健康美塾® by 第一三共ヘルスケア

Mail Magazine

からだのこと、健康のことをともに考えるための情報をお届け。

※ドメイン指定受信を設定している場合、
「@daiichisankyo.com」の受信を許可してください。

Instagram

セルフケアにまつわる、さまざまな情報を投稿しています。

室内でも熱中症になる?屋外との違いや対策、対処法を専門家が解説

2026年07月01日

からだと心

NaN

熱中症というと、「炎天下の屋外で起こるもの」というイメージを持つ方が多いかもしれません。しかし、家の中でじっと過ごしているときにも、熱中症は起こります。危険を実感しにくい室内こそ、気づかないうちに症状が進んでしまう場合があるのです。

今回は、運動生理学を専門とし、熱中症予防や暑さ対策の研究に長く携わってきた広島大学大学院人間社会科学研究科 教授・長谷川博先生に、室内で熱中症が起こる仕組みや今日からできる予防策、身近な人と行いたい声がけ方法についてうかがいました。

約4割が室内で発症。部屋の中でも熱中症が起こる原因と仕組み

―近年は暑さが厳しいですが、室内でも熱中症にかかることがあると聞きます。なぜ室内でも起こるのでしょうか?

長谷川:熱中症とは、暑い環境に長くいたり、たくさん汗をかいたりすることで「体温の上昇」と「脱水」が引き起こされ、さまざまな不調が起こる疾患のことを指します。そのため、室内であっても温度と湿度が高ければ熱中症は起こるんです。

とくに見落とされがちなのが「湿度」です。湿度が高いと汗をかいても蒸発しにくくなり、熱を逃がすことができません。いわば、サウナのなかに長くいるような状態ですね。

屋外であれば、直射日光や照り返しで危険を実感できますが、室内では気づきにくい傾向があります。そのため、「なんとなくだるい」「少し食欲がない」といった軽い不調が、熱中症と結びつかないまま見過ごされてしまうことがあります。屋外の熱中症が急激に悪化しやすいのに対して、室内での熱中症は「知らないうちに進んでしまう」のが特徴です。

―実際、室内で熱中症にかかる事例は増えているのでしょうか?

長谷川:地球温暖化に伴い、熱中症自体が起こりやすくなっているため、室内で熱中症にかかるケースも増えています。発生場所別に見ると、熱中症の発症件数は住居が最も多く、全体の約4割を占めており、道路や屋外の公共空間を上回っているんです(※)。

※総務省消防庁「令和7年(5月~9月)の熱中症による救急搬送状況」より。

とくに高齢者は室内でも注意!適切なエアコンの活用を

―どんな人が室内で熱中症にかかりやすいのでしょうか?

長谷川:とくに注意したいのは高齢者です。

2025年夏に熱中症で緊急搬送された人のうち、6割近くが満65歳以上の高齢者でした(※)。高齢になると、加齢により体温調節の働きがある汗をかく力が衰えるため、体内の熱を外へ逃がしにくくなります。また、体内の水分を保つための筋肉量が減ってしまうため脱水状態にもなりやすいです。さらに、暑さや寒さへの温度感覚も鈍くなり、室内がかなり暑くなっていても「そこまで暑くない」と感じて、エアコンをつけないまま過ごしてしまうため熱中症が重症化してしまうことがあるんです。

※総務省消防庁「令和7年(5月~9月)の熱中症による救急搬送状況」より。2025年5月から9月までの全国における熱中症による救急搬送人員100,510人のうち、57,433人(57.1%)が高齢者であった。

長谷川:また、子どもも体温調節機能がまだ十分に発達していないため、注意が必要です。

加えて、体力が落ちている人や、運動習慣がなく汗をかく機会が少ない人、1年中エアコンの効いた室内で過ごしている人も、暑さにうまく順応しにくい傾向があります。本来、人間のからだは春から夏にかけて汗をかけるようになり、秋から冬にかけてはからだの熱を逃がさないようにできています。そのため、汗をかかない環境やかく習慣がないとからだの体温調節機能が働きにくくなるんです。

―熱中症といえば、真夏の昼間にかかるイメージがありますが、時期や時間帯で気をつけるべきタイミングはありますか?

長谷川:実は、真夏の盛りよりも、梅雨明け直後のほうが要注意なんです。というのも、その時期はまだ暑さにからだが慣れていないからです。急に気温が上がると、汗をかいて体温を下げる働きがうまく追いつかず、熱中症が起こりやすくなります。
また、最近は暑い時期が長くなっているので、5月ごろから9月ごろまで気をつけたい状況です。

時間帯でいうと、とくにエアコンを使っていない室内では、日中に温度が上がりやすく危険性が高まります。夜間も室内に熱がこもったままだと、就寝中に熱中症になることもあるため注意が必要です。

水分補給など、室内での熱中症を防ぐためにできることは?

―室内での熱中症を予防するには、どんなことを意識すれば良いでしょうか?

