賢者の仕事、賢者の健康

Vol.5みんなもっと本気で仕事を面白がったほうがいい
椎名誠氏 インタビュー(後編)

そんな悪い人じゃないんです、僕は

− そのお話で言うと、椎名さんは近頃の流行りで言うところの“コミュニティデザイナー”の元祖みたいなところもありますね。

椎名それよくわからないけれど、まあ僕の場合、自分を中心にやるわけですけど、一人じゃできないからまわりにスタッフをいろいろ集めるわけですね。たとえばひと頃映画に進んだ時は、100人ぐらいスタッフを集めて映画プロダクションを作ってしまった。10年間で中長篇6本作りました。映画は若い頃から趣味でやってたんですけど、やがて自分で本格的な映画を作りたいとずっと思っていて。

そのうち1本(「白い馬」)は国際的な評価をいただいたり、DVDのボックスが売れたりして嬉しかったですよ。ただ、僕がいけないのは、ばーっと人を集めるんですけど、会社まで作っておいて自分が満足したらもう解散だなと(笑)。周りにとっては迷惑ですよね。

また別のことに興味が出てくるんです。「浮き球三角ベースボール」と言って、大人がやる少年野球みたいなヤツなんですけど、これも10年くらいやって、1000人くらいの組織作ったんですけど、やっぱり飽きちゃって次の世代にそっくり譲りました。僕があまりに長打を打てなくなって、自分がつまらなくなっちゃったから(笑)。ただ、これは今も続いてるんですよ、次世代に。しかも僕がいる時より規模が大きくなって。

− 確かにご自身の欲望に忠実であるし、楽しんでいるし、椎名さんが去った後も継承されたり作品が見られているなら、それぞれの目的は達成なのではないでしょうか?

椎名みんなそうならいいんですけどね。「本の雑誌」なんかは大きくなっていきましたね。 だからね、そんな悪い人じゃないんです、僕は(笑)。