賢者の仕事、賢者の健康

Vol.12自分にエネルギーを向け始めてから人生バラ色に変わりましたね
陳建一氏 インタビュー(後編)

違う仕事の人とのおつきあいも大事。仲間がいるってうれしいですよね

− 陳さんが遊びを仕事に取り入れる時の秘訣みたいなものってありますか。

それで言うなら、自分と違う職業の人とのおつきあいも大事ですよね。世の中にはいろんな考えの方がいらっしゃることがわかる。お付き合いも勉強なんだから。

あと、どうせやるなら、一流と言われるところのものと関わったほうがいいですよ。「なぜ、一流と言われるのか?」「どうしてそこに一流があるのか?」なんて思いながら接するといいよね。すると「なるほどな」と。「一流とはこういう細部にまでこだわるものなんだな」ということがわかってくるわけですよ。

例えばホテルで考えてみましょうか? 一流のホテルって料金高いですよね? でも、そこには高いなりの理由があるじゃないですか。ブランドってものもあるよね。で、それを守るためにどういうことをやってるかということが勉強になるんですよ。それを学ぶためには、やっぱり違う仕事の人とのおつきあいが大事ですよね。

で、僕がなんでゴルフを始めたかと言うと、そういう人たちとご一緒できるからなんですよ。一緒に回ると、すぐわかっちゃうの。「あ、この人好き、こいつはゴルフのために生きてる!」なんて(笑)。そこで友だちが増えていくわけですよ。

やっぱり大事なのは友だちは裏切らないってことだよね。利害関係ないですから。ゴルフで負けて悔しがったり、勝って喜んだりね。そういう仲間がいることがうれしいわけですよね。 だから年間通して4〜5回合宿張ってるんだから僕は。それを楽しみに仕事をしてきたと。

− ゴルフはいつ始めたんでしょう。

初めてやったのは18歳の時だったんだけど、若い頃は思うようにできないんですよ。 仕事やんなきゃいけないんだから。ゴルフは高いしね。それで少しずつ余裕できてきて、自分でゴルフクラブを買えるようになり、ゴルフクラブにも所属し、仲間をどんどん増やしていって、去年ついに248ラウンドですよ? 誰が付き合うの? どんだけ友だちがいるかっちゅうことですよ。一人で行くわけじゃないんだから、ゴルフっていうのは。そこが肝心なの。

会社は仕組みだけじゃ動かない。そこには人がいますから

− それにしても年間200ラウンド超えはすごい。

決まってるじゃないですか。僕は「カテゴリー1」なんだから(笑)。1日何ラウンドでもやるタイプだよ? だってさ、海外から帰ってきてゴルフやってから家に帰るんだから。例えば朝5時に成田に着くんですよ。そしたら、すぐそこに僕のコースがあるの。すぐに帰ってもゴルフやって帰ってもどうせ同じ1日でしょ? あと例えば、ゴルフやってから飛行機に乗る。夜便があるから。12月にそれ実際やるから。仕事じゃないよ、ゴルフ合宿だよ?

(突如、包丁で激しく刻む動作をしながら)もう12月ってね、店は稼ぎどき。宴会忙しい。にもかかわらず、この陳建一さんは、なんとオーストラリア合宿ですよ(笑)。なぜそれができるのか? それは社長を交代したから。

− 社長はいつまでやってらっしゃったんですか?

2年前まで。いまはうちのセガレ(陳建太郎氏)が社長をしてる。中心は全部任せてるよ。人事から新しい出店から色んなことをやってくれてるから、僕はサポーター。なるだけ仕事がやりやすいようにサポートするのが役目だから。で、彼のやることに対しては口出しはしない。

− そうしようと決めてらっしゃるんですね。

決めてますよ、そのために彼を社長にしたんだから。で、失敗しようが成功しようが彼の責任なんだから。もう頑張ってやんなさいってそれだけのこと。で、僕は頑張ってゴルフやってるわけだから(笑)。

− 親子3代でお店をやってらっしゃいますけど、お父さんとしては、引退すると言って、やっぱり口を出したくなったりしないんですか。

僕は、全然なんも言わない。うち、シンガポールに店出したんですよ? 今年(2016年)ミシュランで2つ星いただいたんだけど。あれ出店決めたの僕じゃないから。セガレだから。僕だったら絶対やってないよ。

− 陳さんが社長だった時はどういう経営者だったんですか? 社長には料理人とはまた別のプレッシャーがありそうです。

プレッシャーなんてあんまりないよ。だってプレッシャー感じてたってしょうがないじゃん。なるようにしかならないんだから。店を出すっていうことはそういうことだから。絶対これでいいなんて方程式ないわけですよ。やってみていろんなことがわかるし、経験から色んなことを学ぶし、最終的には人の問題だから。

どんな世界でもそうだと思うんだけど、会社って仕組みだけじゃ動かないんです。そこには人がいますから。特に料理の関係の仕事って人だから。その人の腕とか性格だよね。ホールのスタッフもその仕事に向いた性格あるわけじゃないですか。すごく細部まで気を使える人をどう育てていくかってことなんだけど、それは持って生まれたものも大きくて、どんなに教育したって、できない人はできないから。

だからその子の性格を見抜くことも大事。誰かに「変われ!」って言われても変われないですよ、性格は。自分もそうだもん。まず僕の場合はせっかち。早いすよ。やることみんな早い。動きも段取りも、僕早いんですよ。