おくすりシートは資源?ゴミ?第一三共ヘルスケアが取り組む、日本初のリサイクルプログラムとは【前編】

2026年06月15日
普段、くすりを飲み終えたときに手元に残る“おくすりシート(PTPシート:Press Through Package)”、どうしていますか?多くの人が当たり前に捨てていたおくすりシート。現在は第一三共ヘルスケアが取り組む、使用済みのおくすりシートを回収・リサイクルする日本初(※1)のプログラム『おくすりシート リサイクルプログラム』によって、このおくすりシートが資源として活用されはじめています。英語教育を通じて海外のサステナブルな活動にも詳しいwith class mamaのSAYAさんと、第一三共ヘルスケアの社員が対談し、『おくすりシート リサイクルプログラム』の現状について考えてみました。
※1 テラサイクルジャパン合同会社調べ

おくすりを飲み終わったあとの空きシート、どうしていますか?
岩城:SAYAさんはおくすりを飲み終わったあとの空きシートを、どうしていますか?
SAYA:普通に一般ゴミとして捨てていましたが、もしかしてリサイクルできるのでしょうか?実は気になっていたんです。そもそも、何ゴミに捨てていいのかわからなくて。
中村:自治体によってプラスチックごみだったり、不燃ごみだったり、資源回収だったりと扱い方が違うようなので、迷ってしまいますよね。
岩城:おくすりシートは国内で年間約13,000トン生産されています(※2)。ただ、その多くが家庭からゴミとして出されて、焼却や埋め立てに回っているのが現状なんです。
※2 富士キメラ総研「2019年 メディカル・ライフサイエンスケミカルの現状と将来展望」*PTPシート国内市場2018年実績13,400トン
岩城:当社が2024年に全国の15歳以上の男女を対象に行ったアンケート結果によると、6割以上の方が環境問題に関心を示していることがわかりました。しかしその一方で、約7割の人は「おくすりシートがリサイクル資源とは知らなかった」と回答しているのです。つまり、これらはおくすりシートが何ゴミなのか、環境問題に関心が高い方でもよくわかっていないという現状を示していると思っています。


中村:特におくすりシートはプラスチックとアルミニウムが一体になっているので、どう捨てていいか、より一層わかりづらいという方が多いようですね。
SAYA:それは私も感じていました。自分で剥がすのは難しいし、分別に迷います。
岩城:そこで多くの方に知っていただきたいのが『おくすりシート リサイクルプログラム』です。
『おくすりシート リサイクルプログラム』誕生秘話

SAYA:『おくすりシート リサイクルプログラム』とはどんなものでしょうか?
岩城:当社ではこれまで、プラスチック使用量の削減や素材の見直しなど、“つくる側”の取り組みを進めてきましたが、環境に配慮した取り組みを加速させていこうという観点から、使われたあとの回収やリサイクルといった部分にも力を入れる必要があるとの思いに至ったのです。
中村:そして社内で2019年にサステナビリティ推進委員会を立ち上げ、循環型社会を血液の循環に例えて、「動脈(つくる)」だけでなく「静脈(回収して循環させる)」にも取り組もうという流れができました。製品をつくる流れと、使い終わったものを回収してリサイクルする流れ、その両方がそろって初めて循環が成り立つという考え方です。
その中で、当時はおくすりシートの資源化の仕組みがほとんどなく、廃棄されている状況だったため、プロジェクトがスタートしました。
岩城:その後、テラサイクルジャパンさんと連携し、2022年10月から神奈川県横浜市で実証実験をスタートしました。2025年12月からは東京都東大和市でもプロジェクトが開始されています。
薬局、ドラッグストア、病院、公共施設などに専用の回収ボックス『おくすりシートくるりんBOX』を設置し、使用済みの「おくすりシート」を回収するんです。そして回収された「おくすりシート」はそれぞれに適した形の処理により、新しいリサイクル製品として生まれ変わる。それが『おくすりシート リサイクルプログラム』です。
おくすりを正しく知ることが第一歩

