賢者の仕事、賢者の健康

Vol.25前例なきスポーツアナリストの世界へ
渡辺啓太氏 インタビュー(前編)

今回の賢者

PROFILE
バレーボールアナリスト渡辺啓太

バレーボールアナリスト。専修大学ネットワーク情報学部在学中に、柳本晶一監督率いるバレーボール全日本女子チームのアナリストに抜擢。世界で初めてiPadを用いた情報分析システムを考案・導入。2012年ロンドンオリンピックでは、眞鍋政義監督のもと、28年ぶりの銅メダル獲得に貢献。情報戦略マネジメントのエキスパートであり、現在は一般社団法人日本スポーツアナリスト協会代表理事としても活躍している。

各界の一線で活躍するキーパーソンが、「仕事と健康」について語るインタビュー連載「賢者の仕事、賢者の健康」。今回のゲストは、バレーボールアナリストの渡辺啓太さん。日本のスポーツ界にデータ分析を手がける人材が極めて少なかった頃からほぼ独学で学び、今では第一人者として活躍する渡辺さんに、"道なき道"の進み方についてのお話を聞いてみました。
(聞き手:河尻亨一)

海外トップチームのベンチにあったPCに衝撃を受けて

− 渡辺さんはバレーボールアナリストの一人者として活躍されていますが、データ分析に関心を持ったのは高校生の時だったとか。

渡辺(啓太氏 ※以下、渡辺)そうですね。私も部活でバレーボールをやっていたんですが、友達と一緒にバレーの国際大会を見に行った時、海外チームのベンチを見ると、スタッフがパソコンで作業してる姿が目に飛び込んできまして。で、これは何をやってるんだろうな?と。

− ちなみにそれはいつくらいでしょう?

渡辺1990年代の後半です。ちょうどIT革命とかITバブルと言われていた時代で、Windows98が話題になって「一家に一台パソコンを!」みたいな。まさにそういう時代でしたから、当時高校生の自分にしてみたら、目に飛び込んできたものがあまりにも衝撃的だったんです。

で、いろいろ調べてみると、海外ではコンピュータを使って試合や選手のプレーを分析することが、結構行われ始めていたことがわかりまして。それで興味に火がついたというか。

− それで独学でやり始めたんですか?

渡辺まあ、最初は家にあったワープロで、スコアブックのフォーマットを作ったくらいですけどね。後輩や試合に出てない人たちに記録をつけてもらって。でも、それをやると試合が終わってからの気づきが色々あるなあと思って、相手チームのデータを取って試合に備えるといった作業がすごく楽しくなってきたんです。

進学先を考え始めた時も、「スポーツとIT」みたいな勉強をしてみたいと漠然と思って、情報系の学部を選んだんですけどね。

入試もAO入試で、人生初のプレゼンがその面接でした。当時はスポーツ界とデータのイメージと言えば、野村監督の「ID野球」でしたから、先生たちを前に「ID野球のバレーボール版の実現を目指して僕はやっていきたいんです」という話をして。父親に教えてもらいながら人生初のスライドを必死に作ったんですけど(笑)。