日本で3人に1人が悩むといわれている「花粉症」。飛散しやすいシーズンや基本の対策を気象予報士に聞く
2024年02月01日
日本では3人に1人が悩まされているという花粉症は、その患者数の多さから「国民病」ともいわれています。くしゃみや鼻水、目のかゆみといったアレルギー症状により、日常生活が困難になることもある花粉症。一方的に悩まされるより、どんな日に飛びやすいのか、季節との関係性などをきちんと理解すれば、より良い対策ができるはずです。今回は日本気象協会に所属する気象予報士・小田美穂さんに、花粉が飛散される気象条件や対策法などをうかがうとともに、第一三共ヘルスケアのアレルギー対策薬ブランド「エージーアレルカット」ブランドマネジャー川北大悟にもあわせてインタビューを実施。天気とお薬、2つの側面から、すこやかに春を過ごすための情報をお届けします。
花粉が飛び始める時期と、ピークはいつ?
―そもそも、花粉はどのようにして飛散されるのですか?
花粉とは、花のおしべにある袋のなかでつくられる小さな粒のこと。花粉症を代表するスギ花粉の場合は、夏にスギの木が花をつけ、秋には花のなかに花粉がつくられていきます。冬には休眠期間に入り、また気温が暖かくなった頃に花が開きます。それと同時に、花粉も飛散するのです。
―植物の繁栄サイクルが花粉シーズンを生み出すんですね。具体的には何月頃から飛び始めるのでしょうか?
関東のスギ花粉ですと、早ければ1月末、遅くとも2月中旬には飛び始め、冬が終わる3月頃にピークを迎えます。ヒノキの花粉はもう少し時期が遅く、3月後半から4月が最盛期です。人によってどの植物の花粉に反応するかは異なりますが、スギとヒノキ両方にアレルギー反応が出てしまう人にとっては、3、4か月ものあいだ、花粉症に苦しむことになってしまうんです。
―花粉の量も、飛び始めとピークとでは変わってくるのでしょうか?
そうですね。私たちのような気象会社や医療機関などでは「ダーラム法」を用いて花粉の量を計測しています。屋外にスライドガラスを放置し、その表面に花粉の粒がいくつあるかを数えるという地道な測定法なのですが、これによってどの時期に、どれくらいの花粉が飛ぶのかを把握することが可能です。
こうした調査の結果、花粉が飛び始める1月とピークを迎える3月では、花粉の量がまったく違うということがわかっています。ピーク時にはぐんと量が増えるので、日を重ねるごとに症状が重くなっていく方も多くいらっしゃるかと思います。
「暖かい日は花粉が多く、雨の日は飛ばない」はホント?
―花粉といえば「暖かい日はたくさん飛んで、雨の日はあまり飛ばない」というイメージがあります。実際のところ、どのようなお天気だと花粉は飛びやすいのかを教えてください。
花粉が飛びやすいといわれているのは、晴れて空気が乾燥している日、風が強い日、そして暖かい日です。逆に雨の日や雪の日には飛びにくいといわれているので、そのイメージは正しいと思います。
気温が上がり暖かくなると、木についた花が開いて、花粉が空気中に散布されていきます。さらに風が強い日には、風に乗って遠くまで飛ばされていく。風の強さによっては数十から数百キロメートル先まで花粉が飛散されるので、スギ林の近くではない、緑の少ない都会で生活していてもアレルギー症状が出てしまうんです。
―空気の乾燥は、どのように関係するのでしょう?
花粉の飛びやすさに関わってきます。湿度が高いと花粉が空気中の水分を吸収するので、風が吹いても飛びにくくなるんです。逆に、空気が乾燥していると花粉もカラカラに乾いて、風に乗って運ばれやすくなります。2月、3月になり「春一番」と呼ばれる強風が吹くと、花粉が飛びやすい3つの条件が揃うので特に注意が必要です。
雨の日に花粉が飛びにくいといわれているのは、湿度に加えて雨粒が障害になることで、花粉が地面に落ちたり、スギの近くだけにとどまったりするため。さらに、雪の日は湿度だけではなく気温も低くなり、花自体が閉じてしまうので、花粉が飛ぶことはほとんどないとされています。
―雨上がりに地面が乾燥することで、一度地面に落ちた花粉が再び舞い上がるといったことはありますか?