長谷川:まず大切なのは、からだの機能がきちんと働く状態を保つことです。しっかり睡眠をとる、食事を摂る、水分を補う、適度な運動をする。そういった基本の生活習慣を整えることが予防の土台になります。

とくに、水分補給は重要です。体重の約2%の水分が失われると、熱中症を発症するといわれており、「喉が乾いてから水分を摂る」では手遅れです。そのため、汗を多くかきそうな日は、いつもより多めに水分を摂るようにしましょう。

また、水分は飲み物だけでなく、食事からも補うことができます。食欲が落ちると、水分も栄養も不足しやすくなるので、夏こそ食事を抜かずにしっかり摂ることが大切です。

―水分を摂るとしたら、どんな飲み物がおすすめですか?

長谷川:大量に汗をかく場面では、水だけでなく塩分などのミネラル分(電解質)も失われるので、スポーツドリンクのように塩分や糖分を含む飲み物が役立つでしょう。

さらに脱水が強いときには、経口補水液も有効です。一般的なスポーツドリンクよりも塩分濃度が高く「飲む点滴」とも呼ばれているので、熱中症の危険性が高いときにはおすすめです。

―熱中症対策としておすすめの食べ物はありますか?

長谷川:残念ながら「これを食べれば熱中症にならない」という特別な食べ物はありません。ただ、旬の食材を活用するのは効果的です。たとえば夏野菜には水分が多く含まれていたり、栄養価が高かったりするので、食事に取り入れるのは理にかなっています。

また、暑さで食欲が落ちてしまうときは、まず少しからだを冷やして落ち着かせてから食べるなど、食事を摂りやすくなる工夫を試してみてくださいね。

―水分補給や食事のほかにも、室内熱中症予防のために気をつけるべき点はありますか?

長谷川:まずは衣服の素材を見直す、扇風機を使う、エアコンの設定を調整するといった行動で、生活環境を調節することを優先しましょう。

また、先ほど紹介したように、普段から暑さに少しずつ慣れておくことも重要です。運動や入浴などで汗をかく習慣があると、体温が上がったときにもうまく汗を出して熱を逃がせるようになるからです。

―エアコンの使い方にもポイントがあれば教えてください。

長谷川:よく「エアコンは28℃設定が良い」といわれますが、その数字だけが絶対的な正解というわけではありません。服装や活動量、部屋の湿度、風通しによって快適な条件は変わります。室内では「汗がだらだら出ない温度」を一つの目安にするのがおすすめです。

加えて、湿度が高くなりすぎないよう、冷房だけでなく除湿も活用したり、扇風機を併用したりして空気を循環させることも重要です。温度と湿度の両方を整えることがポイントになります。

周りの人と一緒に環境を整えることが大事

―もし室内で熱中症の症状が出てきた場合、最初にどう対処すれば良いでしょうか?

長谷川:意識がはっきりしていて自分で動ける状態なら、まずは涼しい場所に移動しましょう。そこで冷たい飲み物や食べ物を摂るほか、冷えたタオルなどで、首や太ももなど、からだの中でも太い血管が通っている場所を冷やすのが、全身の温度をすばやく下げるうえで効果的です。それでも症状が治まらない場合は、水を浴びたり水風呂に浸かったりして、からだ全体を冷却してみてください。

一方で、重症化が疑われるような意識がもうろうとする場合は、すぐに救急車を呼びましょう。救急車を待っている間も、からだの冷却は続けてください。熱によるダメージは時間との勝負なので、搬送までの間もできる範囲で体温を下げることが大切です。

また、意識はあっても自分で水分が摂れない、吐いてしまう、冷やしても改善しない、といった場合も早めに医療機関を受診するようにしてください。

―室内での熱中症を防ぐために、家族や周りの人ができる声がけや対策はありますか?

長谷川:本人の感覚に任せきりにせず、家族や周囲が一緒に環境を整えることが、室内熱中症の予防につながります。とくにご高齢のご家族が離れて暮らしている場合は、温度計や湿度計を置いて室内環境を見える化したり、熱中症警戒アラートなどの情報をチェックして電話やメッセージでこまめに様子を確認したりするなど、周囲の働きかけをすることが大切です。

長谷川:また、ご高齢の方の中には、トイレが近くなることを気にして水分を控えてしまう人もいます。持病や服薬の影響も含めて、普段の生活を把握しながら見守ることが重要です。

まずは、温度と湿度を整え、水分と食事を無理なく摂り、少しの不調も見逃さないようにしましょう。そうした日々の小さな工夫が、自分自身だけでなく、身近な人を守ることにもつながるはずです。一人では室内熱中症のリスクに気づけないこともあるので、「家族や身近な人と一緒に防いでいく」という意識で対策してみてください。

  1. 1
Share
  • Twitterでシェア
  • Facebookでシェア
  • noteでシェア
  • LINEでシェア

関連キーワード

「からだと心」の他の記事を見る

ブランドから記事を探す

Mail Magazine

Mail Magazine

編集部によるメールマガジン。プレゼントの情報や、毎月更新されるコンテンツなどをお届けしています。

※ドメイン指定受信を設定している場合、「@daiichisankyo.com」の受信を許可してください。

Instagram

Instagram

SNSでは、健康美塾で発信したセルフケアにまつわるさまざまな記事の情報を、定期的に投稿しています。SNS限定キャンペーンも実施していますので、お見逃しなく。