症状を知ろう 頭痛 頭痛と上手に付き合うために 頭痛のタイプを知って、つらい痛みに対処しましょう。 あなたの頭痛はどのタイプ? 04 薬剤の使用過多による頭痛 症状を知ろう 頭痛 頭痛と上手に付き合うために 頭痛のタイプを知って、つらい痛みに対処しましょう。 あなたの頭痛はどのタイプ? 04 薬剤の使用過多による頭痛

薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)とは?

鎮痛薬に頼りすぎると
頭痛が慢性化する

月に1~2回の頭痛ならわざわざ病院へ行かなくても市販の鎮痛薬や処方された鎮痛剤を飲めばよい、というのが日本において一般的な認識かもしれません。しかし、頭痛がひんぱんに起きる人が、そのつど鎮痛薬を連用していると、それによって頭痛を慢性化させてしまう恐れがあります。

1日4時間以上の頭痛が月に15日以上(1年に180日以上)出現するものを「慢性連日性頭痛」といいます。

朝起きてから夜寝るまで頭が痛いという状態が1カ月も2カ月も続くので、患者さんにしてみればこれほどの苦しみはありません。このような場合は、「慢性の片頭痛」「慢性の緊張型頭痛」「薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)」の3つの可能性が考えられます。

診断に当たっては、「市販の鎮痛薬を1カ月に15日以上(薬にカフェインが含まれている場合は10日以上)飲んでいないかどうか」をチェックします。もしこれに当てはまれば、それは薬によって起きている「薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)」の疑いがあります。

薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)の原因は?

月に10日以上鎮痛薬を
飲み続けている人は要注意!

「薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)」とは、アセトアミノフェンや非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs=Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs)などの鎮痛薬、トリプタン、複合鎮痛薬(鎮痛薬とカフェインの合剤など)、エルゴタミン製剤などの薬を常用することで起きてくる頭痛です。

頭痛持ちの人は、またいつ頭痛発作が起きるかわからないという不安があるため、痛いときはもちろんのこと、頭が痛くなくても予防的に薬を飲んでしまいがちです。「今日は大事な会議があるから、前もって薬を飲んでおこう」とか、「今日は友だちとコンサートに行くので、頭が痛くなったら困るから薬を飲んでおこう」などという具合に薬への依存がエスカレートしていく傾向があります。すると薬の量が増え、効き目が持続する時間も短くなり、やがては、痛みの水面下で脳の過敏状態が増大し毎日のごとく痛みを敏感に感じとってしまうケースがあります。これが「薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)」です。

「毎日、朝昼晩、市販の鎮痛薬を買って飲んでいるけれど、全く痛みがとれない。もしかしたら脳腫瘍ではないか」と不安になって頭痛外来を訪れる人も少なくありませんが、それは「頭痛が起きたら鎮痛薬」ということを長年続けてきて、正しい治療を行ってこなかったからという場合がほとんどです。

「毎日、朝昼晩、市販の鎮痛薬を買って飲んでいるけれど、全く痛みがとれない。もしかしたら脳腫瘍ではないか」と不安になって頭痛外来を訪れる人も少なくありませんが、それは「頭痛が起きたら鎮痛薬」ということを長年続けてきて、正しい治療を行ってこなかったからという場合がほとんどです。
「薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)」の診断基準は、月に15日以上鎮痛薬を飲んでいる場合となっていますが、実際には月に10日以上飲んでいる人は要注意と思ったほうがよいでしょう。特に無水カフェインを含んだ鎮痛薬は依存性を招きやすいので気をつけたいものです。

とりあえず飲んでおこう…
おかしいな?と思ったら専門医へ
OTC医薬品を飲んでも症状が改善されない場合や、明らかに深刻な病気と思われる場合は、服用を直ちに止め、すみやかに医師の診断を受けましょう。悪化した場合は他の疾患や合併症が考えられますので、医師や薬剤師の指示を仰ぎましょう。また、妊娠中の場合は服用前に主治医にご相談ください。

監修
医学博士/東京女子医科大学 脳神経外科 頭痛外来 客員教授/
獨協医科大学 脳神経内科学 臨床准教授(兼任)
清水俊彦(しみずとしひこ)医師