【デリケートゾーンの正しいケア】かゆみなどの原因は間違ったケア?マンガで解説!正しい対処法【前編】
2024年06月03日
なかなか他人には聞きにくい「デリケートゾーン」にまつわる話。実際みんなどうケアしているの? そもそも私のケアは本当に正しいの!? もしかしたらケアしていたつもりでも、かえって悪影響になっているかもしれません……。今回は、漫画家のChiekoさんとともに、「デリケートゾーンの3大あるある悩み」について、神谷町WGレディースクリニック尾西芳子院長にお話を伺いました。
間違ったケアがかゆみや黒ずみの原因に!? デリケートゾーンのケアってどうすればいいの?
――デリケートゾーンのケアについてアンケート※を実施したところ、「ケアを全くしていない」と答えた方が約62%でした。まだまだ顔やボディのケアよりも優先度が低いようです。
※デリケートゾーンのケアについての調査(2024年4月/with class mamaフォロワーn=66)
尾西:実際に診察していても、専用のケアアイテムを使っている方はほとんどいらっしゃらないですね。当院はアメリカやイタリア、韓国など海外の方もよく受診されるのですが、みなさん専用アイテムを使っていたり、定期的に性病検査をしていたりと、デリケートゾーンのケア習慣が当たり前なんです。そういった患者さんにお話を伺うと、海外では専用商品の種類も豊富で、ごく普通のスーパーなどでも販売されており気軽に購入できるそうです。やはりそれに比べると、日本はまだまだ発展途上だと感じますね。
ただ、専用アイテムを使っているかどうか以前に、“間違ったケア”をしている人がとても多いんです! お手洗いで頻繁にビデを使っていたり、石けんでゴシゴシ洗っていたり……。自己流で“良かれと思ってしていたこと”が、かえってかゆみやニオイ、黒ずみの原因となっていることもあるんです。
Chieko:生理のときにビデを使っているんですが、もしかして良くないんですか……?
尾西:生理のときくらいだったら問題ありません。中にはお手洗いに行く度にビデを使用されている方もいますが、それは洗いすぎなのでNGです!
Chieko:正しいケアってきちんと学ぶ機会がないし、つい自己流になりがちですよね……。ちなみに、セルフケアするように注意すべき年代や生活スタイルってありますか?
尾西:ケアは年代問わずしてほしいですね。若いうちから正しくケアしておけば、悩むことも少なくなりますしね。生活スタイルでいうと、いつもパンツスタイルだったりストッキングを履いている方は、蒸れやすい環境になっているので要注意です。蒸れはやはり菌(微生物)の増殖の原因になるので、できれば通気性のいいものを選ぶといいでしょう。ちなみに、ショーツも化学繊維のものよりは、綿が肌への負担も少なく、通気性もいいのでおすすめです。
デリケートゾーン3大あるある悩み(1)かゆみ
――では、ここからデリケートゾーン3大あるある悩みである「かゆみ」「ニオイ」「黒ずみ」について、それぞれ原因や対処法などについて詳しくお伺いしたいと思います。まず、かゆみについてはいかがでしょう。
尾西:かゆみの原因で圧倒的に多いのが、カンジダ菌というカビです。カンジダ菌は健康な女性でも持っている常在菌で、自分の免疫力の方が勝っていれば特に悪さはしません。しかし、疲れやストレスなどで抵抗力が落ちてしまうと、膣内のカンジダ菌が増殖してかゆみが出ることがあります。
Chieko:蒸れなどがかゆみの原因ではないんですね。
尾西:蒸れだけでは特に何も起きませんが、実はカビがいて、蒸れることでカビが増殖してかゆみが出ているんです。あとはナプキンや下着などに対するかぶれなどもありますね。
Chieko:まさに私、そのカンジダ菌を持っているタイプで、産後など何回もくり返すひどかった時期があったんです。今でも、徹夜をしてしまったときや睡眠不足が続いたりすると予兆を感じることがあって、気をつけてはいるんですが……。くり返し症状が出ていたのがまだ子どもたちが小さかった頃で、気軽に通院することもできなくて。そんなときにはどうすればいいのでしょうか。
尾西:症状があるとついゴシゴシ洗いたくなると思いますが、それは避けた方がいいです。まずはやさしく洗うことや良い食生活で良い菌を増やすようにしましょう。
でもやはり、何度もくり返すときには婦人科で診てもらうのが一番です。クリニックではカビを殺す膣錠を入れたり、飲み薬を処方したりします。症状が出ている箇所が外側の場合は、塗り薬を出すこともあります。
カンジダ菌以外にも、「トリコモナス」という性病に罹っている場合や、雑菌がいてかゆみが出ることも。一度そういったことになったことがある方の中には、「この原因はまた雑菌とかだろう」と自己判断して、市販の抗生剤を使ってしまうことがあります。しかし、抗生剤を使うと悪い菌だけでなく良い菌も殺してしまうこともあるので、結果的にカビが残ってしまうんです。自己判断で対処してかえって酷くなって来院されるケースもあるので、その点は注意していただきたいですね。
