賢者の仕事、賢者の健康

Vol.2脳がちゃんとしてないと、人生はうまくいかないんです。
脳科学者澤口俊之先生 インタビュー(後編)

疑う、試すを繰り返す。科学者というのはそういう仕事です。

− 先生ご自身はどうなんですか? 脳科学に関する様々な研究成果のお話をうかがってきましたが、脳を効率的に働かせるために何か取り入れてらっしゃるんでしょうか。

澤口なんにもしてません(笑)。そもそも物理学者や数学者をのぞいて科学者にその質問は不適切かもしれません。なぜなら、科学者というのはあらゆる研究成果を「疑う」ものだからです。

我々がもっとも信用するのは、書籍でも日本語論文でもなく英語の原著論文ですが、原著論文にしても大学院生のときから、「論文というのは必ず批判できる」「批判しなさい」という訓練を徹底的に受けているんです。自分の論文に対してもレビューアーから必ず批判が来ます。あるいは査読で修正を求められる。

自分で書いた論文に関しては愛着がありますから、「見逃してくれないかな?」と思う気持ちもあるんですが、優れたレビューアーなら弱いところを必ずついてきます。ですから、自分の論文も客観的に批判できないとダメで、そこも訓練されています。

もちろん信頼性の高い論文もたくさんありますし、有酸素運動に関してはずっと昔から有効性が証明され続けていますから、さすがに間違っているとは思いませんが、それでも疑ってみるんです。科学者というのはそういう仕事です。人には科学的な方法論をあーだこーだ言ってますが、私本人はやってません。しかし、必ず試してはみます。一応やってみて「それで?」ということの繰り返しですね。

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