毛髪トラブルの原因は頭皮環境?トラブルの種類と頭皮ケアの基本

2025年09月01日
年齢を重ねるにつれ、白髪や抜け毛、パサつきなど、悩みが増えがちな毛髪。普段からケアしているつもりなのに、一向に改善されないという方は、毛髪ではなく”頭皮”に原因があるのかもしれません。
毛髪のトラブルと頭皮環境には、どのような関係があるのでしょうか?
今回は、毛髪や頭皮ケアの専門家であるDr. TOUHI CLINIC院長の勇亜衣子先生に、頭皮の状態をチェックする方法や、すこやかな毛髪を育てるために普段からできるケア方法を教えていただきます。
毛髪の悩みが出るのは30代からが多い?女性が抱える毛髪のトラブル
――まず、女性の毛髪に関する悩みには、どのようなものが多いのでしょうか? 年齢やライフステージごとで変化があれば、あわせて教えてください。
勇:白髪や薄毛をはじめ、抜け毛やくせ毛、髪のツヤ不足、細さなど、さまざまな悩みがあります。
30代、40代になると毛髪のトラブルが増える年齢層であるため、この世代からのご相談が特に多くなっています。一例ですが、20代の頃にパーマやカラーを繰り返したことで、30代に入ってから「髪が細くなってきた」「パサつきが気になる」といった方もいらっしゃいます。

勇:また、出産後にホルモンバランスが変化することで抜け毛が増えたり髪質が急激に変化したり、白髪が増えたりすることもありますね。50代以降は、更年期の影響で、白髪や薄毛だけでなく抜け毛の悩みも出てきます。
――そもそも、そういった毛髪の悩みが現れる原因は何なのでしょうか?
勇:ストレスや生活習慣の乱れ、ホルモンバランスの変化、紫外線、そして先ほど申し上げたように過度なカラーやパーマなどの美容処理の繰り返しや、ケア不足が主な原因にあげられます。これらが頭皮にダメージを与え、毛髪へのトラブルにつながるのです。
そもそも毛髪は頭皮から生えているので、髪のトラブルの原因として頭皮に気持ちを向けることも大事です。毛髪の悩みが出てきたら、頭皮の状態も気にしていただきたいですね。
頭皮も肌の延長。毛髪トラブルを招く頭皮の状態とは?
――どのような頭皮の状態が、毛髪の悩みを引き起こすのでしょうか?
勇:頭皮が下記のような状態である場合、毛根に悪影響を与えやすく、白髪の増加、髪の細さ、抜け毛、うねりの発生、髪のツヤ不足といったトラブルを引き起こします。
【毛髪トラブルにつながる頭皮の状態】
- 日焼けをして頭皮の色が黄色っぽい
- カサカサしている
- 痒みやフケがある
- 赤みがある
- 日焼け直後で炎症が起こっている
- オイリー肌で皮脂が詰まっている
- ニキビがある
- 頭皮をもんだときに硬くて動きが悪い など
特に頭皮の色が黄色っぽい、カサカサして乾燥している方は、頭皮のバリア機能も失われてしまうので頭皮の老化を促進し、白髪も増えやすくなるといわれています。また、皮脂が詰まったオイリーな頭皮は毛根に栄養が届きにくくなるため、髪が細くなったり抜け毛が増えたりする傾向があります。
――乾燥や皮脂が原因となると、顔やからだに起こる肌トラブルと似ていますね。
勇:そうですね。頭皮も肌の延長にあるものなので、顔などと同じようにケアしていただきたいところです。
ただ、頭皮は自分でトラブルを確認しづらいため、気づかないうちに乾燥したり、頭皮の老化を引き起こしたりしていることも少なくありません。知らないだけで、実は頭皮にシミやシワ、たるみができている場合も多いですね。
――反対に、 “すこやかな頭皮”とは、どのような状態なのでしょうか。
勇:透き通った青白い色をしていて、触るとやわらかく、柔軟に動く状態です。すこやかな頭皮というのは、水分と油分のバランスが良好で、炎症もないですし、シワやたるみも目立ちません。
たとえば植物は、土壌がふかふかに耕され、肥料がたっぷりある状態でないと健康に育ちません。毛髪もそれと同じで、頭皮がほぐれて栄養が行き届き、毛根の細胞が元気な状態でなければ健康に育たないのです。