Chieko:やはり自己判断は危険ですね。ちなみに、普段の生活で気をつけるべきことってありますか? 個人的には食生活も関係してそうだなと感じるのですが……。
尾西:抵抗力が落ちることで症状が出るので、菌に負けない身体づくりは大切ですね。免疫力を高めるタンパク質は積極的に摂るようにしましょう。また、「ちょっと怪しいな……」というときには、意識して休みを取るようにしてくださいね。
デリケートゾーン3大あるある悩み(2)ニオイ
――次はニオイについてです。主な原因としては何が考えられるのでしょう。
尾西:イカの塩辛のようなニオイと言う方もいますが、そういった生臭いニオイの場合は、雑菌が入ってしまっていることが多いです。肛門が近いのでどうしても拭いたときとか、ショーツについていたのがこすれて、膣の中に入ってしまうと、そこで繁殖してしまうことはあります。お尻を拭くときは絶対に「前から後ろに拭く」ようにしてください。あとは入浴時に、刺激の少ない洗浄料を選んで、泡立てて手でやさしく洗ってあげるのもニオイ対策になります。
Chieko:私は普段そこまで気にならないのですが、やっぱり生理中は気になることもあって。子どものお尻拭きで拭いたりしたこともあったのですが、どうなんでしょうか……。
尾西:生理のときに、皮膚や陰毛についてしまった経血をポンポンとやさしく拭いてあげるのはいいと思います。ただ、粘膜部分までゴシゴシとするのはNGです。
Chieko:もしかしたら私、強く拭きすぎていたかもしれません。綺麗であればあるほどいいのかな、と……。
尾西:膣って口の中やまぶたの裏と同じ粘膜部分なんです。まぶたの裏をゴシゴシなんて、痛くてできないですよね……? そもそもデリケートゾーンの皮膚自体まぶたと同じくらいすごく薄いので、粘膜だけでなく大陰唇など全体的にやさしく触れてあげてくださいね。
――読者からの声の中に、「加齢によって、ニオイがきつくなってる気がする」といったのもあったのですが、それはいかがでしょうか。
尾西:おりものが関係しているというよりは、体臭ですね。デリケートゾーンは脇と一緒で、わきがの原因になるアポクリン汗腺が多くあるんです。なので、加齢臭と同じように、デリケートゾーンのニオイが強くなるというのもあります。ただ、トリコモナスなどニオイの原因になるタイプの性病もあるので、注意が必要です。「ニオイが強いのは体臭だからか」と思っていたら、実は性病に罹っていたというケースも。一度通院して検査してみるといいでしょう。
デリケートゾーン3大あるある悩み(3)黒ずみ
――最後は黒ずみです。やはり一番の原因は摩擦でしょうか。
尾西:そうですね。デリケートゾーンはメラニンが多く、黒ずみやすい場所なので、まずはこすらないことが大切。また、乾燥も大敵なので、クリームなどを塗って保湿ケアをするようにしましょう。
Chieko:顔に使った化粧水などを、そのままデリケートゾーンに塗ってもいいものですか……?
尾西:粘膜以外の部分は大丈夫ですよ。専用のアイテムを使わなきゃいけないと思いがちかもしれませんが、まずはケアを始めて、続けることが大切。専用アイテムを使うのが面倒だからと、まったくケアしないよりはいいですよ。
Chieko:そうなんですね! てっきり専用アイテムじゃないといけないのかと思っていました。一気にケアに対するハードルがグッと下がりました! ちなみに一度黒ずんでも、薄くなるものなのでしょうか……。
尾西:地道に薄くしていくしかないですね。最近では、顔などと同じようにレーザー治療される方もいらっしゃいますよ。VIO脱毛する方が増えていますが、毛がなくなることで黒ずみが気になり始める方が多いようです。
Chieko:やっぱり黒ずみを治すのは根気がいるんですね……。VIO脱毛することで黒ずみだけでなく、たるみなども気になり出す人もいそうですね。デリケートゾーンも加齢とともにたるんでくるんですか?
尾西:そうですね。デリケートゾーンも顔などと同様、加齢とともにハリがなくなって垂れてきてしまいます。直接的な健康被害があるわけではありませんが、やはり垂れてくることで年齢をより感じてしまい、気にされる方も多いようです。たるみは乾燥が原因でもあるので、やはりデリケートゾーンもしっかり保湿する習慣を身に付けたいところですね。
Chieko:将来たるんできて驚愕しないためにも、デリケートゾーンも毎日コツコツケアすることが大切ですね!
後編では、デリケートゾーンであるあるな悩みをQ&A形式で先生に質問! 洗い方など、気になる話をいろいろ伺います。
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