賢者の仕事、賢者の健康

Vol.5みんなもっと本気で仕事を面白がったほうがいい
椎名誠氏 インタビュー(後編)

今問われるのは総合的判断力と周りを醸成する力

− 椎名さんのほうにもやや“百薬の長”の効能が表れ始めてる気もしますが(笑)、そういった様々な活動につながっていく、そもそものきっかけはなんだったんですか?

椎名転機は一回だったんですけどね。それは勤めていた会社を辞める決断をしたということ。サラリーマンの時は「ストアーズレポート」っていう業界誌を作っていて、その雑誌自体はうまくいってたんですけど、会社の古株にいじめられましたね。シットでしょ。結局「馬鹿野郎!」って言って辞めちゃったんですね。二足のワラジができなくて。

その時に妻には助けられましたよね。「今の日本では、会社を辞めたくらいでのたれ死にはしない」と。高度成長期に入ってましたから。感謝してますよ。そのかわり今度は家庭にいない夫になってしまったんですけど。

それはともかく、今問われるのは総合的判断力でしょうね。頭がいいということではなく、どれだけノーマルに周りを見ることができて、いかに自分を中心に周りを醸成していけるかってことだと思うんです。難しいですけどね。自分が生き残るためのサバイバルですから。でも、それがあればベンチャービジネスでもいけると僕は思いますよ。

− 今日はありがとうございました。お目にかかれて光栄でした。ところであやしい探検隊は10年で飽きてないですね。

椎名これは目下の自分の思考と行動の核ですね。やっぱり自分の面白さの根源だと思う。その根っこに何があると言えば、仲間と一緒に野外で焚き火を囲んで好きなことを語り合うということ。食いたいものを自分たちで作り、それでいてお勘定や閉店もないということ。おまけに家まで這って30秒で帰れるということ。テントですから。ね? これがいいんですよ(笑)。

編集者/東北芸術工科大学客員教授 河尻 亨一

PROFILE

編集者/東北芸術工科大学客員教授河尻 亨一
雑誌「広告批評」在籍中には、広告を中心に多様なカルチャー領域とメディア、社会事象を横断する様々な特集を手がけ、多くのクリエイター、企業のキーパーソンにインタビューを行う。
現在は実験型の編集レーベル「銀河ライター」を主宰し、取材・執筆からイベントのファシリテーション、企業コンテンツの企画制作なども。
  • カメラマン 瀬谷壮士
  • 更新日 2016.06.15