生理痛について“学び・考える授業”
性別や痛みの有無に関係なく、1人でも多くのティーン世代が
生理痛について正しく知り、考える機会を持てるよう、
高校生や教員、保護者の方を対象に授業・ワークショップを実施しています。
実施レポートは以下からチェック!
中学・高校の養護教諭向けセミナー・ワークショップ「生理痛会議」
2025年8月20日実施
2025年8月、みんなの生理痛プロジェクト for TEENの新たな取り組みとして、中学・高校の養護教諭向けセミナー・ワークショップ「生理痛会議」を開催しました。
<養護教諭の声を受けて開催>
⾼校⽣や教員、保護者を対象に実施している「⽣理痛について“学び・考える授業”」の中で、生理・生理痛に関して生徒の相談相⼿として上位に挙がっているのが、保健室の先⽣でした。そこで、普段、学校で⽣徒の悩みに向き合われている中学・⾼校の養護教諭の皆様にアンケートを実施したところ「産婦⼈科医から専⾨的な知識を学ぶ機会」や「他校の養護教諭と学校教育における⽣理・⽣理痛との向き合い⽅について意⾒交換を⾏う機会」のご要望を多くいただいたことから、本セミナー・ワークショップを実施することとなりました。
<養護教諭の抱える課題とは?>
事前アンケートで「生理・生理痛で悩む生徒への対応で、養護教諭として議題に感じていること」を伺ったところ「不調を訴えて保健室に来る生徒への指導はできているが、どういった症状が異常であるか、生徒全体への指導が必要と感じる」「最近はピルを飲んでいる生徒も多く、自己管理できているとは思うが、正しい知識がどの程度あるのか疑問に思う」など、実際に生徒と直接関わる立場だからこそ直面する声が寄せられました。
事前アンケート
Q. 生理・生理痛に悩む生徒への対応で養護教諭として課題を感じていることを教えてください
(複数回答)
- ・受診を勧めても、本人だけでなく親御さんの抵抗感が強く、なかなか受診に繋がらないこともある
- ・鎮痛薬の服用薬や、ピルの処方に抵抗感がある親御さんがいる
- ・痛みがあっても家の人が課題として捉えず、鎮痛薬は使わない方がよいなどの考え方をお持ちのケースがある
対処せずに過ごしてしまう
- ・毎月生理痛で来室するのに受診に繋がらない / 薬を持ってこない / 薬を持ち歩かない
- ・婦人科受診のハードルが高いと感じている生徒が多い
- ・生理に振り回されているのが当たり前で、自分でコントロールする方法を探ろうとしない
- ・薬を飲みすぎたら効果が無くなると言って飲まずに我慢する生徒が多い。痛くなる前に我慢せずに飲んでねと言うが、なかなか伝わらない
- ・生理周期を把握していないなど、生理に関する正しい情報を知らない
- ・最近はピルを飲んでいる生徒も多く、自己管理できているとは思うが、正しい知識がどの程度あるのか疑問に思う
養護教諭としての接し方
- ・鎮痛薬や生理用品など、どこまで養護教諭として勧めていいのかわからない
- ・専門的な知識が不十分で、医療機関をすすめることくらいしかできない
- ・婦人科を受診したほうがよい症状がでていても保護者に通院の必要性を理解してもらえず、生徒がつらい症状に苦しんでいるケースもある
- ・不調を訴えて保健室に来る生徒への指導はできているが、どういった症状が異常であるか、全校生徒への指導が必要と感じる
- ・個別に相談に来れば悩みに対応できるが、全体に周知する機会がなかなか作れないため、我慢している生徒や悩みの解決策を知る機会のない生徒もいる
- ・経血量や周期などの「普通」を知る機会がなく正しい情報を届ける機会もあまりない
調査対象:全国の中学・高校の養護教諭のうち168名
<当日の様子>
