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新学期の心身の不調は自然なこと?学校行き渋りにつながるSOSサイン【前編】

2026年08月20日

からだと心

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長い休みも終わりに近づくと、「学校が始まるのが憂うつ」「なんとなく元気が出ない」と感じる子どもは少なくありません。保護者としては、「ただ休み気分が抜けないだけ?」「それとも何か悩みを抱えているの?」と気になりますよね。実際、長期休み明けの9月に不登校が始まった子どもが多いというデータもあります。(※1)
しかし、「学校に行きたくない」という言葉の裏にある気持ちは、子どもによって様々です。励まして学校へ行くのを促すべきか、見守るべきか、悩む保護者の方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、with class mamaメンバーで元小学校教員の教育インフルエンサー・まーやさんと一緒に、子どものストレスマネジメントを専門とする桜美林大学准教授・小関俊祐先生に、長期休暇明けに増える「学校行き渋り」への向き合い方についてうかがいました。
※なお、健康美塾の本記事では6〜18歳のお子さんを対象にお話しいただいています。

(※1)東京都教育委員会「フリースクール等に通う不登校児童・生徒支援調査研究事業報告書」https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/kyoiku/2024report-1

[お話を聞いたのは…]

「学校イヤだな」は、ごく自然な感情です

まーや:夏休みなど長期休みの終わりが近づくと、「学校に行きたくない」と感じる子が増える印象があります。実際、私が教員時代も長期休み明けや新学年になるタイミングなどに、そういったお子さんがいました。小関先生、なぜ長期休みのあとに学校行き渋りが起こりやすくなるのでしょうか。

小関:子どもの状況は様々なので理由は一概には言えませんが、まず大前提として「学校に行きたくない」と思うこと自体は、決して特別なことではないということです。大人もゴールデンウィークや夏休み明けに「仕事に行きたくないな」と感じることがありますよね。それは仕事が嫌いだからではなく、休みが楽しかったり、自由度が高かったりするからではないでしょうか。

子どもたちも同じです。学校が始まると、決められた時間に起きたり、授業などの集団生活を送ったりしなければなりません。自由だった夏休みと比べれば、「イヤだな」と思うのは自然な反応なのですよね。「また始まる」という予期不安が重なることで、登校への心理的ハードルが高まりやすくなる時期なのだと言えます。

ただし、中にはその不調の原因として、何らかの病気がある可能性もあります。子どもの様子がいつもと違うと感じたら、まずはかかりつけ医などの医療機関に相談してみましょう。

「お腹が痛い」は甘えではありません

まーや:思い返せば、私が受け持ったクラスでも、長期休み明けを中心に、「子どもが朝になるとお腹が痛いと言う」のような不調を訴える相談が増える印象がありました。親としても、本当に体調が悪いのか、それとも登校への不安なのか、判断が難しいところです。

小関:まず基本の対応として、からだの病気なのか否かを確認する必要があります。頭ごなしに登校への不安だろうと放置せず、隠れた病気がないか、まずは医療機関を受診することが大切です。例えば、朝の時間帯にからだをコントロールするのが難しい病気等に当てはまる場合、怠けや意志が弱いという理由で起きられないのではありません。医師の治療方針の下、学校と相談しながら個別の対策プランを立てていくことが大事だと思います。

そして疾患がないと確認できたら、その次に注意するのが、「登校時間が近づくと悪化する」「登校時間を過ぎると少し楽になる」といった様子が見られるかどうかです。これらが見られる場合は、登校への心理的なストレスが関係している可能性があります。

まーや:一概に、甘えや怠けと一蹴しないで、子どもの様子をよく見ていく必要があるのですね。

小関:はい。心理的なストレスによる身体症状には、「痛い気がする」のレベルから、「本当に痛い」レベルまで様々ですが、いずれにせよ本人には実際に苦痛が生じていることがあります。

「どれくらい痛い?」
「保健室なら行けそう?」
「理科の授業には参加できそう?」
といった形で、子どもができること、できないことを整理していきましょう。そして、いつが頑張るタイミングで、いつが甘えて良いタイミングなのかを親子で考え、学校に行くイメージを持たせてあげてください。

心のSOSのサインは様々。注目するべきは、その「変化」

小関:「学校に行きたくない」という気持ちが、「ちょっと面倒だな」というレベルなのか、それとも強い不安やストレスを抱えているのか、保護者であっても見極めるのは難しいもの。ただし、その背景にいじめなどの深刻な問題がある場合は、まずは「欠席する」という選択もあると思います。

まーや:「ちょっと面倒だな」という程度の場合は、学校に行くように背中を押して良いのでしょうか?

