PMS(月経前症候群)や生理痛、しみ・そばかすなどの肌あれ……。デリケートな女性のカラダには、お悩みが尽きません。自己流で対処するのもいいけれど、ドラッグストアに頼ってみるのも手。人に言いづらい悩みこそ、薬剤師に相談すれば、不調との上手な付き合い方が見えてくるかもしれませんよ!
「女性ホルモンが乱れている」
よく耳にする言葉ですが、これは具体的に身体のどんな状態のことをいうのでしょう?
女性ホルモンとは、「エストラジール(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」という、卵巣から分泌される2つのホルモンのことです。“女性ホルモンが乱れた状態”とは、これらのホルモンの生成・分泌に関わる卵巣や視床下部、脳下垂体といった器官が不調をきたし、正しい期間に理想的な量のホルモンが分泌されない状態をいいます。
この原因にはさまざまなことが考えられますが、「ストレス」や「不規則な生活習慣」などもあてはまります。とくに視床下部においては、交感神経や副交感神経、体温、食欲などの調整機能の役割も果たしているので、ストレスや不摂生によってそれらの機能が乱れると、ホルモンに関わる機能にも支障をきたしてしまうのです。疲労がたまったり生活リズムが崩れたりしたときにホルモンバランスが乱れるのは、こうした原理からなんですね。
女性ホルモンの乱れがひき起こす症状として広く知られているのは、月経不順や生理痛などの生理にまつわるトラブルです。それに加え、プロゲステロンは皮脂分泌、エストロゲンはコラーゲンの生成にも関わるホルモンなので、肌あれを引き起こすこともしばしば。また、後ほどご説明しますが「肝斑(かんぱん)」(しみの一種)の発生も、ホルモンバランスが関係しているといわれています。
それでは、こうしたトラブルにはどのようなセルフメディケーションで向き合えばよいのか、ご紹介しましょう。
毎月女性を悩ませる生理痛。女性ホルモンにまつわるもっとも代表的なトラブルのひとつです。私が勤務する薬局に訪れるお客様でも、生理痛にお悩みの方は少なくありません。
よく聞かれるのが、「生理痛の際に、鎮痛剤を服用しても大丈夫?」という質問です。「毎月鎮痛剤を飲んでいると、いずれ効果が薄れそうで……」「鎮痛剤は、カラダに負担がかかるような気がする」といった不安を抱えている方が、とても多いんです。
結論から言えば、つらい生理痛には、鎮痛剤の早めの服用をおすすめします。
ポイントは、「早めに」服用すること。市販の鎮痛剤には、痛みのもととなる成分を抑えるタイプのものが多く、痛みが強くなってからでは効果が追いつかない場合があります。また、生理痛のように1~3日ほどの短期間の痛みなら、毎月服用しても効果が薄れることはありません。
ただし!表記された使用量や服用の頻度を必ず守るようにしてください。
また、体質によっては、鎮痛剤の服用が胃に負担をかけてしまう場合もあります。まずは、ご自身にどんな鎮痛剤が合っているか、薬剤師に相談してみてはいかがでしょうか。
ひと言で鎮痛剤といっても、胃に優しいタイプ、眠くなりづらいタイプ、即効性があるものから長く効くタイプのものまで、種類は実にさまざまです。ご自身の体質やライフスタイルにぴったり合った“マイ鎮痛剤”と出会えれば、毎月の負担もかなり軽減されるはずです。それにはやはり、薬剤師に相談するのが一番です。
「鎮痛剤で改善されないんだけど、どうすれば?」というご相談でも、もちろん大丈夫です。ストレッチなどの日常生活で実践できる対処法から、婦人科での受診に関するアドバイスまで、薬剤師が広い視野でお答えします。
30~40代女性に多く見られ、なかなか治りづらいしみが「肝斑(かんぱん)」です。メイクでも隠すのが難しい、女性にとってはまさにやっかいモノ。この肝斑の発生についても、女性ホルモンとのかかわりが指摘されています。
肝斑の対処においては、まずご自身のしみが肝斑であるかどうかを判断することから始めましょう。両ほほ骨に沿って左右対称に生じていたり、茶色っぽく広がって顔がくすんで見えたりするなど、肝斑には特徴があります。
心当たりがあれば、どう対処していくか。セルフメディケーションという前提でアドバイスするなら、ドラッグストアや薬局で「トランシーノⅡ」という内服薬を購入できます。肝斑を改善するトラネキサム酸を主成分に配合した、肝斑の薬として市販されている唯一のOTC薬品です。
飲んですぐに効果が出るわけではありませんので、その点はご注意ください。まずは毎日2回、8週間の服用を継続して、焦らず様子を見ることが大切です。また、ホルモンバランスの乱れとの関係が指摘されていることからも、婦人科などへ足を運んで根本的な原因を探るなどすることで、改善への大きな一歩につながるでしょう。
肝斑以外のしみのケアにおいても、抗酸化作用としてのビタミンCや、美白効果のある薬用化粧品など、薬局で購入できるアイテムが力になってくれるでしょう。
それと同時に、忘れてはならないのが、日常的な保湿対策や喫煙・寝不足といった生活習慣の改善など、ライフスタイルをトータルで見直すことです。しみに限らず、女性ホルモンの乱れを原因とするすべての症状においては、そもそもの原因であるホルモンバランスの改善に取り組むことが何よりも大切です。
健康で美しい毎日のためには、正しい生活習慣と、プラスアルファで自分に合ったお薬を。「ちょっと人に聞きづらい……」そんなお悩みや疑問があれば、遠慮なく薬剤師に声をかけてくださいね。
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