賢者の仕事、賢者の健康

Vol.18根拠のない自信が僕のダンスを変えていく
TATSUO氏 インタビュー(前編)

今回の賢者

PROFILE
ストリートダンサーTATSUO

日本のみならず、世界各国で行われた世界最大級のコンテストやバトルでチーム、ソロともに数多くの優勝経験を持つ、世界的なストリートダンサー。ドイツで行われた「Funkin Stylez」、チェコでの「STREET DANCE KEMP EUROPE」、イタリア「THE WEEK」、フランス「CERCLE UNDERGROUND」など、各地の世界大会にて、アジア勢としては初の優勝に輝いている。 また、2014年世界最大のストリートダンスバトル、JUSTE DEBOUTにて世界中から選出されたJUDGE4人の中の一人として選ばれ、世界14カ国にて審査とJUDGE DEMOを、決勝のパリでは約2万人の観客の前でJUDGE DEMOを行いイベントを大成功させた。 さらに、その高い身体能力のみにとどまらず、選曲やステージング能力を活かし、国内外のワークショップ(ダンスレッスン)、舞台など、指導する立場としても活躍する他、役者として”BLUE PRINT”に所属。フロアの要素を取り入れたオリジナルハウススタイルを確立したDANCE TEAM “GLASS HOPPER”のリーダーとしても活動している。

各界の一線で活躍するキーパーソンが、「仕事と健康」について語るインタビュー連載「賢者の仕事、賢者の健康」。今回のゲストはダンサーのTATSUO氏。国内外の数々のコンクールで優勝、芝居にも挑戦するなど、枠にとらわれない活躍をするストリートダンスの第一人者ですが、その言葉には様々な仕事につながる何かが脈打っていました。
(聞き手:河尻亨一)

僕のルーツは阿波踊りなんです(笑)

− のっけからで恐縮なのですが、私がダンスに疎いもので。なので、まずはストリートダンスはどのあたりが魅力なのかといったお話と、TATSUOさんご自身のこれまでのヒストリーをおうかがいしてみたいと。動画でTATSUOさんのパフォーマンスを拝見したんですが、あれはそもそも「振り付け」があるんでしょうか?すごく自由に踊っているように見えて。

TATSUOある場合とない場合があります。一人で踊っているときは、ほとんど振りはないですね。毎回、その時の気分によって変わります。演奏家やシンガーが即興でパフォーマンスができるのと同じで、僕らにもベースとなる基本的な動きがあり、それを元に「今これだな」とチョイスしながら踊っているんです。

ストリートダンスは「これをやっちゃいけない」という縛りがありません。ある意味自由に、本当に自分が感じるまま動いているだけでいいというところがあって、そこが魅力です。

− ひと口にストリートダンスと言っても、いろんなジャンルがあると思うんですが。

TATSUOそうですね。一番メジャーなのはヒップホップで、ロックダンスも人気です。最近ではワックと言って腕の動きを基本とするダンスが世界的に流行っていて、日本でもファンが増えてますね。僕がやっているのは「ハウス」というジャンルなんですけど、これを踊ってる人ってそんなに多くはなくて。

− あ、そうなんですね。ダンスミュージックと言うとハウスというイメージも持っていましたが。

TATSUOそうですね。クラブで流れる音楽はハウスが多いですね。しかしダンスジャンルとしては割合は少ないと思いますよ。実は僕も最初はハウスじゃなかったんです。ヒップホップやロックダンス、あとは大技が特徴的なブレイキングというダンスを幅広くやった後、ハウスにはそれらすべての要素が入るという自分なりの考えがあって、そっちに重点を置くようになっていきました。ハウス・ミュージックが好きだから、というのも大きいと思うんですけど。

− ダンスにはいつ頃目覚めたんですか?

TATSUO僕、徳島出身なんですよ。で、すごく小さい頃から、阿波踊りをやっていて(笑)。阿波踊りって、結構ストリートダンスに似てると思うんです。一人ずつ輪っかの中に入っていってソロで踊ったりしますから。みんなで合わせて踊る瞬間と自由に踊る瞬間があるんです。

あと父親がジャズバーをやっていたことも大きいです。小さい頃からブラックミュージックを聴いて育ったんですけど、ジャズもセッションを楽しむじゃないですか?毎回決まった演奏をするのではなく、その場に居合わせたメンバーとフリーな状態から即興的に生み出していくというか。そういう音楽にずっと触れていたので、ストリートダンスも違和感なく入れたんですよね。高校の時はレスリングをやってたんですけど、部活を引退する頃にダンスをやり始めたところ、どんどんそっちに夢中になっちゃって。