歯科医師が語る、口臭の原因と対策とは?

生理的口臭の原因は、

現代社会のストレスと低い視線。

※起床時口臭、空腹時口臭など健康な人の誰にでもしばしば認められる口臭

PC・スマホの普及により視線が下がり
口臭の発生原因になっている。

口臭には、健康な人にもしばしば起こる生理的口臭と病気が原因で起こる病的口臭があります。生理的口臭の最大の原因はストレスによる自律神経の不調です。しかし、昨今の人々の姿勢も口臭の原因のひとつとして気になります。
私は歯科医師でもありかつ、獣医師でもあります。この立場から考えると、人間と動物の違いは、口呼吸ができるかできないかです。人は会話をする時には口で呼吸をしています。会話をすることで外部からの細菌が入りやすく、口が乾燥しがちで、口臭が起こりやすいのです。またそれが、風邪をひいたり、肺炎になったりする原因にもなっています。動物は下を向くと息ができないため、ずっと下を向いていることができません。しかし、人はずっと下を向いていられます。特に、近年ではパソコンやスマートフォンの普及により、多くの人が長時間視線を下にして過ごしています。下を向くということは、唾液の流れが止まり口の中が乾燥するため、口腔内環境をとても悪化させます。
人は何かを得るために、他の何かを犠牲にしているのです。インターネットを活用したり、SNSを見たりして楽しい時を夢中になって過ごしている裏で、健康を犠牲にしているのではないかと、私は考えています。

少しの臭いも許さない
デジタル社会の弊害。

現代の社会環境は、インターネットという媒体が普及し過ぎて、面と向かってコミュニケーションを取らない社会になっています。デジタル化された社会は臭いも何もない無機質な社会です。だからこそ、口臭の問題が大きくなっているのだと思います。もっと牧歌的な田舎にいけば、「少しくらい臭いがするのは当たり前」「まあいいじゃない。お互い様でしょう。」といった、関係が存在します。しかし、デジタル化された社会は、少しの臭いも許さないのです。口臭以外にも、様々な商品で臭いを消そうという広告が流れています。部屋の臭いも服の臭いも全てを消そうとしています。

負のスパイラル

ポイントは、いい香りではなく「無臭」ということです。このような環境で、多くの人がストレスと緊張を強いられています。口臭外来の患者さんの中にも緊張による口臭を訴える人が多くいます。会社の中や外出時には口臭が気になり、家に戻れば気にならないというのです。緊張により舌の動きが鈍くなると唾液が流れにくくなり、口の中が乾燥して口臭が発生します。また、無口な状態で長時間過ごすと唾液の中の酸素量が減り、口の中の細菌が増え口臭が発生します。

日本口臭学会常任理事
医療法人 ほんだ歯科

本田 俊一
(ほんだ・しゅんいち)

多くの人が気にする「口臭」だが、その研究が本格化したのは1990年代以降のことと意外に新しい。現在の日本で、口臭ならびに口臭症治療についての第一人者が同氏である。15年以上にも及ぶ研究・治療を実践し、口臭の原因、最新医療情報、口臭症の治療法、口臭予防を熟知する。主な著書に「もう、口臭で悩まない!」(アーク出版)