アレルギー性鼻炎(花粉症)の原因

どうして症状が起こるの?

「アレルギー性鼻炎」の3大症状はくしゃみ、鼻水、鼻づまり。ハウスダストや花粉などの「アレルゲン※」が、体内の免疫システムを刺激してさまざまな症状を引き起こします。
季節に関係のない鼻炎は「通年性アレルギー性鼻炎」、花粉が原因で起こる鼻炎は「季節性アレルギー性鼻炎」といいます。

  • アレルゲン(抗原):アレルギー反応を起こす原因物質のこと

鼻のはたらき=呼吸器・嗅覚・声の共鳴の3つ

鼻は、顔の前に突き出た「外鼻」、鼻の穴から咽頭へ続く「鼻腔」、鼻腔を取り囲む4つの空洞からなる「副鼻腔」で構成される、複雑な器官です。顔の前に突き出た部分のみを指して呼ばれますが、これは鼻のごく一部です。
鼻の機能は、呼吸器として肺に空気を運ぶはたらき、嗅覚としてのはたらき、声を響かせるはたらきの3つがあります。

鼻の構造

副鼻腔の構造

アレルギー性鼻炎が起こるしくみ

アレルギーは、異物に対する防御システムが働いて起こるものです。アレルギー性鼻炎は、一般的に、ハウスダスト、花粉類、カビ類、動物の毛・フケなどが原因(アレルゲン)となり、体にとって異物となるこれらのアレルゲンに対して、過敏症状を起こしてしまうのです。

  1. アレルゲンが体内に入ると、まずは異物を何でも食べる細胞「マクロファージ」が食べ、その情報を「リンパ球」に伝えます。
    リンパ球は異物と認識して、次に入ってきたらすぐに攻撃できるよう、目印となる「抗体」を作ります。抗体は血液や粘膜内にある「肥満細胞」にくっつきます。
  2. 再びアレルゲンが体内に入ると、抗体のくっついた肥満細胞の表面で、アレルゲンと抗体は鍵と鍵穴のように結合します(抗原抗体反応)。
  3. これが引き金となって、炎症を引き起こす化学伝達物質(ヒスタミン、ロイコトリエンなど)が肥満細胞から放出されます。ヒスタミンは知覚神経を刺激してくしゃみや鼻水を、ロイコトリエンは鼻粘膜の血管を刺激して鼻づまりを起こします。

アレルギー性鼻炎が起こるしくみ

アレルギー性鼻炎の3大症状=くしゃみ、鼻水、鼻づまり

アレルギー性鼻炎になると、さまざまな症状があらわれてきます。徐々にあらわれてくることもあれば、突然始まることもあります。くしゃみ・鼻水・鼻づまりの3つの症状が揃えば、アレルギー性鼻炎が考えられます。

くしゃみ

くしゃみは、鼻の中の異物を外へ出すための体の反応です。立て続けに出るくしゃみに、鼻水や鼻づまりを伴い、熱やだるさがなければ、アレルギー性鼻炎と考えてよいでしょう。

鼻水

アレルギー性鼻炎が原因の鼻水は、水のようにさらさらした、水様性の鼻水がほとんどです。粘り気や色のついた鼻水の場合は、ほかの原因も考えてみましょう。

鼻づまり

鼻づまりとは、鼻の粘膜が腫れて空気の通り道を狭めている状態です。口を閉じるか、つまっていないほうの鼻を押さえると息がしにくくなります。かぜでもないのに鼻がつまる場合は、アレルギー性鼻炎を疑いましょう。

その他の症状

アレルギー性鼻炎になると、目、のど、皮膚などでも炎症の症状がみられることがあります。目に症状が出た場合は、涙が出てきてかゆみを感じたり、白目とまぶたが赤くなって腫れてきます。

鼻かぜとの見分け方は?

花粉、ハウスダストなどによる鼻のアレルギー症状と、いわゆる鼻かぜの症状には違いがあります。症状がアレルギーによるものかどうかわからないときは、医師に相談しましょう。

  花粉、ハウスダストなどによる
鼻のアレルギー症状(アレルギー性鼻炎)
ウイルスによる鼻かぜの症状
(急性鼻炎)
発熱 一般的に発熱はない 発熱を伴うことが多い
症状の日内変動 朝方が激しく(モーニングアタックという)、また就寝時に悪化することがある 一日中いつでも
症状の季節性 通年型(ハウスダストなど)
→1年中しばしば起きる
季節型(花粉)
→決まった月か季節の変わり目に起こる
短期間で軽快
家族歴・既往歴 家族にアレルギー歴を持つ人が多い
アレルギー性疾患にかかったことがある
特に関係がない
鼻汁 水様性の鼻汁が激しく出る 粘液性の鼻汁
鼻粘膜 青白くむくむことが多い 赤くなる

(コラム)アレルギー性鼻炎(花粉症)が増えているって本当?

近年、花粉症を含むアレルギー性鼻炎に悩む方が増加しているといわれています。アレルギー性鼻炎の増加とその背景にあると考えられる要因について解説します。

2人に1人がアレルギー性鼻炎?

