花粉の時期のおすすめメイクは?医師とヘアメイクアーティストに聞く

2025年02月04日
やわらかな陽射しに春の訪れが待ち遠しくなる今日この頃。一方で、「今年もこの時期が来たか……」と、飛び散る花粉に戦々恐々としている方も少なくないでしょう。花粉症の症状が出てしまうとメイクをしてもすぐに崩れるなど、困った事態に陥りがちです。花粉の時期はどのようなメイクがいいのでしょうか?
今回は眼科専門医の秋山友紀子先生に花粉の時期の目元に関するお話を伺いながら、この時期おすすめのメイクをヘアメイクアーティストの高松由佳さんがレクチャー。あわせてケア方法も紹介します。ぜひ実践してみましょう!
花粉の時期に起こりうる目元のリスクは?
――日本では3人に1人がスギ花粉症だといわれ、その規模は年々増加しています。花粉のシーズンといえば春をイメージしますが、大体いつ頃から症状を訴える患者さんが多いのでしょうか?
秋山:例年、本格的なスギ花粉のシーズンに入る2月上旬から症状を訴える方が増え、5月のゴールデンウィーク頃まで続きます。ただ、気候変動の影響からか2023年は11月頃に一部の地域でスギ花粉が飛んでいたというデータが出ていました。そんな状況もあり、慢性的に症状を訴える方が増えているように感じます。

――花粉症の症状が強い人はメイクを控えた方がいいとは思いますが、仕事上メイクが必須の方も多いと思います。この時期に起こりうる、目元のリスクを教えてください。
秋山:まず、メイクの有無に関わらず目をこすることで起こるリスクがあります。特に、目の周辺はからだのなかで一番皮膚が薄く、デリケートな部分。そこが摩擦によってダメージを受けると、かぶれや腫れ、小ジワの原因にもなります。また、こすることでまつ毛の切れ、抜け毛を誘発したり、目の角膜や粘膜が傷ついたりします。その状態の目に花粉が侵入すると、結膜炎につながってしまう場合もあるんです。
さらにアイメイクをしている場合は、こすることでメイクが崩れて油分が目に入り、まぶたの際にあるマイボーム腺(油分を分泌し、涙の蒸発を防ぐ器官)が塞がれてしまいます。すると保湿効果が失われ、ドライアイになることも。また、塞がった部分に細菌が繁殖することで、ものもらいができやすくもなります。
――目をこすることでさまざまなリスクが起こりうるんですね。つけまつ毛やまつ毛エクステ、まつ毛パーマを花粉の時期する場合、注意すべきことはありますか。
秋山:つけまつ毛の場合、使用する方との相性次第ではグルーによってアレルギーが悪化する場合があります。まつ毛エクステは、花粉症の時期だけアレルギーを起こしてしまう方もいるため、アイリストさんと相談し、低刺激の素材やグルーを選ぶといいでしょう。また、帰宅後は花粉をすぐに落としたいところですが、エクステをしたあとしばらくは濡らさない方がいい場合もあるため、施術後の対応はきちんと確認してください。
またまつ毛パーマについては、かゆみによって目をこすることでパーマの癖が乱れる場合もあり、注意が必要です。
――高松さんは、花粉症のモデルさんなどにメイクをすることもあると思います。その際に気をつけていることや、事前にモデルさんにお願いしていることはありますか?
高松:普段は素顔で現場に来てもらい、そこからメイクをスタートさせるのですが、花粉の時期は肌に直接花粉がついて荒れてしまう場合があるので、モデルさんにも「肌をガードするものを塗ってきていいですよ」と言うようにしています。現場へ到着したら肌を整えて、メイクを始めています。

花粉の時期に実践したい、目にやさしい華やかメイク術
ここからは、肌や目にやさしいメイク方法を高松さんに教えてもらいます。あわせて、メイクの際に注意すべきポイントも秋山先生にお聞きしました。
花粉がつかないよう、ベースメイクはサラッとしたものを
高松:まず、メイクをする前に必ず手を洗いましょう。今回は敏感肌対応のアイテムで肌を保湿してから、メイクをしていきます。下地で肌を補正したあとにファンデーションを塗り、パウダーでふんわりとした肌に仕上げますね。
下地やファンデーションの厚塗りはメイク崩れの原因になり、肌に負担もかかりやすくなるため、薄く塗っていきます。使い捨てのスポンジなど清潔な道具を使い、薬指で肌をタッピングするくらいの力加減で、こすらずていねいに肌へ定着させます。

