賢者の仕事、賢者の健康

Vol.8無理なく、楽しく、気持ち良く。有森流トレーニングのすすめ
有森裕子氏 インタビュー(前編)

周囲に合わせるのではなく、自分に対する意識を高めること

− 私もずっと1日2食派ですが、今のお話を聞いてちょっと安心しました(笑)。とはいえ、この連載の一回目にお話くださったスタジオジブリの鈴木敏夫さんのように、朝起きたらすぐ空腹で、朝食をしっかり食べたのに昼前にまた食べたくなる方もいらっしゃったりと、やっぱり人それぞれなんでしょうね。

有森そうなんです。ほんとに決まってないんですよね。だからこそ大切なのが、周囲に合わせるのではなく、自分に対する意識を少しでも高めること。人って年齢を重ねるにつれ、どんどん違ってくるわけですから。その違いを知ろうとせず、周りに流されてしまうとペースが崩れていきかねない。特にからだのことに関しては、そういう部分が結構大きいんじゃないかと。

− 食事の内容に関してはいかがですか? 有森さんは好き嫌いなどあるんでしょうか。

有森特にないです。虫系がダメなくらいで。イナゴとか蜂の子はちょっと…(笑)。基本的には、その季節の旬のものを食べるようにしています。それが一番栄養価が高いのと、生きている人間に一番大事な自然の流れですから。

旬のものは味も全然違いますよね。外食が多い方でも、レストランで「今、旬のものってなんですか?」って聞くといいと思います。お店の人は旬のものを知ってますから。そうやってちょっとした知識と意識を持つだけでも、からだとの対話がやりやすくなるんじゃないかと思います。

− 睡眠についてもうかがってみたいのですが。

有森夜12時ぐらいには寝て、朝は6時から6時半に起きます。それ以上寝られない人なんです。ずっと朝練やってましたから、その習慣がからだにしみ付いて、それ以上寝ると頭が痛くなる。7時以降に起きるというのは基本ないですね。それも私なりのリズムというのか、6時台に起きるほうが自分の中でなんとなく気持ちがいいということなんですけど。

まず「行きたいところに足で行ってみる」ことから

− 朝練という言葉が出ましたが、ここで「からだを動かす」ことについてもご質問してみたいと。有森さんが「日経Goody」で持たれている連載では、楽しく長く走り続けるためのポイントを親しみやすく解説されています(「有森裕子のCoolランニング」)。ランニングは今すごい人気ですが、これから始めようと思う人にアドバイスなどいただけないでしょうか。

有森まず大事なのは「何がなんでも走らなきゃいけない!」という思い込みから自由になること。ほんとに初めての方は、「走ろう!」って思うのではなく、「自分の行きたいところに行ってみよう!」って思うといいんです。

歩いたって全然構いません。例えば行きたいお店があって、いつもならクルマや電車で行くんだけれど、徒歩でも行けなくないという距離の場合、歩いて行ってみるんですよ。すると、気付くことがいっぱいあると思います。「電車だとこんなに大回りなのか」とか「意外と近いんだな」なんて。

そうやって慣れてきたら、60分歩いていたのを「10分だけ走ってみよう」とか、さらに「15分に伸ばそう」という感じで、少しずつ走る時間を取り入れていきます。で、疲れたらまた歩けばいいわけです。走るためにはきちんと歩けることがスゴく大事で、ちゃんと歩けない人がいきなり走ったら壊しちゃいますね。60分ちゃんと歩けない人が、60分走るのは無理です。歩くことと走ることを分けてはいけない。

まずはそこから始めて、自分の足で行けることが楽しいと思えるようになる。そうなったらしめたもの。走る場所や歩く場所なんて、危険のない場所ならどこでもいいんですよ。