二日酔いにはラムネが効くって本当?正しい対処法や仕組みを医師が解説

2026年04月01日
歓送迎会や季節ごとの行事などがあると、お酒を飲む機会が増えます。ついつい飲み過ぎて、翌日の二日酔いに後悔することもあるのではないでしょうか。
そんな二日酔いによる体調不良を自覚したとき、どんな対策をするといいのでしょうか?また、「ラムネが効く」「サウナで汗をかけばお酒が抜ける」など、都市伝説的な話は本当に効果があるのでしょうか?
その答えを知るため、今回お話をうかがったのは、肝臓専門医でご自身もお酒好きを公言する浅部伸一先生。科学的根拠に基づいた二日酔いの仕組みや二日酔い後の回復を助ける対処法、さらにはお酒と上手に付き合うための考え方を教えていただきます。
なぜお酒をたくさん飲むと「二日酔い」になるの?
―そもそも二日酔いとはどういった仕組みで起こるのでしょうか?
浅部:実は、二日酔いの仕組みについて医学的にはっきりとした定義はされておらず、曖昧な部分があるのが現状です。ただ、二日酔いは大きく分けて2つの状態に分類できるといわれています。
- お酒を飲んだ翌日も、アルコールが体内に残り、分解・代謝が追いついていない状態
- お酒をたくさん飲んだことによって水分が不足し、脱水状態になっている。
浅部:実際のところ、二日酔いはこれらのどちらか一方だけで起こるというより、2つの状態が同時に起こっていることが多いと考えられています。
まず必要なのは水分補給。二日酔いの対処法
―二日酔いでつらいときの対処法として、まずは何から始めるべきでしょうか?
浅部:まずは水や経口補水液で、水分補給をしてください。先ほど紹介したように、お酒を飲んだ次の日は脱水状態になっていることがとても多いので、無理は禁物ですが、500mlぐらいは頑張って飲んでいただくのが良いでしょう。

―水分補給をしたあとにできる、二日酔いの対処法を教えてください。
浅部:ここからは対処法を、二日酔いの症状別に紹介しますね。
頭痛がするとき→解熱鎮痛薬を飲む・カフェインを摂る
浅部:頭痛がある場合は、まず市販の解熱鎮痛薬に頼ると良いでしょう。
アルコールが体内に残っている場合、アルコールの代謝過程でできる成分であるアセトアルデヒドの血管を広げる作用によって頭痛が起こっている可能性があります。その場合は、血管を収縮させる作用があるカフェインが含まれる飲み物(コーヒーやお茶など)を飲むと、症状が軽くなるかもしれません。ただ、カフェインには利尿作用があるため、脱水を悪化させないように必ず一緒に水分補給をしてくださいね。
胃がムカムカするとき→胃酸を抑える市販薬を飲む
浅部:お酒を飲みすぎると、アルコールの刺激によって軽い胃炎のような症状が出て、ムカムカとした気持ち悪さや胃の痛みを感じることがあります。とくに朝は胃が空っぽになっているため、胃酸が出やすく胃炎になりやすい状態です。
そういう場合は、胃酸の分泌を抑える市販薬を服用してください。
何をしても体調が悪いとき→無理に動かず、まずは安静に
浅部:二日酔いでいろいろな症状が出ているときに、魔法のように二日酔いを治す方法はありません。
そのため、風邪をひいたときと同じように、まずは休むことが大切です。水分と栄養をしっかりと摂り、症状がおさまるまで無理に動かずに安静に過ごしましょう。
ラムネが二日酔いに効くって本当?医学的根拠は?
―よく「ラムネが二日酔いに良い」と聞きます。これには医学的な根拠があるのでしょうか?
浅部:個人差はありますが、ラムネが二日酔いに効くという根拠はあります。ポイントになるのは、ラムネの主成分である「ブドウ糖」です。
ブドウ糖は私たちのからだや脳にとって重要なエネルギー源です。しかし、寝ているあいだは食事ができないため、からだの外からブドウ糖を取り入れることができません。その代わりに肝臓が糖を血液中に放出し、血糖値を維持するという重要な働きをしています。
ところが、お酒をたくさん飲んだ日は、肝臓がアルコールの分解・代謝を優先するため、糖を血液中に放出する働きが低下し、血糖値が下がりやすくなります。
こうした状態が体調不良の原因になっている場合、ブドウ糖を摂取するとすばやく血糖値が上がるので、二日酔いの症状に改善が見られる場合があります。こういった理由で、ブドウ糖が主成分のラムネは手軽に食べられるので、二日酔いに良いといわれているのでしょう。