秋山:花粉を防ぎたいときは、外的刺激から肌を守る下地を使うのもおすすめです。仕上げのパウダーはサラッとした質感のものがおすすめ。花粉が付着しづらくなります。
アイシャドウは小粒のラメで華やかさを出し、崩れても目立たない色を選択
高松:アイシャドウは、粘膜部分を避けてポンポンと乗せていきます。使う色は、崩れても汚くならない、肌馴染みのいい色がおすすめ。今回は春らしくコーラル色のアイシャドウを選びました。また、ラメを重ねて華やかさもプラスしていますが、グリッターのように大粒のラメだと目に入った際に刺激を感じやすいので、粒の小さなものを使いましょう。

秋山:アイシャドウパレットに付属しているチップをそのまま使い続けている方も多いと思いますが、雑菌が繁殖しやすいのでこまめに取り替えましょう。外出前だけ使っている場合は1か月に1回、外出先でも使う場合は毎日、洗浄か交換をしましょう。洗う場合は食器用の中性洗剤が油分も取れておすすめです。
高松:道具のメンテナンスが面倒な方におすすめなのが、ペンシルタイプのアイシャドウです。先端部分を拭くだけでリセットできるので便利ですよ。
どこまでならOK?症状を配慮したアイライン、マスカラの塗り方
秋山:花粉症の症状がある方は、粘膜部分へのアイラインはNG。ドライアイの症状があるときもアイラインは描かないようにしましょう。
高松:アイシャドウのみでも気にならない方はいいですが、症状の軽い方でどうしてもアイラインを引きたい場合は、粘膜部分にかからないよう目尻側だけに引いていきましょう。色は黒よりも茶色っぽい色味のほうが、涙で崩れても汚く見えないのでおすすめです。

高松:マスカラは、毛先を中心にサッと塗ります。まつ毛の根元から何度も重ね塗りすると、マスカラの繊維が目のなかに入りやすくなってしまいますので、毛流れを整える程度にしておくことが大切です。
ビューラーを使う場合は、まつ毛を傷めない程度に軽く抑えます。使ったあとは汚れをしっかり拭き取ってくださいね。ゴム部分に溝が入ったら、交換のサインです。
秋山:ちなみに、秋頃は夏に受けた紫外線のダメージと乾燥により、まつ毛が抜けやすくなります。日頃からまつ毛美容液などでケアをして、毛流れを整えておくようにしましょう。そうすると、花粉の時期にメイクボリュームを抑えても、きれいな目元がつくれます。
メイク完成!髪をまとめて花粉が顔まわりにつかないようブロック

高松:目元のケアを考えた、花粉の時期におすすめなメイクが完成しました。華やかさが足りないと感じたら、チークやリップなどでどこか一部分でも色を入れて調整しましょう。髪型は、目元や顔に髪の毛がかからないよう、ハーフアップにセット。清潔感のある雰囲気にもなります。
秋山:髪の毛はサラサラの状態でなるべくまとめ髪にすることで、花粉の付着を防ぐことができますよ。また、メガネをかけることで花粉をおよそ半分にまで削減できるといわれています。外出時、目深にかぶれるつばの広い帽子とセットで花粉を防ぐのもいいですね。
高松:花粉の時期はメガネをかける方も多くいらっしゃいますよね。ほどよいフレーム感があるメガネを選ぶと、目力も自然とボリュームアップさせることができます。

帰宅後はすぐにメイクを落として。落とし方やケアで気をつけること
――最後に、花粉の時期のメイクの落とし方や注意点、そのあとのケアについて教えてください。
秋山:家に花粉を持ち込まないためにも、玄関前で髪の毛や衣服についた花粉を払い落としましょう。衣類に除菌消臭スプレーをかける習慣がある方もいるかと思いますが、花粉にスプレーの水分がついてふやけると、弾けてアレルギー物質が出てきてしまいます。そのため、まずは乾燥した状態で花粉をはらいましょう。

秋山:帰宅後はすぐにメイクを落としてください。低刺激性で、洗い流したあとも肌がしっとりするような保湿力のあるメイク落としがおすすめです。洗い流す際、目に必要な油まで落としてしまうと、バリア機能が低下して花粉症が悪化しやすくなってしまうので気をつけてください。
なるべくこすらないことが大切ですから、泡でやさしく汚れを浮かせて、35℃くらいのぬるま湯で落とすといいですね。
メイクを落としたあとは、乾燥を防ぐために化粧水、乳液、アイクリームなどを使い、しっかりと保湿しましょうね。
――目をこすり、異物が目に入ってしまった場合はどう対処するといいでしょうか。
秋山:涙に近い成分でできた目薬をさすか、洗眼薬で洗いましょう。カップ型の洗眼薬は、目の周囲に付着した汚れが目に入ったり、皮膚が荒れたりする場合があるのでカップを清潔に保ってくださいね。
――どのような症状が出たら、眼科を受診すべきでしょうか?
秋山:まぶたが腫れたり、切れたりした場合は、眼科を受診しましょう。早く治すためにも、症状が強く出てしまったらやはりメイクは控えたほうがいいですね。

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