2019年に日本人を対象に行われた調査では、49.2%の人がアレルギー性鼻炎であることが報告されました※1。つまり、日本人のおよそ2人に1人がアレルギー性鼻炎に悩んでいるということです。2008年に行われた同様の調査では、アレルギー性鼻炎の方は39.4%と報告されており、10年の間に10%ほど増えていることがわかります。
アレルギー性鼻炎は、その原因により季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)と通年性アレルギー性鼻炎にわけられますが、2019年の調査では、スギ花粉症の方が38.8%、通年性アレルギー性鼻炎の方が24.5%であったことも報告されています。2008年の同様の調査結果(スギ花粉症:26.5%、通年性アレルギー性鼻炎:23.4%)と比べると、どちらも割合は増えていますが、とくにスギ花粉症の増加が大きいことがわかります。

  • 1 松原 篤ほか:日本耳鼻咽喉科学会会報. 2020;123:485-490.

花粉の量が増えているから花粉症の人が増えているの?

スギ林やヒノキ林の増加のほか、地球温暖化が花粉の量に影響

花粉症の主な原因は、スギやヒノキの花粉です。日本では1970年代以降、戦後の植林政策などの影響で、スギ林やヒノキ林の面積が増えました。この人工林の成長と一緒に花粉の飛散量も増えたと考えられています。
また、地球温暖化による気温上昇も花粉が増える一因です。これらの要因により花粉の量が増えていることが、花粉症患者の増加に関わっていると考えられています。

花粉症増加の要因はさまざま

花粉症患者の増加には、花粉の量の増加以外にも、次のようなことが関与していると考えられています。

  • 舗装道路の増加
    地面に落ちた花粉は、土の上であれば吸収されていきますが、地面がアスファルトやコンクリートの場合は吸収されず、風に吹かれて再び舞いあがるとされています。都市化が進み、舗装道路が増えたことも患者数増加に関係している可能性が考えられています。
  • 空気中の汚染物質
    空気中の微小な汚染物質が、鼻や目などの粘膜を傷つけたり、アレルギー反応の元になる抗体をつくるのに関わったりすることが、花粉症の発症に関わっていると考えられています。
  • 食生活の変化
    現代の食生活の変化やそれに伴う腸内細菌の変化が、花粉症の増加と関係している可能性が考えられています。

上記以外にも、換気の悪い部屋でのストーブやガスレンジの使用による室内環境の汚染や、ストレスなども花粉症の症状に影響すると考えられています。

(コラム)季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)と通年性アレルギー性鼻炎の違い

アレルギー性鼻炎は、その発症の原因によって「季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)」と「通年性アレルギー性鼻炎」の2つにわけられます。それぞれの原因や特徴について解説します。

季節性アレルギー性鼻炎とは?

季節性アレルギー性鼻炎は、いわゆる「花粉症」として知られるタイプの鼻炎です。発症の原因である花粉が飛散する季節にのみ症状が現れるのが特徴です。
現在、国内では60種類以上の花粉が花粉症の原因として知られていますが、代表的なものは下記になります。

主な原因物質:
  • スギ:国内において、花粉症のおよそ70%はスギ花粉によるものだと考えられています。春先の3月ごろにピークを迎える代表的な原因物質です。
  • ヒノキ:スギ花粉より少し遅れて飛散し、4月にピークを迎えて6月ごろまで症状に影響します。
  • カモガヤ:イネ科の植物で、初夏を中心に症状を引き起こします。
  • ブタクサやヨモギ:どちらもキク科の植物で、8月~10月にかけて花粉が飛散します。
  • シラカンバ:北海道や東北地方など寒冷地で、4月~6月にかけて花粉が飛散します。
季節性アレルギー性鼻炎と地域差

季節性アレルギー性鼻炎の原因となる花粉の飛ぶ時期は、地域によって多少差があります。また、地域によって花粉の種類にも差があり、例えば、北海道ではスギやヒノキは少なくシラカンバが多い、関東より西の地方では年によってヒノキ花粉がスギ花粉より多く飛ぶといった特徴があります。

通年性アレルギー性鼻炎とは?

通年性アレルギー性鼻炎は、ダニやハウスダストなど日常生活で常に存在するものが原因となって引き起こされます。季節を問わず一年中症状がみられるのが特徴です。

主な原因物質:
  • ダニ:通年性アレルギー性鼻炎の原因物質の90%はダニであるとされています。畳や布団、カーペットに多く存在し、特にその死骸やフンなどがアレルギー反応を引き起こします。
  • ペットの毛やフケ:特にネコやイヌの飼育下で問題になります。
  • 蛾やゴキブリなどの昆虫:死骸やフンなどがアレルギー反応を引き起こします。
  • カビ:湿度の高い環境で繁殖します。空気中に漂う胞子を吸い込むことでアレルギー反応が引き起こされることがあります。
ハウスダストってなに?

上記に挙げたようなアレルギーの原因物質(ダニやペットの毛、フケなど)を含む目に見えないほど小さな室内のホコリのことです。吸い込むなどして体内に入ると、アレルギー性鼻炎を引き起こすことがあります。

ダニアレルギーと季節の関係

ダニは一年中存在しますが、特に夏に繁殖し、秋に入るとその死骸が空気中に漂いやすくなります。そのため、秋から冬にかけてダニによるアレルギー性鼻炎の症状が悪化することがあります。

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