妊娠に伴う体の変化の特徴

薬の影響は妊娠の時期によって異なる

妊娠すると、赤ちゃんを育むために女性の体の中ではさまざまな変化が起こります。妊娠15~16週に胎盤が完成してからは、胎盤から臍帯(へその緒)を通して栄養や酸素が赤ちゃんに送られますが、それ以前から、薬や飲食物などお母さんが摂取したものは血液を介して赤ちゃんに移行しています。飲み薬だけでなく、塗り薬や貼り薬も、一度に大量に使うと血液中の薬物濃度が上がり、血液を介して赤ちゃんに移行する可能性があります。

薬など、お母さんが摂取したものの赤ちゃんへの影響は、妊娠の時期によって異なります。

妊娠3週末まで

この時期に使った薬が赤ちゃんの奇形に影響することはほとんどありません。妊娠が継続できていれば、影響はなかったと考えてよいでしょう。

妊娠4週~7週

一般的に最も影響が懸念されるのは、妊娠初期のこの時期です。赤ちゃんの中枢神経や重要な臓器などが形成されるので、薬などの影響を受けやすいといわれています。赤ちゃんに奇形が生じる可能性があるとされているのはワルファリン、メトトレキサート、抗てんかん薬などの一部の薬で、これらの薬の説明書(添付文書)には、妊婦へ投与しないこと、あるいは、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与することなどの注意が記されています。

妊娠8週~12週

この時期は赤ちゃんの重要な器官の形成は終わっていますが、口蓋や性器の形成が続いています。ごくわずかですが、この時期に投与するとこれらの器官に異常を起こし得るとされている薬があります。

妊娠13週以降

この時期には赤ちゃんの体の形成は終わっているので、薬による奇形は起こり得ません。ただし、痛みや炎症を抑える非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)など一部の薬では、胎盤を通じて薬の成分が赤ちゃんの体内に入り、体の機能に障害が起こす可能性があるので注意が必要です。

妊娠の時期とくすりの影響

体を守るには、薬のメリットとデメリットを理解することが大切

「赤ちゃんに影響があるかもしれない」と思うと、妊娠中に薬を飲むことが怖くなるお母さんも多いでしょう。しかし、赤ちゃんに影響を及ぼす薬はごく一部であり、「服用しても問題ない薬」と「服用を避けるべき薬」をきちんと知っておけば心配しすぎることはありません。例えば、おなかが張ったときに使う子宮収縮抑制剤(張り止めの薬)や、貧血を予防するための鉄剤など、妊娠中に処方される薬も多くあります。また、「妊娠・授乳期(産前産後)の栄養補給」という効果・効能を掲げている市販薬もあります。
むやみに恐れて自己判断で薬を避け、つらい症状をがまんすることが、かえってお母さんの病状を悪化させ、赤ちゃんに悪影響を及ぼすリスクになることもあります。

大切なのは、薬のメリットとデメリットをよく理解して、上手に使うことです。注意すべきことは薬の説明書(添付文書)にきちんと書いてありますから、市販薬を使用するときには必ずよく読みましょう。薬を飲んでもよいかどうかわからないとき、心配な症状がみられるときには、医師や薬剤師に相談しましょう。

赤ちゃんに影響を及ぼすものは薬だけではない

おなかの赤ちゃんに影響を及ぼすものは、薬だけではありません。食べ物や飲み物、タバコ、お酒など、お母さんが摂取したものの多くは胎盤を通して赤ちゃんに送られます。

食べ物

おなかの赤ちゃんとお母さんの健康のため、栄養バランスのよい食事を心がけましょう。

タバコ

流・早産や上位胎盤早期剥離など妊娠中のトラブルを起こりやすくさせるほか、赤ちゃんの発育を妨げ、胎児発育不全や出生後の乳幼児突然死症候群など、さまざまな病気のリスクを増加させることがわかっています。お母さん自身が禁煙することはもちろん、家族全員が禁煙して受動喫煙を防ぐことが重要です。

お酒

飲酒もおなかの赤ちゃんの発育不全や先天性の異常につながる可能性が指摘されています。妊娠がわかったら、禁酒することが望ましいでしょう。

赤ちゃんに影響を及ぼすもの

本文監修:日本赤十字社 葛飾赤十字産院 副院長 鈴木俊治 先生

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