おくすりシート リサイクルプログラム

経過について

2025年4月16日(水)

活動報告

生活者のQOL向上に貢献する第一三共ヘルスケア

第一三共ヘルスケアは、第一三共グループのOTC医薬品メーカーとして薬局やドラッグストア等で買えるお薬を中心に展開している会社です。さらに、機能性オーラルケアやスキンケアといったお薬以外の製品も幅広く取り揃えることで、より健康で美しくありたいと願う生活者の方々のQOL向上に貢献しています。
私たちはコーポレートスローガンとして掲げている“Fit for You 健やかなライフスタイルをつくるパートナーへ”の実現のため、セルフケア啓発の取り組みを推進するなど、製品のみならずサービスや様々なプロジェクトを通じて貢献していきたいという思いで日々の業務に向き合っています。

第一三共ヘルスケア 業務推進部 岩城純也 第一三共ヘルスケア 業務推進部 岩城純也
(所属・役職は撮影時点のもの)

おくすりシートは国内で年間約13,000トンもの量が生産されている!?

私たちはOTC医薬品というモノをつくるメーカーとして、「循環型社会」の“動脈”といわれる「ものづくり」に関わる取り組みを中心に行ってきました。その中で、たとえば製品の包装の素材となるプラスチックの使用量を減らすことやバイオマスプラスチックの使用を推進すること、印刷するインクを環境に優しいものに変えるなど、環境負荷の軽減に努めてまいりました。一方で、「循環型社会」では製品を店頭に並べて終わりではありません。廃棄物を回収して再生・再利用などを行う“静脈”といわれるところへの取り組みが必要となります。しかし、生活者が製品を使用した後の包装や容器、とりわけ使用済みの「おくすりシート」は資源化の仕組みが整っておらず、そのほとんどがそのまま廃棄されています。
その使用済みのおくすりシートに対して、何かアプローチできないかというのがおくすりシートリサイクルの取り組みをスタートするきっかけでした。共同でプロジェクトを推進するテラサイクルジャパン合同会社と話をする中で、おくすりシートのことを調べたところ、国内で年間約13,000生産されているということが分かりました。こうした経緯から、2022年の10月から横浜市で日本初の生活者参加型リサイクルプログラムとして実証実験をスタートしました。

「おくすりシートくるりんBOX」 「おくすりシートくるりんBOX」
使用済みおくすりシート 使用済みおくすりシート

一人ひとりの意識の積み重ねが大きな数字につながっていることを実感!

このプログラムを始めるにあたって、どの程度の量を回収できるかというのは本当に見当がつかず、開始時は年間で100キロ、多くても500キロ集まれば十分という想定でした。しかしプログラム開始から約半年で約280キロ、そして実証実験の1年目が終わるころには当初の想定を大幅に上回る1トンを超える量を集めることができました。

また、回収拠点についても横浜市中区を中心に30拠点からスタートしましたが、実証実験が終わるころには60拠点まで広がり、現在では横浜市内全区で100拠点以上にまで広がっています。現在(2025年3月末時点)は約10トンのおくすりシートを回収することができ、私たちも驚いています。

回収拠点が1か所も離脱せずに広がっていくだけでなく、非常にありがたいことに横浜市外の病院や調剤薬局、自治体から「プログラムに参加したい」というお声をいただいたり、メディアの方から「取り組みの詳細を聞きたい」といったお問い合わせをいただいたり反響の大きさを感じています。特におくすりシートを「資源として活用できるのが嬉しい」というお声をいただいたことがとても印象に残っています。生活者の方の気持ちに寄り添えた気がして誇らしくなりました。

社内でも、「プログラムで困っていることがあったら紹介できる人いるよ」と声をかけてサポートしてくれる仲間がいるので、部署を超えてコミュニケーションを取れていることが嬉しいです。オフィスにも回収ボックスを設置していますが、回収に協力してくれる社員も多く、こうした一人ひとりの意識の積み重ねが大きな数字につながっているということを実感しています。

このような活動は、一過性のキャンペーンではなく、長く続けていくことがとても大事になります。参加してくださる生活者の方はもちろん、回収活動に快く協力してくださっている回収拠点の方にも心から感謝しています。

第一三共ヘルスケア 業務推進部 岩城純也

回収したおくすりシートを新しい製品として還元

私たちはものづくりを行う会社として廃棄物を新しい製品の原材料として再利用する“マテリアルリサイクル”をすることを目指しています。

しかし、実際に取り組んでみると様々な課題が見えてきました。シートのアルミとプラスチックがきれいに分離されず、プラスチックに少しアルミが付いてしまうという現象が起きてしまいます。回収するのはOTC医薬品だけでなく医療用医薬品などの様々なおくすりシートですが、薬には水分に弱いものなど様々な特性があり、それに合わせておくすりシートが作られていることもあります。そのため、ポリプロピレンやポリ塩化ビニルなど様々なプラスチックが含まれかつ複合素材のため、アルミとプラスチックを分離するという工程を難しくしてしまう要因の1つになっています。

そのなかで、テラサイクルジャパン合同会社を中心に検証を行っているのが「板材」としての再生利用です。また、回収に協力してくださる生活者の皆さまや回収拠点の方々がお使いいただける文房具や事務用品としてリサイクルすることで、「皆さまから回収させていただいたものが、こうして生まれ変わりました」と還元することを目標に試作を重ねてチャレンジしています。

おくすりシートからつくった試作品の時計 おくすりシートからつくった試作品の時計

「おくすりシート」がリサイクルできて当たり前の世の中に

全国からお声をいただいておりますので、次の新たな地域に活動を拡大していくということを念頭においています。一方で輸送費をはじめ運営費用もかかるため、簡単に「日本全国で行います」と言えないのが心苦しいです。まずは回収されたおくすりシートがリサイクル品としてどのように再生されるのかをきちんとお示しすることで、回収と再生の両軸を回していくことが大切だと考えています。

今では当たり前のように全国で回収されているペットボトルは、資源化されるまで試行錯誤があり、長い年月を要しています。この「おくすりシート リサイクルプログラム」も全国まで届けるためには、まだまだ多くのステップが必要だと感じています。いずれかの段階で私たちだけでなく他企業や行政とも力を合わせてさらに推進することができれば素敵だなと思っています。この国で「おくすりシートがリサイクルできて当たり前」になることの第一歩を私たちが踏み出せたとなれば本当に夢のようです。

第一三共ヘルスケア 業務推進部 岩城純也

TOPICS

トピックスその他の記事

TOPページに戻る