防災リュックの中身をチェック!いざという時の家族の備えと大切な心構え【後編】

2026年09月01日
災害が起こったとき、多くの親が真っ先に思い浮かべるのは、「家族は大丈夫か」ということではないでしょうか。特に小さな子どもがいるご家庭では、被災時の行動も大人だけの場合とは変わってきます。
家での備えについて学んだ前編に続き、後編では、乳幼児期から小学生までの子どもの備えや、防災リュックの作り方、そして親子が離ればなれになった被災時の心構えについて、防災アナウンサーとして活躍する、おうち防災の専門家・奥村奈津美さんと、管理栄養士でママでもあるmakoさんに伺いました。
お話を聞いたのは…

大人の防災リュックは「生活を支える道具箱」

mako:奥村さんの防災リュックはかなり大きいですね。
奥村:これでも背負って走れる重さにしているんですよ。makoさんも背負ってみてください!

mako:本当ですね!かなりズシッときますが、いざとなったら走れる重さですね。
奥村:リュックは防水素材でチェストベルト付きのものに。そして中身はジッパー付きの保存袋に小分けにして濡れないようにしています。
mako:リュックの中に、これはぜひ入れておきたいというものはありますか?
奥村:最も優先するべきものは、それがないと命をつなぐことが難しくなるものです。私は「体の一部になるもの」と表現していますが、例えばメガネや補聴器、入れ歯、医療機器やそのバッテリー、普段飲んでいるおくすりなどが挙げられます。おくすりは、おくすり手帳のコピー、市販薬であれば箱ごと、中の説明書も一緒に入れておきましょう。

奥村:それから、ひもを通して肩から斜め掛けできるようにしたトイレットペーパーもおすすめです。両手が空きますし、トイレだけでなく、ちょっとした汚れを拭く時などにも役立ちます。

奥村:また、ヘルメットも家族それぞれ用意しておくと安心感が違います。私は、ヘルメットにホイッスルと、夜間の避難も想定してヘッドライトも付けています。
●防災リュックの中身はこちらをチェックしながら用意!

親子それぞれに「防災リュック」

mako:奥村さんはお子さんと一緒に防災リュックを作っているんですよね。子どもに防災リュックを持たせる目的は何でしょうか?
奥村:子どもだけはぐれることがあるからです。例えば津波や火災で親子が離ればなれになる恐れもありますし、迷子になることもあると思います。そのための備えです。
mako:何歳くらいから持たせると良いのでしょうか?
奥村:小学校に入って、ランドセルを背負って通えるようになったらというのが、一つの目安ですね。それより小さいお子さんの場合は、親の荷物に入れるのが良いと思います。
そして、防災リュックに何が入っているか子ども自身が把握していないといざというときに役に立たないので、子どもと一緒に用意することが大切です。おすすめは、「好きなお菓子を入れよう!」から始めることです。
mako:それなら、子どもも主体的に取り組めそうですね!
●子どもの防災リュックはこちらをチェックしながら用意!

いつものポーチの中身にプラスして防災仕様に

奥村:外出中に被災したときのために、普段お使いのポーチに防災グッズを少し足しておくのも良い工夫です。
mako:なるほど。最低限の備えがあるだけでも安心感が違いますね。
奥村:さらにバッグの中には、いつもマイボトルやSOSカードも入れています。鍵にはホイッスルもつけて。ホイッスルは声よりも効率よくSOSを伝えられる場合があるので、あると安心です。
mako:特別な準備をしなくても、今の持ち物を少し見直すところから始められそうな身近な防災ですね。
SOSカードが家族を守る

mako:先ほどからお話に出ている「SOSカード」とは、どんなものなのでしょうか?
奥村:家族がバラバラで被災した際の備えで、本人や家族の情報を記したカードです。必要な情報としては、
・家族写真
・本人の情報(名前、生年月日、血液型、住所、電話番号、勤務先・学校や保育園など)
・家族の情報(名前、電話番号)
・持病やアレルギー、おくすりなどの健康情報
・子どもの好きな物(食べ物、キャラクター、おもちゃなど)
・指定避難場所や避難所
・発災時サポーターの情報(何かあったときにサポートしてくれるママ友や遠方の親戚など)
・予防接種情報のコピー
ですね。ビニール製のファイルに入れるか、ラミネートで防水加工にして、家族全員の持ち物に入れておくと安心です。
mako:家族写真を入れるという発想はありませんでした。
奥村:いざとなると家族の特徴をうまく説明できないことがあります。家族が離ればなれになったときも、写真があることで周囲の大人が家族を探す手がかりになります。家族が写っている年賀状の裏に情報を記入するという方法も手軽でおすすめです。
「安全な場所でそれぞれが自分の命を守る」を家族の約束に

奥村:災害はいつ起こるかわかりません。働いているママも多い時代、家族が別々の場所にいるときに被災することも当然あるわけです。
mako:親としては、すぐに迎えに行きたくなってしまいますが、自分の熊本地震被災の経験からも、すぐに動くことはできない場合があることも想像できます。
奥村:私も親なのですぐに迎えに行きたくなる気持ちは痛いほど分かりますが、大きな災害が起こると公共交通機関が止まったり、道路が通れなくなったりすることもあります。迎えに行く途中で火災や液状化現象、落下物など危険な目に遭う可能性もあるんです。そうした二次被害は避ける必要があります。
だからこそ、「生きていれば必ず会える」「今は安全な場所でそれぞれが自分の命を守る」ということを家族で共有しておくことが非常に大切なんです。
mako:よくわかりました。ちなみに、再会できるまでどのくらいを想定しておくと良いのでしょうか?
奥村:そのときの被災状況にもよりますが、東京都帰宅困難者対策ハンドブックでは、救助・救命の妨げにならないよう、また二次災害に遭わないよう72時間は職場や学校で待機することが推奨されています。
mako:3日間ですか……。
奥村:何も知らずに待つのと、「まずは3日を一つの目安に頑張ろう」と思っているのとでは心構えが違うはずです。交通や通信が混乱することもあるため、まずはそれぞれが安全な場所で身を守り、家族で連絡手段を確認しておくことが大切です。
今から家族で話しておくべきこと

mako:やはり防災について、気付いた今日から家族で話し合うことが大切ですね。
奥村:そうですね。毎日の予定を家族で共有することも立派な防災ですし、子どもには困ったときは大人を頼ること、自分の命は自分で守ることを伝えておくことも欠かせません。いざというときに助け合えるように、地域の人と顔見知りになっておくのも良い備えだと思います。今すぐ始められることはたくさんあるんですよね。
mako:防災というと、つい「何を買うか」に意識が向きがちです。でも、一番大切なのは家族で話し合って備えることなのだと感じました。
奥村:そうですね。できることを一つずつ。それが家族を守る力になっていくと思います。
※この記事の内容に関わらず、災害発生時は命を守ることを最優先に行動してください。
このたびの熊本地震、ならびに8月の千葉豪雨で被災された皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。被災地の一日も早い復旧・復興を願っております。
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