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家族で防災を考える!子どもがいる家庭で「命を守る」本当に必要な備えとは【前編】

2026年09月01日

家族・くらし

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9月1日は防災の日。「きちんと備えなければ!」と思いつつ、つい後回しにしていた方も、家族の防災を考えてみませんか?特に子どもがいるご家庭では、大人だけの防災とは違った視点が必要になります。

今回は、東日本大震災の被災経験をもとに防災アナウンサーとして活動するおうち防災の専門家・奥村奈津美さんと、2016年の熊本地震で被災経験のある管理栄養士でwith class mamaインフルエンサーのmakoさんが、「親子でできる防災」について対談。

前編となる今回は、地震から命を守る家づくりのポイントと、被災後の暮らしを支える備えについて伺いました。

お話を聞いたのは…

地震から命を守るために、まず知っておきたい「わが家の安全性」

mako:防災を家族で考えるにあたり、最初に何から取り組んだら良いでしょうか?

奥村:まず大事なのは、「どんな家に住んでいるか」と「どんな地域に住んでいるか」を知ることです。1981年5月31日以前に建てられた住宅は旧耐震基準で建てられていて、耐震性が十分でないものもあります。また、1981年6月1日から2000年5月31日までに建てられた木造住宅についても、接合部などの仕様を含め、耐震性の確認を検討しておきたいですね(※1)。

※1平成29年5月 新耐震基準の木造住宅の耐震性能検証法(一般社団法人日本建築防災協会 国土交通大臣指定耐震改修支援センター)

mako:防災というと、防災グッズを買うことばかり考えていましたが、まずは自分の家と周辺の環境を知ることが大事なんですね。

奥村:そうなんです。そして、住んでいる家や地域によって、地震が起こった時に取るべき行動も変わります。まずは頭を守り、倒れてくるもの・落ちてくるもの・移動してくるものから離れて、身の安全を確保することが第一です。家が木造で耐震性に不安のある場合は、自宅や周辺の状況を見極め、必要があれば家にとどまらずに揺れたらすぐに外に避難しましょう。また、地域によっては津波や水害、火災、土砂災害、液状化現象などのリスクもあるので、ハザードマップを見て、自分たちの地域にどんな危険があるのかを知っておくことも欠かせません

mako:「わが家の場合はどうする?」を家族で話し合っておきたいと思います。

奥村:災害は単体で起こるとは限らず、地震と津波、地震と火災など、複合的に発生することがあります。状況に応じて行動できるよう、普段から考えておきたいですね。

家具の固定は、家族の命を守るための大切な備え

奥村:makoさんは、ご自宅で家具や家電の固定はされていますか?

mako:私も2016年の熊本地震で被災した経験があるので、寝室はかなり気を付けて固定しています。ですが、キッチン周りはまだ十分とは言えないと思います。賃貸住宅なので壁に穴を開けるわけにもいかず、正直難しいところもあるのかなと感じています。

奥村:最近は、壁や天井に穴を開けずに固定できる器具もたくさんあるので、ホームセンターなどで探してみてください。

実は私自身、東日本大震災の時に、冷蔵庫の上に置いていたオーブンレンジが飛んできた経験があるんです。

mako:「落ちる」ではなく、「飛んでくる」なんですね……。

奥村:震度6〜7になると、大人でも立っていられないほど激しく揺れます。だからこそ家具や家電を固定して、家の中を安全な空間にしておくことが大切です。

mako:私は子どもに「地震が起ったら机の下に隠れる」と教えていましたが、それは正しいのでしょうか?

奥村:もちろん大切な行動ですが、その机のある場所が安全かどうかもポイントです。例えば、ダイニングテーブルのあるリビングが必ずしも安全とは限りません。テレビや照明、キッチン用品など、危険なものが集まっていることもありますよね。

大切なのは、「倒れてくるもの」「飛んでくるもの」「移動してくるもの」から離れることです。場合によっては、机まで移動するより、物が少ない廊下の方が安全な場合もあります。

mako:家の中の安全な場所を確認しておくことも防災の一つということですね。早速、家族で取り組んでみたいと思います。

被災時、特に注意したいのは「トイレ問題」と「熱中症対策」

mako:私が心配性なこともあり、家の備蓄は念入りにしていますが、実際にストックする量の目安や注意するべきポイントはありますか?

奥村:飲料水は1日3リットル×家族の人数×7日分が目安、余裕があれば2週間分備蓄しておきたいところです。食料も同様に1週間分を目安に備蓄しておきましょう。また、断水が長期化する恐れもありますので、給水袋もあると良いです。自治体の防災訓練に参加するともらえたりします。

それから、普段飲んでいるおくすりも2週間分はストックしておきたいですね。

奥村:注意点としては、夏場は熱中症対策ですね。停電しても暑さをしのげるよう、充電式扇風機やネックタオル、叩くと冷たくなる瞬間冷却パック、経口補水液などを備えておくと役立ちます。

mako:経口補水液は味が苦手なお子さんもいますが、最近はフルーツ味もあって、それなら飲めるというお子さんも多い印象です。普段から試しておくのが良さそうですね。

奥村:そうですね。それから、意外と見落とされがちなのがトイレです。

mako:確かに、トイレを我慢しなければならない状況だと、水分を摂るのを控えてしまう傾向があるので、熱中症などが心配ですよね。特に子どもは、大人以上に我慢が難しいですし。

奥村:災害用トイレは、1日のトイレの回数×家族の人数×7日分を目安に用意しておきたいですね。公園等に仮設トイレが設置されても、臭いや家との違いで使えないお子さんも少なくないんです。だからこそ、自宅で使える災害用トイレがあると良いです。赤ちゃんのオムツやペット用のトイレシートで代用することも可能です。

mako:乳幼児のいる家庭の備えという点ではどうでしょうか?