都会のコンクリートに囲まれた環境ではありえます。ただ、スギが大量に生えている場所には基本的に土があり、雨が上がっても地面が乾燥するまで時間がかかるため、花粉が再度浮遊することは少ないですね。また、雨の日でも気温が高い場合は、止んだときに花粉が飛ぶことがあります。特にピークの3月頃は、雨でも晴れでも症状の度合いが変わらないように思えるかもしれません。
―そうすると、北海道や日本海側のような豪雪地帯ならば花粉を避けられるのでしょうか。
じつは雪の多い日本海側でも、雪解けして暖かくなる3月くらいから花粉が飛んでいるんですよ。北海道は、スギ自体は少ないのですが、代わりに白樺の木が多く生えているので、4、5月頃から白樺の花粉に悩む方が増えると聞きます。もし本当に花粉を避けて過ごしたいのであれば沖縄がおすすめです。スギは九州から北海道の一部にかけて広く植林されていますが沖縄にはほとんどないので、花粉症シーズンは毎年沖縄で過ごす……という方もいるようです。
―天候のほかにも、時間帯で花粉の量に変化は生まれますか。
場所や気象条件によってかなり左右されるので、一概には言いにくいですが、環境省のウェブサイトでは、1日のうちお昼と夕方頃が花粉飛散のピークだと発表されています。これは、お昼は気温が高くなるため花粉が飛びやすく、逆に夕方は気温が下がることで、空に舞い上がっていた花粉が降りてくると考えられているからです。
花粉症を軽減する基本的な対策とは
―花粉のアレルギー症状を減らすためには、花粉を体内に取り込まないことが重要です。そのためにはどのような対策をすればよいのでしょうか。
まず挙げられるのは身につけるものでの対策です。
●マスクをして花粉を吸い込まないようにする
●ゴーグル型の眼鏡などで目に入るのを防ぐ
●帽子をかぶる
●ウールのような花粉がつきやすい素材のものは避けて、綿やナイロン、ポリエステルを使用した服を着用する
あとは、家のなかに花粉を持ち込まないようにすることも大切です。玄関を開ける前に服をはらう、家に入ったらすぐ手洗いうがいをするようにしましょう。
そして洗濯物も要注意です。天気がいいと外干ししたくなりますが、取り込む前に洗濯物をよくはらうようにしてください。万が一、花粉が家のなかに入ってしまったと感じたら雑巾がけするなどして綺麗にするといいですよ。最近では「花粉モード」のある空気清浄機もたくさんあるので、家電を活用するのも良いと思います。
―小田さんご自身も花粉症とのことですが、何か対策はしていますか?
私はまだ症状が軽いほうではありますが、花粉シーズンが本格的に始まる前に耳鼻科を受診し、抗アレルギー薬をもらうようにしています。やっぱり、症状が出る前にお薬を飲むのは対策の一つとして良いですね。
―事前の対策も大事ですよね。そもそも、スギが花粉を飛ばさなければ良いのにと思ってしまいます……。
日本では、これまでたくさんのスギが植林されてきました。スギは加工しやすい樹木であるほか、二酸化炭素を多く吸収するので地球温暖化を防ぐためにも有用ですが、時が経つにつれて花粉という弊害ももたらしました。今後は花粉を飛ばさない「無花粉スギ」に植え替えられる計画もあるようですが、時間がかかりますし、そもそもすべてのスギを植え替えることは難しいでしょう。私たちは、これからも花粉とともに春を迎えなくてはならないんですよね。
花粉症はつらいですが、少しでも健やかに花粉の時期を乗り切っていただくために、天気予報や花粉情報を見て花粉の量を予測しながら、いま自分にできる対策を試してもらえたらうれしいです。
花粉症状に悩める人の味方「エージーアレルカットシリーズ」担当者が教える、花粉症状対策
第一三共ヘルスケアより発売されている、アレルギー対策薬ブランド「エージーアレルカットシリーズ」が9年ぶりにリニューアル。1997年の発売以来ラインアップを拡充しながら、つらいアレルギー症状に悩む人に寄り添ってきた本製品の担当者が教える花粉症状対策とは?
我慢せずに対処する、が一番大事
花粉症状対策で最も大事なことは、「我慢せず自分に合った対処をすること」です。ですから、まずは予防から始めましょう。気象予報士の小田さんにお話しいただいた対策に加え、洋服に静電気防止スプレーや静電気を軽減する効果がある柔軟剤を使用するなどして、花粉が付着しにくい環境をつくることが大切です。
それでも症状が出てしまったら早めの対処を。時間がないときや急を要する場合は薬局やドラッグストアで買える医薬品を上手く活用することも対処法の一つです。ただし、用法用量を守っても、症状が重い場合や改善しない場合は、我慢せず医療機関に相談することをおすすめします。
新しくなった、エージーアレルカットシリーズ
エージーアレルカットシリーズは、現在、アレルギー専用点鼻薬・点眼薬、洗眼薬からなる8品目を取り揃えています。今回のリニューアルでは主力である点鼻薬「エージーアレルカットS / C / M」の処方を強化し、エージーアレルカットの点鼻薬シリーズ史上最多となる5つの有効成分を配合。加えて点鼻薬シリーズ全品の容器ノズルの形状を、より噴霧しやすい形へと改良しました。また、シリーズすべてのパッケージデザイン・名称を変更し、これまで以上にシリーズとしての統一感を醸成しています。点眼薬は清涼感のレベルを1~4段階でパッケージに表示し、選びやすくしました。
エージーアレルカットC
エージーアレルカットEXc<季節性アレルギー専用>
これらはいずれも、鼻炎内服薬を服用していても使用できる製品です。鼻や眼の抑えたい症状に合わせてお使いください。自分に合った対処で、つらい花粉の季節を乗り越えましょう。
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