―ブドウ糖以外の糖分を摂っても、二日酔いに効果はありますか?
浅部:そうですね。ブドウ糖は糖分のなかでも「単糖類」なので一番吸収効率が良く、10分程度ですばやく血糖値を上げられます。
ただ、決してブドウ糖にこだわる必要はありません。少し時間はかかりますが、ジュースやスポーツドリンク、果物などで糖を摂っていただいても30分程度で血糖値が上がります。
―ブドウ糖以外に、どのような栄養素を補うと良いのでしょうか?
浅部:ビタミンB群と、アミノ酸類はアルコールの代謝を助ける働きがあるため、摂ったほうが良いといわれています。
とくにお酒をたくさん飲むと、アルコールの代謝にビタミンB群が消費され不足しがちになるといわれています。もちろん、二日酔いの回復のために摂るのも良いですが、できれば飲んでいる最中に補えるのがおすすめです。
──二日酔いのときには、どのような食べ物・飲み物がおすすめですか?
浅部:シジミの味噌汁は、アミノ酸が豊富で消化にも良いのでおすすめです。また、二日酔いの最中は、「食事をとるのもつらい」という方も多いかと思います。そうした場合は無理をせず、ビタミンが摂取できるサプリメントなどに頼るのも一つの方法です。
二日酔いにまつわる都市伝説Q&A
ラムネ以外にも、巷で広がっている「二日酔いを解消するための対処法」には、都市伝説的なものが多いもの。実際のところ、それらは本当に効果があるのでしょうか?ここからは、浅部先生にQ&A形式で、いくつかの定説のウソ・ホントに答えていただきます。
Q. 飲む前にウコンを摂取すると二日酔いにならない。これってホント?
A. ウソ
ウコンについては、アルコールの分解・代謝を促すという医学的根拠は、現時点では確認されていません。ただウコンに含まれる「クルクミン」という成分には抗炎症作用があり、胃のムカつきや頭痛、だるさといったからだの炎症反応を和らげる働きがあるとされています。
そのため、飲む前に摂取して二日酔いを防ぐというよりは、飲んだ後や二日酔いで起こる不調を和らげる目的で飲む方が、より理にかなっているといえるかもしれないですね。
Q. 運動やサウナで汗をかくとお酒が抜ける。これってホント?
A. ウソ
お酒を飲んだ後に大量の汗をかくと、脱水状態になってしまうため、非常に危険です。
強い脱水によって血液が濃くなると、血栓ができやすくなります。最悪の場合、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす可能性もあるんです。実際、飲酒後の脱水をきっかけに、翌朝に急変するケースも報告されています。とくに中高年の人や肥満傾向のある人、動脈硬化などの基礎疾患がある人は、危ないので絶対にやめましょう。
また「汗をかく」という観点でいうと、飲酒後の入浴やランニングも避けてください。二日酔い時は安静に過ごすが大事です。
Q. 迎え酒をすれば二日酔いがおさまる。これってホント?
A. (ある意味)ホントだけど、回復には逆効果
アルコールには麻酔作用があるため、迎え酒をすると二日酔いの苦痛がやわらぎ、「楽になった」と感じることがあります。そういう意味では、迎え酒で二日酔いがおさまるという説は、間違いとはいえません。
しかし、これはあくまで一時的な感覚です。迎え酒をすると、アルコールの分解・代謝のため、さらに長時間肝臓が働かされることになり、からだには大きな負担がかかります。その結果、二日酔いの回復がさらに遅れてしまうのです。
そのため、朝起きて二日酔いの症状があっても迎え酒はせずに肝臓をしっかりと休めて、回復のサポートをしましょう。

二日酔いは許容量オーバーのサイン。お酒と上手につき合うためのアドバイス
―今回は自宅でできる二日酔いの対処法をご紹介していただきましたが、病院へ行ったほうがいいケースはありますか?
浅部:何を飲んでも吐いてしまうなど、水分が摂れないほどひどい状態は注意が必要です。脱水状態が続くと、重症化を招く恐れがありますので、医療機関を受診することをおすすめします。
―お酒との上手なつき合い方について、アドバイスをいただけますか。
浅部:私もお酒が好きですが、やはり一番に心がけているのは「飲みすぎないこと」です。
お酒を飲んで少し酔った状態になると、脳に軽い麻酔がかかったような状態になるので、緊張がほぐれて会話が弾みますよね。そこに、お酒を飲む楽しさの大部分があるのだと思います。そう考えると、お酒の楽しさというのは、実は飲み始めた早い段階(個人差はあるものの、目安としてビールジョッキ2杯ほど)で達成しているといえるんです。
その状態にアルコールをどんどん加えても、楽しさが上乗せになるわけではありません。これに気づけば、「実はお酒をたくさん飲まなくても、十分に楽しめているんだ」という気持ちになるのではないでしょうか。
最近はアルコールのリスクについての啓発も進み、厚生労働省から「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」が出されています。私の場合、日本酒が好きなので、原則「1日1合」と量を決めて、その1合を自由なペースで飲むようにしています。そういった心がけだけでも、翌朝の調子がだいぶよくなりますよ。
―最後に、二日酔いに悩まされやすい読者の方へ、メッセージをお願いします。
浅部:二日酔いは、自分にとってのお酒の適量を越えていたことがわかるサインです。二日酔いになったあとの対策はいろいろありますが、対策には限界があり、あとは自分の肝臓の力で回復してくるのを待つことしかできません。
それならば、なるべく二日酔いにはならないように、飲み方を工夫するほうが良いでしょう。お酒の影響は、年齢やその日の体調によっても変わるものです。その時々で自分のからだと向き合いながら、二日酔いにならないような飲み方を実践することで、より長くお酒を楽しんでいけるはずです。
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