奥村:まず、オムツやおしりふきなど、普段使うものを2週間分。そして、母乳かミルクかによって備えも変わるのですが、⺟乳育児の場合は、被災時もできるだけ普段通り授乳を続けることが⼤切です。そこで初めてミルクを飲むとアレルギー反応が出てしまうことがありますし、普段飲ませている母乳を飲ませないことで、母乳の出に影響が出る恐れもあります。一方で、普段からミルクを飲ませている場合は、調乳のための備えとしてカセットコンロとガスボンベを用意し、使用量は家庭の状況に合わせて見積もっておくと安心です。
離乳食も同様です。普段から食べ慣れている常温保存可能なものを試しながら備えておくことが大切です。

自宅とその周辺の安全が確認できれば、在宅避難も選択肢に

mako:心構えとして、「大きな災害が起こったら、すぐに避難所へ避難!」と思っていて良いのでしょうか。

奥村:避難所は命を守るための大切な場所です。一方で、状況によっては生活環境に制約が生じることも。プライバシーの確保が難しかったり、感染症が広がったりすることもあります。子連れ避難だとさらに大変です。そのため、家屋の倒壊や火災、津波、浸水などの危険がなく、自宅とその周辺の安全が確認できれば、自宅で過ごす「在宅避難」も重要な選択肢の一つになります。実際、在宅避難を推奨している自治体もあります(※)。また日頃から避難所だけではなく、親戚や友人宅など、いざという時に身を寄せられる場所を考えておくことも大切です。

※例:東京都 在宅避難特設ページ
https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/taisaku/topics/1031089/index.html

mako:なるほど。教えていただいた家具・家電の固定や備蓄は、「自宅で安心して過ごすための準備」でもあるんですね。

奥村:はい。ただし、家の中が危険な状態だったり、家屋の倒壊や火災、津波の恐れがあったりする場合には、迷わず避難してください

mako:「家で過ごせるなら家、危険なら避難」という考え方ですね。

非常食よりも、「いつもの食べ物」が安心につながる

mako:栄養面という意味では、災害時でもしっかりとカロリーの摂れるものが必要です。子どものお気に入りのお菓子でもいいですし、少量でカロリーのとれる羊羹やそのまま食べられるパンなどもおすすめです。子どもは大人より筋肉量が少なく、糖質を多く貯めておけないので、低血糖になりやすいんですよね。その対策として、糖の吸収が早いラムネなどがあると良いと思います。また、プロテインバーやコーンフレーク、グラノーラなども、おやつのように食べられて栄養が摂れるので良いと思います。あと、妊婦さんは葉酸や鉄のサプリもあると安心ですね。

奥村:「いつもと違う」が苦⼿なお子さんは多く、普段⾷べていないものは、災害時でも⾷べられないということは少なくないんです。災害⽤の⻑期保存⾷は、⾷感や味わいなどが普段⾷べているものと少し違うことがありますし、不安な精神状態でさらに⾷欲が落ちるケースもあります。だからこそ、⼦どもが普段から⾷べ慣れているものを災害時でも食べられるように準備しておくことが、心の安定と体調管理という両面において大事だと思います。普段食べているものが、最高の非常食になるんですよね。

だから私は特別な⾮常⾷をたくさん買うのではなく、いつも買っているものを⼀つ多く買い、使ったら補充して、無理なくストックしておく「プラ1備蓄」を推奨しています。

mako:わが家でも長期保存できるパンやお菓子、ミートボールや缶詰などを少し多めに買って、普段使いしながら補充しています。こまめに使うから、賞味期限切れも防げるんですよね。

奥村:また、カセットコンロとボンベも是非備えてほしいアイテムです。温かい飲み物を飲むだけで気持ちが落ち着きますし、お湯が使える安心感は大きいです。

mako:カセットコンロも被災時に初めて使うのではなく、普段から使い慣れておきたいですね。あわせてボンベの使用期限も確認しておかないと!

栄養士の立場からすると、例えばカップ麺を水で作って食べてみたり、アルファ米を試してみたりと、親子で非常食を体験しておくことで、被災時の不安を少しでも減らせたらと思っています。

奥村:普段食べてないもの、使っていないものは災害時には役立たないというのが過去の災害の教訓です。防災を家族で身近なものにしていってほしいと思います。

mako:今回お話をうかがい、どこか特別なことのように感じていた「防災」が、普段の暮らしの延長線上にあるのだと再認識しました。お気に入りの食べ物を一つ多めに買ってみる。家具を固定してみる。家の安全な場所について話し合ってみる。そんな小さなことから、親子で始めていきたいと思います。

後編では、乳幼児や小学生の備えから、防災リュックの作り方、そして親子が離ればなれで被災した時の心構えについて伺います。

※この記事の内容にこだわらず、災害発生時は命を守ることを最優先に行動してください。

このたびの熊本地震、ならびに8月の千葉豪雨で被災された皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。被災地の一日も早い復旧・復興を願っております。

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