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歯周病と喫煙

歯周病と喫煙

「タバコをやめないとなぁ…」と思っているけどなかなかやめられない。そんな方は多いのではないでしょうか。

この記事では歯周病とタバコの関係について解説していきます。

タバコを吸っていると、歯周病の進行が早まり、治りも遅くなります。
歯周病だけではなく、あなたの愛する人の体にも悪影響を与えてしまっているかもしれません。

ぜひこの機会に、タバコとの付き合い方について考えてみてください。

1.歯周病の進行を早めるタバコ

タバコの煙にはニコチンや発癌性物質などの、有害な化学物質が2,000種類以上含まれています。
喫煙者が歯周病にかかる危険度は、1日に10本以上喫煙すると5.4倍にもなり、重症化しやすくなるというデータが出ています。

2.喫煙によってなぜ歯周病が進行するのか

タバコに含まれる成分により、歯周病の原因となるプラークや歯石が付着しやすくなり、そして、ビタミンCを壊してしまうことによって歯ぐきを作っているコラーゲンがうまく作られなくなります。
お肌も同様ですが、タバコが原因でコラーゲンが作られなくなると、歯ぐきも老化が早まってしまいます。
また、タバコの有害物質が直接お口の中に作用するだけでなく、肺を通して体内に入り込むことによって体の抵抗力や免疫力が低下し、歯周病が進行し、治りにくくなってしまうのです。

3.喫煙が口腔内に与える影響

タバコに含まれるニコチンには、血管を縮めてしまう作用があります。血管が縮まると血行が悪くなり、歯ぐきが炎症を起こしても、出血や腫れが現れにくくなります、そのため、歯周病の発見が遅れます。
また、治療を始めても歯ぐきの治りが悪く、タバコを吸っていない人に比べて治療の効果が得にくくなります。

タバコに含まれる「一酸化炭素」という物質は、血液が酸素を全身に運ぶのを邪魔します。
また、「ニコチン」は神経毒でもあり、血管を縮ませてしまい、体が酸欠・栄養不足の状態に陥ります。
そして、体を守ってくれる免疫機能も低下させるので、歯周病だけではなく様々な病気への抵抗力が落ちたり、アレルギーの引き金になったりします。
残念なことに、体が傷を治そうとする細胞の働きまで抑えてしまうため、手術後の治りも遅くなります。
また、タバコのヤニによって茶色くなった歯は、ただ着色がついているのではなく、その汚れからは毎日ジワジワとニコチンが染み出しているのです。

4.受動喫煙

ここまで喫煙が歯周病に与える影響についてお話ししてきましたが、喫煙している当の本人よりも、受動喫煙の方がリスクが高いことが分かってきています。
喫煙者のリスクがタバコを吸わない人の3.3倍である一方、受動喫煙者のリスクは、タバコを吸わない人の3.6倍にも及ぶという研究調査の報告があります。
タバコを吸っている本人よりも、受動喫煙者のリスクの方が高いことになりますから、これは驚きのデータです。
受動喫煙は、子どもの歯ぐきの色にも影響します。
タバコを吸っている本人以外にも大きな悪影響を与えていることを忘れてはいけません。
他の人に受動喫煙をさせてしまわないように、場所を選んで喫煙するよう心掛けましょう。

5.禁煙の効果

では、禁煙をするとどのような良いことがお口の中で起こるのでしょう。
禁煙をすると数週間で、歯ぐきなどの組織は本来の免疫反応が回復し、歯周病の治療をすることで1年後には歯ぐきは本来の健康な状態に戻ると言われています。
歯ぐきの黒ずんだ色も、時間はかかりますが少しずつ元の綺麗なピンク色に戻ります。他にも、呼吸が楽になる、咳や痰が出なくなる、味覚が正常になり食事が美味しくなる、口の中が爽やかになり口臭が少なくなる、家族や周りの人が喜んでくれる、など、禁煙をすることで様々な良いことが起きます。
ただ、禁煙はそんなに簡単ではないことも事実です。
なぜならタバコの主成分であるニコチンには、強力な精神依存作用があり、依存症のような状態になってしまうからです。
禁煙をするにあたって、なぜ禁煙をするのか目標を明確にして、環境を整え、周りのサポートを受けながらスタートしましょう。
タバコを吸いたい気持ちを発散させる方法も考えておき、時には専門家のサポートを受けるのも良いでしょう。
禁煙することはお口の健康だけでなく、全身の健康にとっても大きな効果をもたらしてくれます。
歯周病だけではなく、他の合併症と呼ばれる大きな病気を防ぐことにも繋がり、周りの人への健康被害も防ぐことができますので、是非禁煙にチャレンジしましょう。

まとめ

タバコを吸う人は、吸わない人に比べて歯周病にかかりやすく、進行も早く、歯周病の治療をしても治りが悪い傾向であることが分かりました。
歯ぐきへの影響だけでなく老化にも繋がり、免疫力を下げ、そしてタバコを吸っている本人だけならまだしも、吸っていない周りの人の方が被害を被っているのですから、タバコは百害あって一理なしですね。

Drコメント

  • ユースケイシカワ

    ユースケイシカワ歯科医師

    喫煙は消化器・呼吸器・循環器など様々な全身疾患に影響すると言われていますが、口腔も同様にリスクファクターとされています。
    歯肉には毛細血管が多く存在し、すぐに血行が悪くなってしまいます。
    タールによって着色するせいもあり炎症に気付きにくく、知らない間に歯周炎が進行してしまうこともあります。

  • 角 祥太郎

    角 祥太郎歯科医師

    「喫煙者の歯周病治療は実年齢に15歳足して考えろ」という歯科医師もいるほど、
    タバコは頭のイタイ存在です。とにかく歯周病の治りを邪魔します。
    口臭が出ますし、歯にとってタバコは一理もありません。
    禁煙するのも一苦労だと思いますが、長い目で見たらご飯を食べれなくなる方が大変だと思います。
    禁煙外来を受診してでも禁煙をして欲しいのが正直なところです。

  • 岡田 真和

    岡田 真和歯科医師

    簡単にやめることのできないタバコ。全身にもお口の中にも悪影響を及ぼします。
    最近は電子タバコの方も多くなり、種類にもよりますがニコチン等の有害物質が少ないものもあります。
    もちろん禁煙が一番大切ですが、少しでも有害物質の摂取を減らし、
    いくつになっても、おいしいものをご自身の健康な歯で食べていきましょう!!

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