賢者の仕事、賢者の健康

Vol.13ファイナンシャル・プランナーに聞く「働く男も活用したい!セルフメディケーション税制」
熊谷周一郎氏 インタビュー(前編)

− より具体的には、どういう方がどういうシーンで活用していくとメリットがあるのでしょう?

熊谷控除の条件として、確定申告される方が定期健康診断や予防接種などの健康のための取り組みを行っていること、というルールもあるんです。ここでいう健康のための取り組みとは、「@健康診査」「A定期健康診断」「B特定健康診査(いわゆる「メタボ検診」)」「Cインフルエンザ等の予防接種」「Dがん検診」がそれに当たりますが、実際にはお薬を買うほとんどの方が該当すると考えてよいでしょう。

自営業の方はご自身でこれらの健康診断等を受けていただく必要がありますが、お勤めの方でしたら、会社で年に一回は健康診断を受けていらっしゃるでしょうから。

肝心のメリットですが、例えば年間2万円のお薬を買ったとしますよね? すると8000円が課税所得から控除されます。つまり年収500万円の方なら、薬を2万円買うことで、申告する所得は「499万2000円」ということになり、そのことで所得税1600円、住民税800円、「計2400円」の減税になります。簡単に言うと、企業などにお勤めの方でも確定申告すれば、国から2400円還ってくるということです。

FP視点で見るとこの税制のメリットは大きい

− ドラッグストアなどで対象医薬品を購入したときは、レシートや領収書を取っておいたほうが良さそうです。

熊谷そうですね。レシートは捨てないほうがいいと思います(笑)。いままでは、これができませんでした。「なぜか?」と言うと、10万円を超える医療費を支払っていないと控除が受けられなかったからです(医療費控除)。

これに関して、従来の医療費控除とセルメ税制を同時に利用することはできませんから、そこは注意が必要です。セルメ税制の控除対象上限額は8万8000円ですが、医療費に10万円以上の支出をされている方は、どちらかを選択することができます。

− なるほど。ただ、正直ちょっと面倒な気もしなくはないのですが。

熊谷確かに人によっては「2万円使って戻ってくるのが2400円?」と思われるかもしれません。ですが、FP(ファイナンシャル・プランナー)的視点で考えてみるとこれって大きいことで、例えばいま一般的に都市銀行の普通預金の金利って0.001%なんですよね。つまり、2400円の利息を1年で得ようと思うと、2億4000万円預金する必要があるわけです。

− うーん、なんて超低金利時代なんだって改めて思いますけど、確かにその比較で言うとメリットは大きいですね。

熊谷30〜40代の財テクに興味をお持ちの方々ですと、「預金するならどこのネットバンキングがいいか?」といったことを調べてる人ってたくさんいらっしゃるんですよね。日頃から色んな情報を集めてらっしゃいます。でも、いくら銀行を選んでも利息としては微々たる差しか生まれない。

そう考えると、少し勉強して申告すれば、2400円戻ってくるわけですから。それは2億4000万円の預金をしていることと同じこととも言え、その意味では「セルメ税制」というのは、いい制度だと思うんです。残念なことにFPの同業者でもこの制度を知らない人が意外と多いんですが…。