薬剤師・医薬品登録販売者~どんな薬のことが相談できるの?

薬局やドラッグストアで、市販薬(OTC医薬品)を選ぶとき、対応してくれる店員さんが名札をつけていることにお気づきでしょうか。名札には「薬剤師」と書いてあったり「登録販売者」と書いてあったりします。「薬剤師」と「登録販売者」では、相談できることに違いがあるのでしょうか?
意外と知らない薬の専門家、「薬剤師」と「医薬品登録販売者(登録販売者)」について、知っておくと便利な情報をご紹介します。

どうして名札をつけているの?

市販薬(OTC医薬品)は、病院で医師に処方される薬(医療用医薬品)と違って、一般の人が薬局やドラッグストアで自分で選んで買うことができます。とはいえ、日用品などと同じように誰もがどれでも自由に買えるというわけではありません。
薬は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下薬機法)」という法律に基づき販売されています。OTC医薬品は、注意する度合い(使い方、成分、副作用に対する注意等)によって分類されており、薬機法で、薬剤師にしか販売できない薬と、医薬品登録販売者(登録販売者)でも販売できる薬が定められています。そのため、薬剤師、医薬品登録販売者(登録販売者)、一般の店員を、買う人が一目で区別できるように、それぞれ名札をつけているのです。

薬局やドラッグストアで名札をつけている人

薬剤師と医薬品登録販売者(登録販売者)の役割の違いは?

薬剤師と医薬品登録販売者(登録販売者)では、取り扱いできる医薬品が異なります。
薬剤師は、処方箋が必要な医療用医薬品を含む、すべての医薬品を取り扱うことができます。一方、医薬品登録販売者(登録販売者)は、OTC医薬品のうち第2類医薬品と第3類医薬品を取り扱うことができます。医薬品の分類は、一般の方に分かるようにパッケージの表面に記載されるよう、薬機法で定められています。

薬剤師 医薬品登録販売者(登録販売者)
資格 薬剤師国家試験に合格し、免許を受けた薬の専門家。すべての薬を扱うことができる。 都道府県が実施する試験に合格し、一般用医薬品の取り扱いに必要な資質を有することが確認された薬の専門家。
相談への対応
扱えるOTC医薬品の種類 要指導医薬品 ×
一般用医薬品 第1類医薬品 ×
第2類医薬品
第3類医薬品

店員さんがいても薬を買えないときがあるのはなぜ?

カウンターの後ろなどすぐに手の届かない場所に陳列されている要指導医薬品と第1類医薬品については、薬剤師のみが取り扱うことができるため、医薬品登録販売者(登録販売者)や一般の店員さんがいても、販売したり相談を受けたりすることができません。お店によっては、販売可能時間を掲示している場合もあります。要指導医薬品と第1類医薬品を購入したいときは、薬剤師の名札をつけた薬剤師さんに相談してください。購入したい薬の医薬品分類を、薬のパッケージや企業のウェブサイトで確認しておくとよいでしょう。
また要指導医薬品は薬機法により使用者のみにしか販売できないようルール化されています。

薬を買う前にいろいろ聞かれるのはなぜ?

薬剤師や医薬品登録販売者(登録販売者)は、購入される方に薬を安全に使用していただくために、必要に応じて症状などを聞いた上で、薬の説明を行い、理解いただけたか、質問がないかを確認してから販売することになっています。
特に要指導医薬品と第1類医薬品は、副作用、相互作用(飲み合わせ)などに注意を要するため、販売の際に薬剤師が以下のことを確認することが法令で定められています。

  • 薬を使用するご本人か(要指導医薬品の場合)
  • 年齢や性別
  • 妊娠・授乳の有無など
  • 以前同じ薬を使ったことがあるか
  • ほかの薬の使用状況
  • 症状、病院受診の有無
  • 副作用の経験の有無 など

また、要指導医薬品は「今起こっている症状に対して使用する」という前提で取り扱われている為、

  • 基本的に販売は使用者本人
  • 複数販売の禁止(常備薬化禁止)
  • 以前同じ薬を購入した方でも購入時は必ず注意事項を聞く

などが必要なほか、インターネット等販売の禁止などのルールが定められています。

医薬品登録販売者(登録販売者)にはどんなことを相談できるの?

医薬品登録販売者(登録販売者)は、2009年から導入された資格です。比較的新しいため、どんなことができる人なのか、あまり知られていないかもしれません。実は、医薬品登録販売者(登録販売者)には、薬の専門家としていろいろなことを相談できます。

薬の相談

まず医薬品登録販売者(登録販売者)は、前述のとおりOTC医薬品のうち第2類・第3類の医薬品、つまり薬局やドラッグストアで手に取れる場所に陳列されている薬については何でも相談することができます。
医薬品登録販売者(登録販売者)は、厚生労働省が定めた研修を定期的に受けることが義務付けられており、人の体の働き、薬が働く仕組み、さまざまな種類の薬の作用や副作用、薬に関連する法規や制度、薬の適正使用や安全対策と幅広い知識を勉強しています。お店で、薬剤師が見当たらない場合でも相談してみましょう。
例えば、薬の説明書(添付文書)をみてもよくわからないとき、自分に合う薬が選べないときなどの相談も可能です。
また、アレルギーが出たことがある人、副作用が出た人、ほかの薬を服用している人、妊娠・授乳中の人や乳幼児などであれば、OTC医薬品ではなく病院への受診を助言するなど、必要に応じて受診判断をアドバイスする役割も担っています。
薬の効果や正しい用法などの基本的な知識のほか、薬がよりよい効果を発揮するためのホームケアや、季節ごとに注意したいトラブル、食事などの生活改善の方法、繰り返しやすい症状の予防法や、病院を受診する目安などについても、知識を持ち相談に乗ってくれる場合もあります。
身近な薬局やドラッグストアの医薬品登録販売者(登録販売者)に、自分や家族のちょっと気になる不調やセルフメディケーションについて気軽に相談できたら、日々の健康管理がもっと充実しそうですね。

(コラム)薬局・ドラッグストアはもっと身近で相談できる存在へ

厚生労働省は、2025年を目途に、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域の包括的な支援・サービス提供体制の構築を推進しています。この包括的な支援・サービス提供体制を、「地域包括ケアシステム」といいます。地域包括ケアシステムは、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される仕組みです。

地域包括ケアシステム:薬局と地域のかかわり

この地域包括ケアシステムの中で、「かかりつけ薬剤師・薬局」の取り組みが進んでいます。従来のように、診療を受けたそれぞれの医療機関の近くの薬局で薬を受け取るのではなく、どの医療機関を受診しても、かかりつけ薬局でかかりつけ薬剤師から薬を受け取るようになれば、かかりつけ薬剤師があなたの服用している薬の情報を知って、薬の副作用や効果を継続的に把握したり、薬の飲み忘れや重複を防いだりすることができます。また薬剤師は、お薬を渡す際に、情報提供するだけではなく、お薬を服用している期間に対し責任を持つことが法律で義務付けられました。不安なことがあれば、いつでも電話などで相談することもできるとされています。
さらに、「健康サポート薬局」という取り組みも始まっており、ここではかかりつけ薬局の機能に加えてOTC医薬品の選び方や、病院受診の提案のほか、日々の健康相談をすることもできます。

健康サポート薬局

そしてお近くの薬局・ドラッグストアにも、気軽に相談できる薬剤師や医薬品登録販売者(登録販売者)がいます。
このように全国の各地域で、上手に薬を使いながら健康を管理していけるよう、相談できる環境が整い始めています。身近に頼れる専門家がいることをぜひ知って、健康な生活に役立てていきましょう。

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