当日は産婦人科医・高尾美穂先生から生理・生理痛のメカニズムや対処法、月経困難症や子宮内膜症、子宮筋腫などの症状についてだけでなく、前述のアンケートで寄せられた「生徒の不調に合わせた対処法を養護教諭としてどう指導していくのが良いか」「どうやって生徒へ婦人科受診を勧めたら良いか」などの質問について解説いただきました。ご参加いただいた養護教諭の先生方からの質疑応答も盛んに行われました。
続いて、「今後、養護教諭としてどういった情報があると生理・生理痛について指導しやすいか」をテーマに、グループに分かれてディスカッションを行いました。「生徒へナプキンを渡す際に薬の飲み方を伝えるカードを添える」、「毎月継続的に情報発信できる仕組みが必要」など具体的な提案が多く挙がりました。
参加者からは「医学的な内容を生徒にも伝えやすい言葉で言ってもらったのが活用しやすくてよかった」「毎年この時期(夏休み期間)に実施してほしい」などの声が寄せられ、生理・生理痛に悩む生徒や保護者、他の教員との向き合い方について、改めて考える機会となった様子でした。
広尾学園 中学校・高等学校
2025年1月25日実施
2025年1月、授業の趣旨に賛同いただいた広尾学園中学校・高等学校の生徒男女32名を対象に、「生理・生理痛について“学び・考える授業”」を実施しました。
<生徒の意見を取り入れた授業構成に>
今回は、授業に取り組みやすくなるためのアイデアを、生徒の皆さんと一緒に検討。今まであまり触れることが無かった「生理痛」を考えるきっかけとして、授業に入る前に、同校生徒へ実施したアンケート結果を紹介すると、生理や生理痛に悩む人が多い実情を身近に感じている様子でした。
広尾学園中学校・高等学校事前アンケート結果より
Q. あなたが経験した生理に関するイヤなことを教えて下さい(複数回答)
【その他の回答】(抜粋)
- 生理痛で授業に全く集中できない
- 寝てる間にベッドに血がついてしまう
- 体育がつらい
- 生理による心身の不調から周りの人と喧嘩になってしまった
- 同性の友人からの無理解
- 薬を飲んでも酷い腹痛を感じた そのせいでしたいことが何もできなかった
調査期間:2024年12月-2025年1月 調査方法:Google Forms
調査対象:広尾学園生徒46名のうち生理経験者42名
参加生徒の多くが医学に興味があることから、産婦人科医・高尾美穂先生からの講義では、生理・生理痛のメカニズムや対処法だけでなく、女性ホルモンの働きの重要性や、生理周期の中で起こりうる不調、月経困難症の種類など、より深い内容まで説明いただきました。
最後に、「自分と仲の良い友人が生理痛でつらそうにしていたらどうする?」というお題について、生徒同士でディスカッションを実施。生徒の意見を取り入れ、少人数のグループで話す形式にしたことで、普段あまり話題にならない生理痛について話しやすい雰囲気となり、活発な意見交換が行われました。
品川女子学院
2024年8月25日実施
ティーン世代が生理痛を我慢しない環境を後押しするため、プロジェクト初となる「中高生保護者向け」セミナー・ワークショップを企画。2024年8月25日(日)に品川女子学院にて実施しました。
<セミナー・ワークショップ 概要>
進行役を務めたのは、 生理にまつわる正しい知識を学生目線で啓発することを目的として発足した、品川女子学院生徒の有志による活動団体CLAIR.(クレア)。まず最初に、アイスブレイクとして、同校の生徒に実施した事前アンケートの結果をもとに、生理痛に関する生徒の実情をクイズ形式で学びました。
クイズ 品川女子学院生徒事前アンケート結果より
生理前・生理中をあわせて、生理に関連する不調がある日数は、1ヶ月の中でどのくらいですか?
