賢者の仕事、賢者の健康

Vol.2脳がちゃんとしてないと、人生はうまくいかないんです。
脳科学者澤口俊之先生 インタビュー(後編)

日本ではまだまだ脳科学が日常生活に活かされてないんです。

− まだまだ誤解も多いということでしたが、メディアが盛んに取り上げたり多様な関連商品が出たりすることもあってか、この10年来、脳科学に関心を持つ方も増えていると思います。先生のお考えとして、なぜ脳科学というものが近年これほど注目されるようになったと思われますか。

澤口それはわからないですね。ただ、ジワジワではありますが、脳科学の知識が生理学の知識も含めて広がっていくことにより、「結局は脳がちゃんとしていないと人生がうまくいかない」という認識が世界的に共有され始めたということは言えるでしょう。高齢化社会ですから、認知症への関心の高まりというのも一因かもしれません。

事実、欧米に関しては脳の知識がかなり広まってきており、どうやれば脳の老化が防げるかといった知識も世間一般に浸透し始めています。1980年代以降、反射や知覚だけでなく、思考や感情、人間関係、仕事の能力やマーケティングといった事柄まで脳科学的アプローチで研究できるようになり、テクノロジーの進化で脳の活動の様子が見られるようになったため、心理学や経済学などほかの学問領域からの参入が活発になったということもあります。

つまり、人間生活の日常的なことに関して脳科学が説明できるようになっているんです。ところが、脳科学の先進国であるにも関わらず、日本では脳科学的知識と方法がなかなか生活に活かされていないという現状があります。特に応用されていないのが教育学の分野です。脳科学的教育法は、欧米ではどんどん取り入れられているのですが、日本には教育系で脳科学を教えるところがないんですね。

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