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「行きなさい」より大切なこと。学校に行き渋る子どもへのサポート【後編】

2026年08月20日

からだと心

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長い休みも終わりに近づくと、「学校に行きたくない」と言い出す子どもも少なくありません。励まして学校へ行くのを促すべきか、見守るべきか、悩む保護者の方も多いのではないでしょうか。

そんな長期休暇明けの学校行き渋りについて、前編では「学校イヤだな」は自然な感情であることや、保護者が気付きたいSOSサインについて学びました。後編では、学校に行き渋る子どもに対してできる、保護者からのサポートや学校との連携など、具体的な向き合い方を、with class mamaの元小学校教員の教育インフルエンサー・まーやさんと一緒に子どものストレスマネジメントの専門家・小関俊祐先生に伺いました。
※なお、健康美塾の本記事では6〜18歳のお子さんを対象にお話しいただいています。

▶▶▶前編はこちら

[お話を聞いたのは…]

夏休みの後半から始めたい「学校行き渋り」対策

まーや:いよいよ2学期の足音が聞こえてくる時期ですが、新学期に向けて、子どもが学校に行き渋らないために家庭でできる準備や対策はありますか?

小関:まずは生活リズムを整えることです。生活リズムは急には変えられません。就寝時間や起床時間、食事の時間を新学期が始まる2週間前くらいから学校のリズムに整え始めたいですね。

まーや:私が教員だった頃は、宿題が終わっておらず気が重くて学校に行くのを嫌がるお子さんがいました。宿題が終わっていないという状況は、新学期の登校への不安を高めてしまいますよね。だから夏休みに入る前に、子どもたちに「こう取り組めば、無理なく宿題が進みますよ」という見通しを伝えるようにしていました。

小関:おっしゃる通り、本来は夏休みの早い段階からできると理想ですが、今からでも残り日数の中で優先順位を整理することは役立ちます。単純に課題を日割りにするのではなく、習い事のある曜日は勉強の量を減らしたり、夏休みの楽しいイベントを考慮したりしながら、スケジュールが「嫌な事リスト」にならないように気を付けることも必要です。また、一日の中で、たとえば朝なのか、夕方なのか、いつ、どこで、だれと勉強するのかを具体的に確認できると、実行に移しやすくなるでしょう。これらのポイントを整理しつつ、「計画の立て方」を学習することができれば、年齢が上がるにつれて、自分で計画が立てられるようになることも期待できます。

まーや:宿題を溜め込んでしまったときなど、後ろめたいことがあると隠そうとする傾向の子どももいますよね。それがまたコミュニケーションを難しくするのかなと感じます。

小関:だから子どもが「宿題やってないんだ」と正直に言ってきたときは、叱りたい気持ちをぐっと押さえて、「正直に言ってくれてありがとう」と伝える。とにかく「正直に言ったら怒られた」という経験を積ませないことが大事ですね。

まーや:スマホやゲームなどのデジタル機器も、生活リズムを崩す原因の一つなのかなと感じています。特に家に長くいる長期休み中は、使用時間が増える傾向にありますよね。私の教員時代も、長期休み明けには寝不足で授業中に寝てしまう児童が増えているという印象でした。

小関:デジタル機器の使用をゼロにするのはこの時代、難しいですよね。だから例えば、「宿題が終わったら何分間使って良い」というように、“堂々と触って良い条件”を親子で決めると良いのだと思います。

「できないこと」ではなく「できたこと」に目を向ける

小関:そして学校行き渋り対策としてもう一つ有効なのが、「できないこと」ではなく「できたこと」に目を向けることです。

「今朝は起きられたね」
「朝ごはんをいっぱい食べられたね」
「宿題を少し進められたね」
と、小さな成功を一緒に確認することは、子どもを前向きな気持ちにさせる助けになると思います。

まーや:同感です。教員も人間なので、不登校のお子さんがいると、どうしても「何が悪かったんだろう」とネガティブに考えてしまうんですよね。でも保護者も先生も、「できたら褒める」「どんなことならできるかを考える」など、もっとポジティブなことに目を向けることで、子ども達の自信を付けてあげられるのかなと感じました。

小関:そうですね。そして人はストレスが強くなると、どうしても嫌なことばかりに目が向きやすくなります。そんなときこそ、

「仲の良い友だちに会えるよ」
「夏休みに行った旅行の話をしてみたら?」
というように、子どもが楽しいと思うことにアクセスしやすくなるよう、保護者がさりげなくガイドするのも大切です。学校にはつらいことだけでなく、楽しいこともありますからね。

親の声掛けは「行きなさい」より、「何が一番つらい?」

まーや:次は親の声掛けについて教えてください。

小関:保護者は子どもの将来を心配していますから、「学校に行ってほしい」と思うのはごく自然なことです。しかし、コミュニケーションとして考えると、保護者の「◯◯しなさい」はあまり機能しないことが多いんです。

