トラネキサム酸はアミノ酸の一種で、じんましんの治療や出血を止める目的などで、医療の現場でさまざまに用いられる成分です。
1979年に肝斑の改善効果について文献報告されたことで、肝斑の治療としても用いられるようになってきました(保険適用外)。現在は、このトラネキサム酸を主成分とし肝斑改善を目的にした薬もOTC医薬品として登場しています。
肝斑には内服薬や外用剤ほか、さまざまな治療法がありますが、皮膚科医で肝斑治療で広く第一選択とされているのはトラネキサム酸の内服薬です。

トラネキサム酸は、抗炎症・抗アレルギー効果や止血効果をもつ成分で、湿疹、じんましん、扁桃炎、口内炎、止血剤などの治療に幅広く用いられています。また、この効果により医療用医薬品としてだけでなく、総合感冒薬(かぜ薬)やはみがき粉にも使われるなど、身近なところで活躍する、安全性の確認された成分です。そして、新たに肝斑の改善効果が知られるようになってからは、肝斑の治療に内服薬として処方されてきた(保険適用外)実績があります。
肝斑が発症するしくみを見てみると、シミの元であるメラニンを作り出す細胞「メラノサイト」を活性化するはたらきが高まっていることがわかっています。そのメラノサイト活性化因子のひとつであり、肝斑発症に影響を与えていると考えられるのがタンパク質分解酵素のプラスミンです。抗プラスミン作用をもつトラネキサム酸は、メラニンが作られる前の段階でメラノサイトの活性化を阻害し、肝斑の発症を抑えると考えられます。
トラネキサム酸を主成分とした医薬品は、臨床試験の結果、肝斑への有効性が認められ、2007年にOTC医薬品としてはじめて肝斑への効能を取得し発売されました。OTC医薬品は、全国の薬局・ドラッグストアで手に入れることができます。
老人性色素斑などのシミにおいて、できてしまったメラニンを除去するにはレーザー治療が用いられますが、実は肝斑にはレーザー治療は不向きといわれています。過度の刺激は肝斑を悪化させることがわかっており、レーザー治療の場合、その後の炎症性の反応でかえって肝斑が悪化する可能性が指摘されていますので注意が必要です。
紫外線は、肝斑を悪化させる要因のひとつです。1年を通して、室内外ともに紫外線対策は欠かせません。また、ストレスとのかかわりも指摘されており、十分な休養や睡眠も必要。規則正しくバランスのとれた食生活も心がけたいものです。さらに、内服薬で改善を目指す時には、用法・用量をしっかり守って正しく服用することが重要。肝斑を治すためには、普段の生活でできることを着実に実行することが大切です。





