賢者の仕事、賢者の健康 賢者の仕事、賢者の健康

Vol.1マンネリを打破する発想。それを選ぶのがリーダーの仕事
スタジオジブリ鈴木敏夫プロデューサー インタビュー(後編)

「千と千尋の神隠し」は“千尋とカオナシ”の物語なんじゃないか?と

− 映画の現場に移られてからもそのスタンスでやってらっしゃるんですか?

鈴木映画はちょっと違うんですけどね。でも、クセはついたでしょう。みんなの意見を聞くっていう。雑誌時代のことをあとで冷静に振り返ってみると、自分でみんなに企画案を出させておいて、それでいて自分の案を出したら、みんなイヤになっちゃいますよね? たぶんそういうことと関係ある気がするんですけど。

だから、なるだけっていうことではあるんですが、僕は映画の宣伝を「どういう方向性でやる?」っていうときにも、基本的にはみんなに意見を言ってもらうんですよ。その中から選ぶように心がけてます。「自分の案を出さない」はポイントですよね。

ただね、そのルールを破ったこともあるんです。ジブリの作品で、たぶんみなさん一番ご存知なのは「千と千尋(の神隠し)」だと思うんですけど、僕、このときは自分の意見を出しちゃったんですよね。これから宣伝をやっていこうというときに、絵コンテを宣伝部員みんなに読んでもらってね、「どういう方向でやろう?」って聞くと、全員が全員「これは千尋とハクの恋物語である」と。「その路線でやりましょう」って言うんです。

色んな意見が出ていれば、その中から選ぶことになったんでしょうけど、意見が一致していますから、ほかに選択肢はないんですよ。で、僕は自分の意見を出したんですよね。「千尋とカオナシ」の話としてやろうって。これが関係者の間で紛糾するんですよ。