ひふ研

虫刺され(虫刺症)とは?

虫刺され

虫刺されとは、虫に刺される、咬まれる、吸血されるなどによって起こる皮膚炎のことです。

虫刺されの原因となる代表的な生物には、蚊やブユ(ブヨ)、ノミ、ハチ、ムカデ、毛虫などがいます。

虫の種類や体質などにもよりますが、刺された部位が赤く盛り上がり、かゆい、痛い、腫れるなどの症状が現れます。

虫に刺されないようにすることが第一の予防です。治療にはステロイド外用薬などが用いられます。

原因は?

代表的な「刺す」虫にはハチ、「咬む」虫にはムカデ、「吸血する」虫にはブユ(ブヨ)アブノミなどがいます。ドクガなどの有毒の毛虫に触れることで症状が出ることもあります。

生物の種類 被害にあいやすい場所 刺されやすい部位
吸血 人家周辺、室内、公園、山野 顔や腕、脚などの露出部
ブユ(ブヨ)、アブ 高原、渓流沿い、キャンプ場 脚の露出部
ノミ 室内、人家周辺、草むら 脚の露出部
マダニ 草むら、畑、野山 腕や脚、首などの露出部
刺す ハチ 人家周辺、山野 腕などの露出部
咬む ムカデ 草むら、人家周辺、室内
接触 有毒毛虫(ドクガなど) 山野、庭、公園 腕や脚などの露出部

痛みの原因は、虫の刺咬によって起こる物理的なものと、皮膚に注入される物質(毒成分や唾液成分)の刺激によるものとがあります。

皮膚に注入された物質に対するアレルギー反応として、刺された部位にかゆみや赤み、水ぶくれ、腫れなどが起こります。

どんな症状?

虫の種類にもよりますが、刺された部位に一致して皮膚が赤くなって盛り上がり強いかゆみ痛み腫れなどが起こります。症状の出方は、年齢や個人の体質によっても差があります。

アレルギー反応には、刺されてすぐに起こる「即時型」と、数日後から起こる「遅延型」の反応があり、遅延型の場合では、症状の原因が虫刺されだと気づきにくいことがあります。

ハチに刺された場合は特に注意が必要です。初めて刺された場合には、直後に強い痛み、赤み、腫れが出るものの通常は1日程度で治まりますが、2回め以降には強いアレルギー反応が生じることがあり、重症の場合には意識消失や呼吸困難などが起こるアナフィラキシーショックが現れ、時に命に関わることがあります。

対処・予防法は?

刺された部位をむやみに触らず、流水で洗うなどして清潔にします。冷やすことでかゆみが抑えられることもあります。

症状が強いときや、発熱などの症状を伴う場合、虫刺されかわからない場合には医療機関(皮膚科)を受診します。特に意識消失や呼吸困難などが起こるアナフィラキシーショックが現れた場合には、ただちに受診が必要です。

かゆみから掻きこわしてしまうと、さらに悪化したり、とびひに進展することがあります。虫刺され用のパッチ剤なども活用し、掻きこわしを防ぎましょう

第一の予防は虫に刺されないことです。虫よけスプレーを活用したり、レジャーなど屋外活動の際にはなるべく皮膚の露出を控える、虫が寄ってきやすい黒っぽい服装を避ける、ハチの巣などに不用意に近づかない、などが大切です。

なお、ダニ刺されのなかでも、吸血するマダニの被害にあったときには、皮膚を咬んでいるマダニを自分で除去しようとせず、医療機関(皮膚科、外科など)で除去してもらいます。無理に取ろうとすると、虫体の一部が皮膚内に残って、炎症や別の感染症の原因になることがあります。

安部正敏

監修・写真提供:安部正敏 先生

医療法人社団廣仁会札幌皮膚科クリニック 院長/褥瘡・創傷治癒研究所
皮膚科診療のエキスパート。 著書に『たった20のトピックスで学べる! 創傷・スキンケアの新常識』(学研メディカル秀潤社)、『ジェネラリストのための これだけは押さえておきたい皮膚疾患』(医学書院)ほか多数。自らの趣味を活かした鉄道と皮膚のエッセイ「憧鉄雑感」(雑誌『皮膚科の臨床』(金原出版)にて連載)も人気。

トップへ戻る