子どもがかかる症状と対策

子どもの成長や日常生活を過ごす場所の変化に伴って起こりやすい症状と、その予防法・対処法をご紹介します。

口内炎

風邪をひいていたり疲れていたりすると、口の中の粘膜や舌、歯ぐきに炎症を起こしやすくなります。
7歳以上の子どもであれば、炎症を起こす酵素(プラスミン)の発生を抑えて、腫れや痛みなどの症状を改善するトラネキサム酸の内服薬や、口の中に貼るタイプの薬も使うことができます。それぞれの薬の添付文書に従って、年齢にあわせた用法・用量を守りましょう。うがい薬や軟膏などの外側から炎症をしずめる薬を使う場合には、大人が付き添い、添付文書の用量を守って使うように注意しましょう。
市販薬を使用してもなかなか治らなかったり、炎症が広範囲に広がったりする場合は医師に相談しましょう。
ビタミン(特にビタミンB群)が不足しないように栄養バランスのとれた食生活をするように気をつけ、口の中を清潔に保ちましょう。また、歯みがきのときに、炎症を起こしている部分を連続して刺激しないように注意しましょう。

子どもの口内炎

歯の痛み

子どもの歯の痛みの多くはむし歯といわれています。むし歯は、早めに歯科で治療をしましょう。
夜間や休診日に痛みが起こってつらい場合には、頬を冷やしたり鎮痛剤を使ったりして痛みをやわらげます。アセトアミノフェンは子どもにも使うことができる鎮痛成分です。市販薬を使うときは添付文書をよく読み、年齢にあわせた用法・用量を守りましょう。
むし歯を防ぐためには、日常的な歯磨きで歯の汚れを丁寧に落とし、歯垢をためないことが大切です。小さな子どもが自分で歯磨きをした後には、大人が仕上げ磨きをしましょう。

子どもの歯痛

歯周病

歯磨きが不十分で歯と歯ぐきの間に細菌が繁殖すると、歯ぐきに炎症が起こる歯周病になることがあります。子どもでも2人に1人にみられるといわれるほど多く、全身の健康にも影響を及ぼすことが知られているため、できるだけ軽いうちに治すことが大切です。歯を磨いたときに血が出るなどの症状があれば、早めに歯科を受診しましょう。
進行を防ぐセルフケアとしては、正しいブラッシングが大切です。炎症を抑えたり、歯石がたまるのを防ぐ成分などが配合された薬用の歯みがき粉なども市販されています。うがいができる年齢であれば、洗口液・マウスウォッシュなど利用できるものも多いので、活用してみましょう。
子どもの場合、歯が生えるときに歯にかぶさった歯ぐきが炎症を起こして歯周病になることもあります。歯が生えると自然に治まりますが、その場合も、口の中を清潔に保つことが重要です。

頭痛

子どもの頭痛には、後頭部や頭全体が締めつけられるような痛みを伴う緊張性頭痛と、前頭部がずきずきと拍動するように痛む片頭痛があります。大人の片頭痛は、前頭部の片側が痛むことが多いものですが、子どもの場合は前頭部の両方が痛むことがよくあります。短時間に繰り返し吐いてしまったり、おへそのあたりの痛みを訴えたりすることもあります。
症状が軽く、過去に医師の診断を受けるなどして原因がわかっている慢性的な頭痛であればセルフケアで対処することが可能です。子どもでも使える鎮痛成分アセトアミノフェンを配合した市販薬などを上手に活用するとよいでしょう。
感染症や副鼻腔炎などの病気が疑われたり、頭を打っていたりする場合には、すぐに病院を受診するようにしましょう。

子どもの頭痛

腹痛

便秘の場合

進学や進級などで環境が変化すると、便秘による腹痛が起こることがあります。長く便が腸内にたまっていると、水分がなくなって便が固くなり、排便しにくくなりますので、一時的な便秘であれば、浣腸や市販の下剤などを活用して便を出してあげましょう。下剤にはさまざまな効き方のものがあるので、選ぶ際は薬剤師に相談するとよいでしょう。
乳酸菌を使った整腸剤は、腸内環境のバランスを整えることで、便秘・軟便の両方の症状を改善します。
便秘を慢性化させないために、バランスのとれた食生活に気をつけ、食物繊維の多いものを摂るようにし、睡眠のリズムや運動習慣をつけることも大切です。
便秘を繰り返したり、どうしても排便ができなかったりするときには、医師に相談しましょう。

子どもの腹痛

下痢の場合

腹痛に下痢や嘔吐、発熱を伴い、感染性の胃腸炎や食中毒などが疑われる場合は、すぐに病院に行きましょう。食中毒の際、腸の運動を抑制する下痢止めは、原因菌を体内にとどめてしまうため使ってはいけません。安易に使わないよう注意してください。
食べすぎなど原因がわかっている軽い下痢であれば、水分をとり、症状がつらければ市販の下痢止めや整腸剤などを活用して、セルフケアで様子をみてもよいでしょう。下痢止めは、配合されている成分によって使える年齢も異なるので、薬剤師に相談し、添付文書をよく読んで用法・用量を守りましょう。