小関:良いと思います。不安や嫌なことに対する回避が習慣化すると、行き渋りが続きかねません。そんな場合は、一般的には早い段階で学校との接点を保つことが望ましいと言われています。また、「イヤだな」と言いながらも、学校へ行けば楽しいことが見つかる子どももいます。ですから、いじめなど深刻な問題が特段ない場合は、「学校はイヤだね。でも楽しみなこともあるよね」という形で受け止めながら励まし、保護者が登校をリードしてあげることは良いことだと思います。

とはいえ、子ども自身の気持ちに寄り添うことが、特に保護者の姿勢としては重要です。どうしても登校できない、と子どもが訴える場合には、それを伝えてくれたことをしっかりと受け止め、認めることも大切な選択肢になります。

まーや:では、子どもの学校行き渋りにつながるようなSOSサインにはどのようなものがあるのでしょうか。

小関:よくある反応としては、
・朝起きられない、あるいは夜寝付けない
・頭痛や腹痛が増える
・食欲が落ちる、逆に食べ過ぎる
・イライラする
・急に無口になる
・ゲーム時間の急増
・宿題をやろうとしない

などでしょうか。しかし、睡眠の乱れひとつを取っても、いつもの就寝時間に布団に入っているのに寝付けない子もいれば、逆に寝すぎて朝起きられない子もいるというように、どのような反応が出るかは様々なんですよね。

だから、この反応に当てはまったら即SOSを発しているというものではなく、注目するべきなのは、「いつもと様子が違う」という点です。

まーや:なるほど、「その子の変化」に注目するということですね。

小関:そうです。例えば、よく食べていた子が急に食べなくなったら気になりますよね。そういった「変化」がある場合、心がSOSを発している可能性があります。変化の持続や強さにも注目してみてください。

あとは、話を聞いている途中で急にぽろぽろと涙をこぼして泣き出したり、自室に閉じこもったりするような変化がある場合も、背景に深刻な問題がないか疑うと良いと思います。

コミュニケーションが取りづらくなる思春期に保護者ができることとは

まーや:思春期になると、親子のコミュニケーションが難しくなり、学校行き渋りの原因を探るのが難しくなりそうで心配です。教員時代には、保護者の方から子どもに何かを聞いても、「別に」「何でもない」と終わってしまうことも多いという話を聞きました。

小関:それは思春期の一般的な反応だと言えますね。とくに思春期の子どもは、悩みをそのまま言葉にするのが難しいこともあり、「学校に行きたくない」「朝になるとつらい」といったサインとして気持ちが表れることがあります。幼い頃は保護者主導で動くケースが多いですが、それが10〜11歳頃になると子どもが意思や考えを持つようになり、保護者と対等な関係であると認識し始めます。以前と同じ関わり方が通用しなくなるのは、子どもが成長している証拠です。

まーや:そんな子に、親が「ちゃんと説明して」と詰め寄るともっと黙ってしまいそうです。「どんな話題なら話してくれるだろう」「何に興味を持っているだろう」と歩み寄って考える必要がありそうですね。

小関:はい。小学校高学年以降は、「親子関係の再構築が始まる時期」だとも言われています。だからこそ、「最近話してくれない」と悲観するのではなく、「新しい関係をつくる時期なんだ」と捉えてみるのも良いでしょう。そして、「話せる範囲で良いよ」と、本人が言い出すまで待ってみてください

それでもどうしても気がかりなら、学校の先生や友だちの保護者の方などに、子どもの様子を聞いてみても良いかもしれません。

学校行き渋りの気付きから相談までの流れ

小関:行き渋りは長く続くほどに習慣化してしまいます。初期段階での動きが大切です。

からだの疾患ではないとわかり、体調が落ち着いた時点で、子どもと一緒に相談しながら学校にまつわる行動を、「できること、できないことリスト」に整理していきます。具体的には、「余裕でできること」、「頑張ればできること」、「頑張ってもできないこと」に分類するのです。そこで、「頑張ってもできないこと」は一度置いて、まずは「頑張ればできること」が「余裕でできること」になるのを目指して、保護者や学校がサポートしていくと良いでしょう。

「何かができないと学校に行けない」と思い込んでいる子どもは少なくないのですが、逆の発想で、「できることがあれば学校に行ける」と気付かせてあげてほしいと思います。例えば、「クラスで授業を受けるのは無理でも、保健室登校ならできるんじゃない?学校に付き添うよ」という形ですね。

新学期の学校行き渋り対策の前編では、その原因や、注意したい子どもの様子について学びました。後編では、保護者が子どもにできるサポートから、学校との連携方法や相談窓口についてお届けします。

▶︎▶︎▶︎▶▶▶後編はこちら

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