賢者の仕事、賢者の健康 賢者の仕事、賢者の健康

Vol.1我慢しない。負けたくない。それが僕の健康の秘訣かな?
スタジオジブリ鈴木敏夫プロデューサー インタビュー(前編)

言いたいことを言う。それが仕事の健康法かもしれない。

− このインタビューは「賢者の仕事、賢者の健康」というテーマですから、仕事のことについても少しお話うかがってみたいです。まず健康に絡めてのお話で言うと、周りのスタッフの方々に、鈴木さんから体調管理などのアドバイスをされることもあるんでしょうか。たとえば、宮崎さんのように、風邪をひいている人がいたら怒ったりなど。

鈴木いや、まずないですよ。その人のペースがあるんだから。僕はそれはないですね。僕、人のことあんまり気にしないですから。仕事だって、やる人はやるし、やらない人はやらないわけで、自分で責任取るんだから、別にどうってことないですよ。よほどのとき以外は。

− 仕事を“健康的”にこなす秘訣のようなものはないんでしょうか。

鈴木「言いたいことを言う」ですかね? 喜怒哀楽を隠したりしないで。たとえば宮崎駿という人はね、あの人はもう無茶苦茶なんですよ。無茶苦茶って言うのは、自分が思いついたことはしゃべらなきゃ気がすまない人でしょう? そしたら、それ見てて我慢してるわけにもいかないから、こちらもついしゃべっちゃう。

僕は本来、常識あるちゃんとした人だったんですけど(笑)、それこそ40年近くつき合ってきたら似ちゃうじゃないですか? そしたら少し常識から逸脱する自分になったのかな? と。それもたぶん、健康の秘訣だったんでしょうね。基本的には我慢しないですから(笑)。まあ、宮さんのおかげですよね。

− 「我慢しない」は、鈴木さんの仕事への向き合い方にも言えることでしょうか。仕事の上でやりたいことを我慢することはないと?

鈴木いや、そこはちょっと違いますね。そもそも僕、ずっと受け身でやってきたんで、自分から何かやりたいなんて思ったことがないんですよ。映画のプロデューサーもほかに人がいないからなっただけで。

どちらかと言えば、「前向き」より「後ろ向き」って言葉のほうが好きなくらいです。そのほうが地に足がついてる感じがする。ようは現実主義ですよね。やるんならやるで成果をキチンと上げることが大切だと思ってるんですけど。

もうね、ちゃんとサラリーマンだったんです。会社が好きでしたしね。僕らって会社があるから朝起きるんですよ。会社がなきゃ起きないでしょう? そういう意味じゃありがたいですよ、会社って。“サラリーマン”は素晴らしい制度だなと思ってるんです。

>>後編に続く

編集者/東北芸術工科大学客員教授 河尻 亨一

PROFILE

編集者/東北芸術工科大学客員教授河尻 亨一
雑誌「広告批評」在籍中には、広告を中心に多様なカルチャー領域とメディア、社会事象を横断する様々な特集を手がけ、多くのクリエイター、企業のキーパーソンにインタビューを行う。
現在は実験型の編集レーベル「銀河ライター」を主宰し、取材・執筆からイベントのファシリテーション、企業コンテンツの企画制作なども。
  • カメラマン 稲垣純也
  • 更新日 2016.02.01