賢者の仕事、賢者の健康

Vol.3ビートルズもダウンタウンも“口に苦い良薬”
倉本美津留氏 インタビュー(後編)

今回の賢者

PROFILE
放送作家倉本美津留

放送作家。1959年生まれ。広島生まれ、大阪育ち。『ダウンタウンDX』『M-1グランプリ』『シャキーン!』『浦沢直樹の漫勉』ほか、数々のテレビ番組を手がける。これまでの仕事に『ダウンタウンのごっつええ感じ』『伊東家の食卓』『たけしの万物創世記』など。著書に『超国語辞典』『現代版判じ絵 ピースフル』(本秀康氏との共著)『明日のカルタ』『ビートル頭』。また、ミュージシャンとしての顔ももつ。

各界の一線で活躍するキーパーソンが、「仕事と健康」について語るインタビュー連載「賢者の仕事、賢者の健康」。今回のゲストは放送作家の倉本美津留氏です(後編)。お笑いや音楽を通して、視聴者に“心のサプリ”を届けたいと語る倉本氏。今回は倉本流の「壁の突破法」を中心にうかがってみました。
(聞き手:河尻亨一)

人を笑わすことで一番になりたいと思ったんです

− 「14歳で思考停止」「運動はまったくしない」「趣味はない」など、放送作家である倉本さんがこれまで実践してきた“オリジナル”な仕事術や体調管理のお話をうかがってきました(前編)。やはり「笑い」のアイデアを考えることや音楽も含めて表現することが倉本さんの原点であり、仕事のモチベーションであり、健康法でもあるのかもしれないと思います。

倉本(美津留氏 ※以下、倉本)とにかく笑いのことばっかり考えてますからね。ボクが選手として力を発揮できる場所のひとつは、会議室だったりします。そこで誰よりも面白いことを言って、出席者を大笑いさせて企画を通していくのが仕事ですから、「笑わせたい、ビックリさせたい」ということを日々やってるわけです。単にオモロイだけじゃなくて、役に立つこと、人が「ハッ!」とすることをどうやったら思いつけるかの勝負ですよ。

それを続けられれば、みんな笑うし、自分も笑う。その繰り返しですよね。健康にもいいんじゃないかなあ。「笑いすぎてお腹がよじれる」とか言いますけど、爆笑って横隔膜めっちゃ使いますから(笑)。

− ここでもう少し深堀りしてみたいのですが、なんなんでしょう? 倉本さんの「笑い」や「仕事」に対するバイタリティというのは。なぜそこまでして「笑わせたい」と思うのでしょうか。

倉本うーん、どうなんやろう…。やっぱり中二までの過ごし方ですかね。さっきもちょっと話しましたけど、ボク、子供の頃、大人からは「ヘンな子」ってよく言われてたんです。同級生からはそこそこ人気ありましたけどね。

だけど、先生や大人の言うことを聞かないので目を付けられてたんです。あまりにも大人から否定されるからさすがに子供のボクは不安になってきたんですよ。「このままいって将来ほんま大丈夫かなー?」と。その頃ですよね、ビートルズの存在を認識するのは。

小学校5年のとき、3歳上の中学生だった兄貴が、友だちに借りたビートルズのレコードを家のプレイヤーでかけたんですけど、それを聴いたら、好きで頭の中にストックされていた音楽がオンパレードで流れて来たんです。「うわー、なんじゃこれ? ビートルズってなんや?!」ってなったんです。

人に聞くと、そのバンドにはジョン・レノンという人間がいて、そいつは少年のときに、自分では天才だと思ってたのに、周りの大人からは「アカンアカン」と言われ続けてたってことがわかったんです。「それオレのことやんけ!」と(笑)。その体験がデカかったですね。

ビートルズは音楽教育も受けてないのに世界一になったわけで、「ヤッター! オレにもできるんや!」と。人にやれと言われたことじゃなく、自分の興味があることだけやっていこうという気持ちになれて、それなら人を笑わすことで一番になりたいと思うようになったんです。言葉にも興味ありましたから、人一倍勝手に調べて面白がっていました。ようは人から教わるのが苦手ということなんですけど(笑)。

− 「目立ちたい」というのもあったんでしょうか。

倉本めちゃくちゃ目立ちたかったです(笑)。「目立つ=モテる」ですよね。学生時代はそれで頑張ってたようなもんですよ。