腹痛にはその他の病気が隠れている場合もあります。痛みが激しく夜も眠れない、お腹がパンパンに張っている、便秘と下痢を繰り返す、便に血が混ざるなど、気になるほかの症状がある、セルフケアしてもなかなかよくならないといった場合は、病院を受診するようにしましょう。牛乳に含まれる糖分が消化できずに下痢を起こす「乳糖不耐症」も、未就学児の子どもにも多く見られるとされていますので、診断された場合牛乳の摂取を控えましょう。

のどの痛み

学校などで集団生活を始めると、のどの痛みを伴う感染症にもかかりやすくなります。のどの痛みとともに目の充血・痛みを伴う咽頭結膜熱や、発熱を伴うA群溶血性レンサ球菌咽頭炎、口内炎ができるヘルパンギーナ(いわゆる「夏かぜ」)、ものが飲み込みにくいなどの症状があれば流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)など、感染する可能性のある病気はさまざまです。感染症が疑われる場合はすぐに病院に行きましょう。
他に特に気になる症状がなく、のどの炎症だけを抑えたい場合、のど飴やトローチのほか、子どもでも使える内服薬が市販されているので、活用するとよいでしょう。抗炎症成分のトラネキサム酸は、炎症の原因となるプラスミンという物質を抑えることで炎症をしずめます。

子どもののどの痛み

風邪(かぜ)

風邪(かぜ)にかかると、子どももせきや痰、のどの痛み、鼻水や鼻づまり、発熱や頭痛などさまざまな症状が起こります。風邪(かぜ)そのものを治療する薬はないので、まずは十分な睡眠と栄養をとって休養することが大切です。
かぜ薬は、ウイルスと戦う体を助けるために、つらい症状を和らげる目的で使います。小児用では、炎症をおさえるトラネキサム酸や、痛みをおさえるアセトアミノフェン、鼻づまりを軽くする抗ヒスタミン成分などを配合した薬が市販されています。和らげたい症状に合うものを薬剤師に相談して選ぶとよいでしょう。該当しない症状に対する成分が配合されたものはできるだけ選ばないようにしてください。
生後3か月未満の乳児や、高熱が出ている場合、症状が重い場合、機嫌が悪い場合、元気がなくぐったりして見える場合、インフルエンザが疑われる場合などは、すぐに病院を受診しましょう。

子どもの風邪(かぜ)

シミ

子どもにできる皮膚のシミには、ソバカス(雀卵斑)のように遺伝的要因があるもののほか、日光の紫外線を浴びすぎることで色素が沈着してできるものがあります。子どもが外遊びをするようになったら、日射しが強い時期に外で活動し過ぎない、つばの広い帽子や肌を露出しない衣類を身に着けるなど、紫外線防止にも気を配りましょう。市販の日焼け止めは赤ちゃんから使えますが、デリケートな肌には「低刺激性」と記載のあるものを選ぶとよいでしょう。
ビタミンCをはじめとするビタミンはシミの原因となるメラニンの生成をおさえたり、皮膚の新陳代謝を活発にしたりするはたらきがあります。柑橘類やイチゴ、キウイフルーツなどの果物や、ピーマン、ブロッコリーなどビタミンCを含む野菜を普段の食事に取り入れましょう。
ビタミンの摂取量は、子どもの年齢によって上限値が異なります。ビタミン剤で補う場合は、1歳児から飲める市販薬もありますので、薬剤師に相談して種類を選び、添付文書をよく読んで、子どもの年齢にあわせた用量を守りましょう。
なお、乳幼児にシミが出た場合は病気が隠れている場合もあるので、早めにかかりつけの医療機関(病院)や皮膚科に相談しましょう。

鼻血

鼻血は、幼児期から小学校低学年までの子どもによくみられる症状です。主に左右の鼻を分けている粘膜から出ます。特に、鼻の入り口から1cmほど入ったところの血管が表面に浮き出ている場所(キーゼルバッハ部位)は、繰り返し出血しやすくなっています。鼻を強くかんだり、アレルギー性鼻炎や炎症があって指で引っかいてしまったりすると、鼻血が出やすくなります。
鼻血が出たときは、小指状に丸めた脱脂綿やティッシュペーパーをゆっくりと鼻に入れ、小鼻を両側から少し強めに指で圧迫して止めます。顔を上向きにすると、鼻血を飲み込んで気持ちが悪くなってしまう子どももいますので、顔はやや下向きにしましょう。
鼻の粘膜や皮膚のはたらきを助けるビタミンCが含まれている市販のビタミン剤も出血予防に効果的です。子どもの年齢によって用量が異なりますので、添付文書をよく読んで使用しましょう。
顔を強く打って鼻血が止まらない場合や、いつまでも出血がとまらない場合には、耳鼻咽喉科を受診しましょう。

子どもの鼻血

【参考】

このページでご紹介した注意事項を年齢別にまとめました。

参考情報:本文中に記載の年齢目安

本文監修:国立成育医療研究センター 薬剤部 薬剤部長 山谷明正 先生

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