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小学生に多いケガ「TOP3」って?正しい子どものケガ対処法【前編】

September 3, 2024

  • 取材・文・編集:岩崎 幸
  • イラスト:けいもとひとみ
  • 監修医師:北垣毅先生

更新日:2024年09月06日

保育園・幼稚園を卒業したばかりの1年生から、育ちざかりの6年生まで、からだはもちろん心も大きく成長する小学生。その成長に合わせて、「どんなケガをしやすくなるのか」も変わってきます。たとえ親がどれほど気を付けていてもケガをすることも。ケガをしたときどうするのが正しいのか、自分のやり方は合っているのか、悩んだママも多いのではないでしょうか。“もしも”の時に慌てないために、心の準備をしておくことは大切。そんな改めて知っておきたい子どものケガ対処法について、実際に小学生のお子さんをもつwith class mamaメンバーのまめねこさん、愛田あいさんと、「たけしファミリークリニック」の北垣毅院長と一緒に学んでいきましょう。

参加メンバー
北垣毅先生(たけしファミリークリニック院長)
まめねこ:9歳、5歳の2児のママ
愛田あい:8歳、5歳、2歳の3児のママ

小学生で一番多いケガ「TOP3」って?

――今回のテーマは「小学生のケガ対処法」ということで、小学生のお子さんがいらっしゃるwith class mamaメンバーのまめねこさん、愛田あいさんにご参加いただきました。
「小学生のケガTOP3」は、
1位:挫傷・打撲
2位:骨折
3位:捻挫
との調査(※1)がありますが、実際にお二人がヒヤッとしたお子さんのケガはありますか?
※1 独立行政法人 日本スポーツ振興センター[学校の管理下の災害]令和5年版より

まめねこ 通っている小学校にジャングルジムがあるんですが、上の方に登って、そこで友達同士で押し合いをし始めてしまったらしく、息子が転落してしまい……。先生が見てない休み時間の出来事だったので、学校から電話で「どこを打ったかわからないですが、とにかく迎えに来てください!」との連絡が低学年のときに2回ほどありました。体育の授業だったら先生も見ているし、打った部位もわかると思うんですが、休み時間中のケガは親としてはちょっと怖いですね。

愛田 私もまさに同じです。学校に結構高さのある遊具があって、1年生の頃に上の方まで登っていって、そこから落ちたことがありました。それと実際に落ちてはいなくても、「今日は一番上から飛び降りたんだ!」ということを家に帰ってきてから言うことがあって。そうやって話してくれるのはありがたい一方で、親としては「大丈夫なの!?」とかなり肝が冷えました。

北垣 子どもは本当にケガが多いですよね。特に小学生は一番不安定な時期で、小学生といっても1年生と6年生では体格も全然違うし、ケガのタイプも違ってきます。低学年の場合はまだ身体能力が発達しきっていないこともあって、頭をぶつけたり転んだりなどのケガが多いのが特徴です。先ほどお二人がおっしゃっていた「遊具から落ちる」といったことも、高学年になってくれば「ここは危ないな」などと判断できるようになるのですが、低学年のうちはまだその危険さが判断できず、かつ冒険心もあるので、そういったケガが多くなるのだと思います。そして学年が上がるにつれて、骨折や捻挫などスポーツでのケガが増えてきます。

ちなみに、中高生に比べて頭のケガが多いのも、小学生のケガの特徴の一つです。まだ発達途中のため、特に低学年の頃はからだのバランスもとりにくく、頭を打ちやすいんです。

まめねこ 昔よく、「頭を打った時にたんこぶができるか、すぐに泣けば急性硬膜下血腫※などの大事には至らない」と聞いていたのですが、これって迷信ですか……?

※急性硬膜下血腫とは……頭蓋骨の内側で、脳を包む膜(硬膜)と脳の表面との間に徐々に血液(血腫)が溜まること。ほとんどが頭部外傷によって発生する。

北垣 迷信ですね。頭部打撲は、頭を打ってからどのくらい時間が経っているかが非常に大切です。硬膜下血腫は徐々に脳内で血が溜まっていくため、ある程度のところまでは全く症状がありません。その場で元気だったとしても、1時間~2時間の間になんとなくぼんやりしてきたとか、1回、2回嘔吐したら、それは危険なサイン。受傷後2時間以内で、意識はあってしっかり話せるけれど、同じようなことを何回も聞いたり、受け答えに間があったりなど意識低下がみられたら、それは頭蓋内出血が起こっているときに出てくる初期症状です。そうなった場合は、近くの小児科クリニックなどではなく、頭部のCT検査ができる病院に行ってください。それと、頭の“どこ”を打ったのかも重要で、頭の横の部分、側頭部は骨がすごく薄いため危険です。

まめねこ 意識低下や何回も嘔吐がみられたら、救急車を呼んでもいいのでしょうか?

北垣 もしお近くに病院があれば、ご自身の車やタクシーで向かってもいいですが、救急車を呼んでも大丈夫ですよ。救急車を呼んでいれば、万が一痙攣を起こしたり呼吸停止した場合も、対応できるので安心です。

傷と言っても、傷の種類で対処法が違う!?