- 不調を感じることはあまりない
- 1カ月の中で数日程度
- 1カ月の中で5日〜10日程度
- 1カ月の中で10日〜20日程度
- 1カ月の中で20日以上
調査期間:2024年7月 調査方法:Google Forms
調査対象:品川女子学院生理経験者55名
次に、産婦人科医・高尾美穂先生が生理・生理痛のメカニズムや、月経困難症の症状、生理痛の対処法について講義を行いました。保護者は熱心に先生の話に耳を傾け、時折頷きながらセミナーに参加し、経血量が多い場合の対処法や鎮痛薬を飲むタイミングについてなど、質疑応答も盛んに行われました。
最後に、「子どもが家で生理痛がつらそうにしていたら、何ができるでしょうか?」とのテーマについて、保護者同士でグループに分かれディスカッションを行いました。「大丈夫?との声かけとともに、ココアや白湯などの温かい飲み物を勧める 」「部屋を冷やしすぎないなど、家の中の環境を整える」といった具体的なアクションにつながる意見が多くあがりました。
参加した保護者からは、「知識のアップデートはもちろん、もしかすると生理に関する不調に気付いてあげられていなかったかもしれないと気づきを得る貴重な機会となった 」「痛みを我慢する必要がないということ、一人一人望む対応が違うことを理解した上で、コミュニケーションをとっていきたいと思った 」などの声が寄せられ、生理痛に悩む子どもとの向き合い方について、改めて考える機会となった様子でした。
学校法人日出学園
2024年6月19日実施
2024年6月、授業の趣旨にご賛同いただいた日出学園高等学校にて、1年生~3年生を対象に受講希望者を募り、「生理痛について“学び・考える授業”」を実施しました。
<はじめに>
まず最初に、ロキソニンの担当者が今回の授業の趣旨を説明。
日出学園の生徒に実施した事前アンケートでは、生理痛で学校生活に支障が出ていても、ガマンした経験のある方が9割以上にのぼったことなどを共有しました。
今回の授業を通じて 「痛みに悩む生徒に対しては我慢以外の対処法があることを知ってほしい」、さらに 「性別を問わず生理痛の理解を深めるきっかけにしてほしい」 との想いを伝えました。
学校法人日出学園事前アンケート結果
生理痛が学校生活に悪い影響を与えたと感じた時、その症状を我慢したことはありますか?
どういった我慢をしてしまったか(一部抜粋)
- 腹痛がひどく冷や汗が出てしまったが、授業中だったため我慢した
- 痛みで倒れそうと思っても、保健室に行かず耐えた
- 体育の授業を休まずに受けた
- 貧血になったが授業を受けた
- とても体調が悪かったが我慢して1日過ごした
調査期間:2024年6月 調査方法:Google Forms
調査対象:学校法人日出学園、生理経験者のうち、「【生理痛(下腹部痛、腰痛など生理に伴う痛み)】が学校生活に悪い影響を与えたことがある」と回答した38名
<学ぶ>
続いて、産婦人科医・高尾美穂先生にご登壇いただき、生徒から事前に寄せられた「なぜ毎月血が出るの?」「生理痛はなぜ起こるの?」「生理痛ってどんな痛み?」などの疑問にお答えいただきました。
さらに、生理痛の対処法に関する講義では、生徒から寄せられた「婦人科受診」や「市販の鎮痛薬」の疑問についても解説いただき、普段の生活を送る上で、生理や生理痛がつらいと感じたら、自分に合った対処法を見つけることが大切であることを教えていただきました。
<考える>
講義を踏まえ、「『生理痛』に悩んでいる当事者がガマンしないために、何ができるでしょう?」というテーマについて、グループでディスカッションを行いました。
当事者、周りの友達や家族、社会全体などさまざまな立場から考え、「身近な友人や家族に相談しやすい空気を作る」「性別問わず一緒に生理に関する授業を受けられるようにし、たくさんの人に生理・生理痛について知ってもらう」「学校にも『生理休暇』を導入して、休みやすい環境づくりをしてほしい」などの意見が出ました。 最後に、高尾先生から「今日学んだことが、自分が困った時や周りの人が困っていそうな時に、何かできることがないか考えるきっかけになったら嬉しい」とコメントをいただき、授業は終了しました。