賢者の仕事、賢者の健康 賢者の仕事、賢者の健康

Vol.1我慢しない。負けたくない。それが僕の健康の秘訣かな?
スタジオジブリ鈴木敏夫プロデューサー インタビュー(前編)

負けたくない。その意地ですね。気がついたらここまで来ていた

− 「病は気から」とはよく言いますが、体内の空気の流れみたいなものをご自身でメンテナンスされてたんですかね?

鈴木なんとなくではあるんですけどね。「この日にこうしてああして」って決めてるわけではなく、自分のからだの調子で決めるんです。今日は調子がよくないから、「ちょっと風邪ひけるかな…?」「ちょっと風邪ひいてすぐ治そう!」と。

そうこうするうちに、宮崎駿と僕は8歳年が離れてるんですけど、仕事中に彼が風邪をひくようになった。本人もバツの悪そうな顔してね、「風邪ひいちゃったよ、鈴木さん。仕事中に風邪ひくなんてサイテーだから」って言うから、「あ、そうですか。気をつけてください」なんて返してますけど、実は僕、腹の中ではうれしいんですよ(笑)。

彼とのつきあいって、かれこれ38年になりますが、一回僕が風邪ひいて彼が怒った。それ以来、彼の前では風邪ひいてない。それはね、努力したんです。

60くらいのときでしたかね? 野口晴哉さんという「整体」を普及させた方がいるんですが、その人が書いた『風邪の効用』という本を読んだんですよ。ある整体師の方に教えてもらったんですけど、この本が素晴らしい本でね。僕が薄々思ってた一連のこと、「健康を維持するには、風邪はひかなきゃいけない」ってことが書かれてるんです。

− 鈴木さんがそうやって上手に風邪をひけるのも、先ほどおっしゃっていたように、やはり日頃から規則正しい生活をされてることが関係しているんでしょうか?

鈴木なんなんですかね? おふくろも去年92歳で亡くなるまで、たいした病気ひとつしない人でしたから、それは親に感謝しなきゃいけないなと思ってるんですけど、僕、病欠って1回もないんですよ。小学校の頃からずっと皆勤で。会社入ってから盲腸の手術はやりましたが、それ以外、体調不良が理由で休んだことがない。これってなんだったんだろうな? と思います。あと僕、熱があんまり出ないみたいで。体温計というものを買ったのも、2年前が始めてなんですよ。結局使ってないんですけど。

これもね、心配の種なんです。「熱も出ないといけないのかな?」なんて。総合的に言うと、人はほどほどに風邪をひかないといけないし、熱も出なくちゃいけない。でも、そういうところから遠いところで生きてきた自分がいてね、これってどうなのかな? とずっと思ってるんですよね。

ただ、先ほどもお話したように、高畑さんも宮崎駿も仕事に入ると風邪ひかないし、熱も出さない。そしたら彼らに負けてられない。もう意地ですよね。それで気がついたらここまで来ちゃったということじゃないですか? やっぱり「気を緩めない」ということかもしれませんよね。