――実際、ケガをした際の正しい対処法について伺いたいのですが、まず小学生のケガで一番多い挫傷・打撲の場合はどうすればいいでしょうか。

北垣 まずはしっかりと圧迫して、止血をすること。これは鼻血など、どこからの出血であっても同じです。基本的には表面からの出血なので、20分ほど強く抑えていればある程度は止まります。万が一抑えても血が止まらない場合は、救急車を呼んでください。
そして、どんなに軽いケガであっても、動かさないこと。表面を擦りむいただけなのか、あるいは骨折しているのか分からないので、むやみに動かさないようにしてくださいね。

――例えば、足や腕、顔を擦りむいた際には、具体的にどうすればいいでしょうか?
・浅い擦り傷の対処法
北垣 浅い擦り傷の場合は、砂や砂利が入っていたら洗い流すことが大事になりますので、まず傷口を水でよく洗いましょう。そして止血を行い、血が止まったら、市販の創傷被覆材(そうしょうひふくざい)を貼って傷を乾かさないようにしていれば、1週間も経てばきれいに治ります。ちなみに、創傷被覆材が手に入らない場合には、ワセリンを塗布してラップフィルムで覆っておくというやり方もあります。

・刺し傷や噛み傷の対処法
北垣 釘を踏んだり動物に噛まれたなど、刺し傷や噛み傷などの場合には、傷口から中に菌が入り込んでしまう場合があるので、消毒液を使うようにしましょう。実は噛み傷が後々感染症を引き起こすことも。例えば猫に噛まれて、とても小さくて大したことのないような傷でも、2、3日後に赤くなったり、大きく腫れたりすることもあります。また、傷が一見きれいに見えても、病院に行って抗菌薬をもらっておいた方がいいでしょう。なにもこれは動物だけでなく人間に対しても同じで、お子さんがお友達から噛まれたりしたときも要注意ですよ。

愛田 傷=すべて同じ対処法と思っていました……! たまに子どもが登下校中に野良猫がいた話をするときがあるんですが、特にそのことに対してはなにも気にせず、むしろ「ブロックから飛び降りないよう気をつけてね」といった声かけをしていました。これからは、「動物がいても不用意に触らないでね」ということも伝えるようにします。

・切り傷の対処法
愛田 切り傷をした場合、縫った方がいいか、判断するのが難しいなと思うのですが……。

北垣 傷口がぱかっと、まっすぐに割れてる場合は縫った方が早いです。ただ、たしかにおっしゃる通り一般の方が判断するのは難しい場合もあるので、迷った際にはぜひ病院に相談しにいらしてください。

冷やしすぎはNG!骨折や捻挫したときの正しい応急処置

――小学生のケガとして次いで多い、骨折、捻挫についてはいかがでしょうか。

北垣 まず、骨折は骨膜が破れるので、今までに経験したことがない痛みが生じます。折れている場所がピンポイントで痛く、押したり負荷がかかるとさらに痛みが増します。ただ、捻挫であったとしても骨折が隠れていることもあって、今、病院では、突き指など軽傷の場合でもほとんどレントゲンを撮ります。特に子どもは、まだ靭帯が軟弱で骨にくっついているため、捻挫から剝離骨折を起こしやすいのです。

そして応急処置についてですが、打撲や捻挫をした際の対処法として、「RICE(ライス)処置」という言葉を聞いたことはありませんか?まず安静(Rest)にして、冷やし(Icing)、それから部位を圧迫(Compression)し、上に挙げて高さを保つ(Elevation)こと。

まめねこ 耳にしたことがあります。実際、子どもが捻挫などをしたときもそうしていました。

北垣 実は、このなかの“アイシング”は、最近では“クーリング”になっています。氷を使ってアイシングしてしまうと冷やしすぎてしまい、ケガをしたところのダメージがもっと酷くなって、治癒に悪影響を及ぼすんです。氷のうや保冷剤などをタオルやハンカチで包んで、患部に当てて冷やしてあげてください。また、ずっと当て続けるのもNGですよ。10分冷やしたら離して、休憩しながら行ってくださいね。

まめねこ そうなんですね……! 子どもが「冷たい、冷たい」って言うのを、「でも冷やさなきゃだめだから!」と冷やし続けていたので衝撃です。

北垣 冷やしすぎが良くなくて、ちょっと冷たいくらいで十分なんです。なので、言い方もアイシングからクーリングに変わっているということです。そして、患部を冷やすのは、ケガをしてから2日間だけ。2日目まではしっかりと冷やして腫れや痛みを引かせて、そして3日目以降は、逆に温めるようにしてください。そして、今回お話ししてきた対処法は、子どもだけに限ったものではなく、大人がケガした際にも同じです。親御さんご自身が何かケガした際にも、同じように対処してくださいね。

まめねこ・愛田あい 非常にタメになるお話、ありがとうございました!

後編では、子どもの異変を見逃さないためにすべきことや、軽いケガでも放置した場合のリスク、そして家の中でのケガを防ぐために見直したいことなどについて伺います。

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