頭皮トラブルを防ぐために重要なのは“保湿ケア”
――すこやかな頭皮環境に整えるには、普段どのような点に気をつけると良いのでしょうか?
勇:頭皮にはストレスやホルモンバランスの影響が現れやすいため、睡眠不足や偏った食生活をしている場合は早めに対処していただきたいですね。
食事に関しては、油っこいものを摂りすぎないことが大切です。タンパク質が豊富な豆類は毛髪を育てる助けになりますし、ミネラルを多く含む海藻類もおすすめです。
また、紫外線を浴びて日焼けをすると、頭皮が炎症や乾燥を引き起こしてしまいます。外出する際は帽子を被る、日傘をさすなどして、日焼け対策を心がけましょう。

――頭皮にダメージを与えそうなヘアカラーやブリーチも、控えたほうが良いのでしょうか?
勇:そうですね。ヘアカラー(カラートリートメント含む)や白髪染め、ブリーチ、パーマ、縮毛矯正などの美容処理を過度に繰り返すと、頭皮に強いダメージを与える場合もあります。
美容室の方と相談することをおすすめしますが、なるべく次の施術までに1か月以上あいだを置いたり、頭皮に直接薬剤をつけないようにしたりと、工夫をしてください。施術直前のタイミングで、頭皮に美容液を塗って保護しておくなどして、頭皮への乾燥ダメージを防ぐようにしましょう。美容液は、顔用のものでも構いません。
――毎日のヘアスタイリングで気をつけるポイントを教えてください。
勇:ヘアブラシを使って頭皮をかきながら強い力で髪を梳かすのは、摩擦が起こるため、頭皮や毛髪にとっては良くありません。
ヘアアイロンの使い方にも注意が必要です。高温の熱を当てると毛髪が乾燥し、その乾燥を補おうとして頭皮の水分が奪われるため、間接的に頭皮の状態も悪化してしまいます。アイロンを使う際は、高温にしすぎないこと(140度以下を推奨)や使用頻度を控えることを心がけましょう(※)。
※ご使用される機器の取り扱い上の注意なども必ずご確認ください。
また、ヘアワックスやオイル、ジェルなどのスタイリング剤を使うと、毛細管現象(髪を伝って液体が毛根付近にまで浸透する現象)によって頭皮まで成分が届きますので、寝る前には必ずシャンプーをして洗い流すのが良いでしょう。

――頭皮環境を良くしていくために、どのようなケアが効果的ですか?
勇:頭皮の保湿、適切なシャンプー選び、マッサージ、栄養バランスの整った食事、ストレス管理と、多角的なケアが効果的だと思います。
特に力を入れていただきたいのは、 “保湿ケア”です。乾燥肌はもちろん、オイリー肌も実は乾燥が原因となっている場合があります。オールインワンの保湿剤やとろみのある美容液などを使い、1日朝晩の2回、特にドライヤーをかけた後に頭皮に塗布すると良いでしょう。
シャンプーをするときに、ゴシゴシと洗うのは摩擦が起こるのでNG。シャンプー・コンディショナーは、刺激が強すぎない、自分の肌に合うものを選びましょう。特に頭皮のうるおいを守りながら汚れを落とせるものがおすすめです。また、洗いすぎも乾燥を引き起こしますから、使用される製品の使用上の注意をご確認のうえ、高頻度でのシャンプーは控えていただきたいです。
また、シャワー後には指の腹を使って頭皮をやさしくマッサージすると、頭皮のコリもほぐすことができます。頭皮と肌の皮膚は繋がっているため、顔まわりがすっきりとしたシルエットになることを実感できるはずです。
頭皮は地道なケアが重要。ときには専門医のアドバイスも聞いてみて
――頭皮ケアを行うことで、どのくらいの期間で毛髪に効果が現れるものなのでしょうか?
勇:毛髪の悩みによって、現れる効果のスピードは変わります。個人差もありますから一概には言えませんが、専門的な治療を医療機関等で実施した場合、薄毛の場合は比較的早く改善が見られ、約3か月で変化が出てきます。

勇:一方、白髪やくせ毛の場合は最低1年の継続的なケアが必要です。短絡的なケアを避けて、焦らず気長に頭皮ケアを続けることが大切です。
頭皮は“第二の肌”と捉え、顔のスキンケアと同様に毎日の丁寧なケアを心がけてください。
――自分の頭皮の状態や対処法が判断できない場合、どうすれば良いでしょうか?
勇:頭皮環境の良し悪しは自己判断が難しいので、少しでも「普段と毛髪や頭皮の状態が違うな」と感じたら皮膚科などの医療機関を受診することをおすすめします。

勇:なかには頭皮を専門としている医師もいるので、調べてみるのも良いでしょう。適切な対処法を教えてくれるはずです。毛髪や頭皮の状態を改善したい方は、ぜひ気軽に相談してみてくださいね。
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