まーや:なるほど。私たち大人が、「仕事しなさい」と言われたら、なんとなくうんざりするのと同じですね。

小関:それよりも、

「何が一番つらい?」
「何か困っていることはある?」
「手伝えることはある?」
といった、子どもの気持ちを整理したり、保護者が味方であることが伝わるような声掛けが良いと思います。これにあわせて、自分のできることや学校に行くことで経験できる楽しいことに目を向けられるよう、話ができると良いでしょう。安心して話せる環境を整え、小さな目標を一緒に考えることが最初のステップです。

学校とのコミュニケーションは積極的に

まーや:最近はアプリで学校に欠席連絡ができるので、親と担任の先生が話す機会が減りましたよね。でも教員目線で言わせていただくなら、気になることがあれば担任の先生に相談しても良いと思います。学校側は、家庭では見えない様子を知っていますし、逆に家庭でしか見えない様子を先生も知りたがっています。情報共有することで、子どもの理解が深まるでしょう。

とはいえ、親の立場からすると、先生に個別対応をお願いすることに少し躊躇してしまうこともあると思います。ですが、教員側からご家庭にお電話するとき、「保護者に心配をかけてしまうのではないか」などと、ハードルの高さを感じる場合もあるんです。なので「こんなことを相談して大丈夫かしら」と躊躇せずに、保護者から先生にどんどんお話しすることが、ご家庭にとっても先生にとっても良いことなのかなと思います

小関:その際、「なぜ登校できないのか」という原因探しよりも、「登校しないことで、子どもが得ている良いこと、あるいは避けることができている嫌なこと」は何かを考えてみてください。例えば、それが「今日の授業で予定されているみんなの前での発表をしないで済む」ということなら、「みんなの前での発表ではなく、休み時間に先生と1対1の状況で発表することができないか」、とか、「グループで役割分担しながら発表する形式ができないか」、といった形で調整が可能かを相談してみる。そういったコミュニケーションを取りながら、子どもが「ちょっと頑張れば乗り越えられそうなハードル」を見つけることができると良いでしょう。それと並行して、ご家庭では睡眠や食事などの生活リズムを整えていただきたいと思います。

相談したいと思ったときの窓口とは

小関:どの保護者も、子どもに楽しく人生を送ってほしいと願っていると思います。今置かれている状況を整理し、学校に行くのと行かないのと、どちらが目標にたどりつけるか?それを親子で判断していきましょう。必要に応じて学校から情報を得たり、長引く場合はスクールカウンセラーなどの専門家に相談したりすることも大切です。

また、相談したいと思ったら、担任の先生、教頭や校長先生、部活の顧問、スクールカウンセラー、場合によっては去年の担任の先生に相談するのも良いと思います。学校に相談しづらいなら教育センター、地域の児童相談窓口やこころの健康相談窓口などでも良いでしょう。長期化するなら、一般の方が相談できる大学の心理相談室もあります。

まーや:思春期など様々な理由で、親に打ち明けることが難しい子どももいると思います。そうした子どもが自分で相談できる窓口もあるのでしょうか?

小関:はい。子ども自身で相談できるSOSダイヤルやLINEアプリがあります。

近年、子どもが悩みを抱えていても身近な大人に相談できず、一人で問題を抱え込んでしまうケースが指摘されています。そのため、学校や家庭以外にも安心して相談できる窓口が整備されているのです。また、子どもの中には、対面や電話で相談することに抵抗を感じる場合もありますが、その点LINE相談は、普段使い慣れているコミュニケーション手段を活用することで相談への心理的なハードルを下げ、早期の支援につなげることを目的としています。

これらの相談窓口では、相談内容の秘密やプライバシーに十分配慮した対応が行われています。子どもの安全確保のために必要な場合を除き、本人の同意なく相談内容が周囲に伝えられることはありません。

学校行き渋りを乗り越えた先にあるものとは

小関:学校行き渋りは、子どもが自分で解決できそうな問題か、人の助けを借りたほうが良いかを見極めるのが大切です。保護者は「自分でできそう?」「手伝いが必要?」と寄り添い、支え、前向きな一歩を踏み出せるように伴走できると良いでしょう。

どうしても頭に浮かぶ嫌なことに引っ張られ過ぎて、嫌な気持ちが膨れ上がってしまうことも少なくありません。「あ、学校に行くとこんな良いこともあるんだな」と子ども自身でポジティブなことに気付くことが、歩を進める糧になります。

このように子どもが今置かれている状況を整理し、共有しながら、学校に行くことができるのか、学校を休むことが必要なのかを周囲と連携して見極めて、選択することが必要です。

まーや:学校の行き渋りは、家庭にとってはショックな出来事だと思うんです。でもストレスとどう向き合い、付き合っていくか、それを乗り越える経験は子どもと保護者、両方の人生にとってプラスになると信じています。

小関:その通りです。生きている限り、ストレスを完全になくすのは難しいですよね。長い人生を考えたときに、「転ばぬ先の杖」は万能ではないので、転んでも立ち上がる方法を身につけ、自分自身、あるいは周囲の支援を得て、前を向かなければなりません。小中学生の時期に、それを解決していく力を得ることは、その子の生きる土台を育むことになります。

まーや:大人になったら、保護者と一緒に課題を乗り越える機会は少なくなりますからね。だからこそ、小中高の時期は親子で一緒に考え、整理し、乗り越える経験が大切なんですね。

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