SAYA:おくすりそのものについても知りたいです。そもそも、おくすりシートは何のためにあるのでしょうか?
中村:基本的には、おくすりの品質を守るためです。そのまま置いておくよりも、しっかり包んだ方が品質は保たれます。たとえば食卓でも、おかずをお皿に乗せてそのまま置いておくより、ラップをして保存した方がいい、というのと同じような考え方ですね。
岩城:一般的なおくすりシートはPTPシート(Press Through Package)と呼ばれ、錠剤やカプセルをプラスチックとアルミニウムの層で1錠ずつ密封した包装形態になっています。湿気・光・酸化からくすりを守る役割があり、1錠ずつ管理しやすいのが利点です。
SAYA:保管方法として説明書によく書いてある“冷暗所”とはどういう意味ですか?
岩城:引き出しの中など、暗くて涼しい場所のことです。猛暑の日は「冷蔵庫に入れなければ」と思う方もいらっしゃるのですが、冷蔵庫で保管すると出し入れのときの温度差で結露ができてしまうことがあります。結露ができるとおくすりが湿気を帯びる可能性があり、くすり同士がくっついたり、コーティングが剥がれたりすることも。だから取り扱い説明書に冷所保存の指定がない限り、一般的には室温で、直射日光や高温多湿を避けて保管するといいでしょう。
中村:使用期限は箱に記載があるのでご確認いただきたいと思います。場合によっては、おくすりシートの端に書かれていることもありますよ。
難しかった「おくすりシートのリサイクル」が広がりを見せています

SAYA:おくすりシートのリサイクルがこれまであまり進んでこなかったのには、理由があるのでしょうか。
岩城:プラスチックとアルミニウムを圧着しているため、剥がすのが難しいんですよね。さらに、使用しているプラスチックはPVC(ポリ塩化ビニル)やPP(ポリプロピレン)など複数の素材が使われており、それぞれに使う接着剤が違うこともあるので、剥がし方も変わってくるんです。そこがリサイクルしづらく、加えてまだ解決しきれていないこともあり、リサイクルが進んでこなかったのだと思います。
SAYA:実はアメリカでサステナビリティの学習として、“プラスチックとアルミニウムを分別する”というワークショップに子どもと一緒に参加したことがあるんです。静電気と重さの違いを利用し、水に材料を入れて振ると浮かぶもの、沈むものに分けるという手法だったのですが、子どもが「こうすれば分けられるね」って言っていたのが印象的で!
中村:まさにリサイクルに利用している方法と同じ考え方ですね。熱処理とともに、分別時に取り入れられています。
SAYA:海外ではこういったリサイクル、リユースを視野に入れたワークショップが本当にたくさんあるんです。また、我が家にホームステイに来たアメリカ人の学生さんも、サイエンス教育のときにおくすりシートの分別について学んだと言っていました。
若いうちから、こういった取り組みに触れると意識も高まりますし、自ら考え、実行する力につながりますよね。『おくすりシート リサイクルプログラム』も、ぜひ親子で取り組んで、次世代にSDGsの考えをつないでいきたいですね。
岩城:ありがとうございます。『おくすりシート リサイクルプログラム』も、現在は100拠点を超え(※3)、お陰様で毎月700〜800キロ程度と非常に多く回収できています。1シート約1gで換算すると、毎月70万〜80万枚ほど回収できているという計算です。
※3 専用回収ボックスの設置場所がわかる『おくすりシートくるりんBOX MAP』https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/okusuri-sheet/
中村:まずは「何ゴミなんだろう」というところから、「回収できるんだ」と知っていただき、近くに回収ボックス“おくすりシートくるりんBOX ”があったら気軽に参加していただければと思います。
――第一三共ヘルスケアの『おくすりシート リサイクルプログラム』はこちらから!後編ではSAYAさんにも実践していただき、具体的な参加方法や再利用について詳しく説明していきます。
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