賢者の仕事、賢者の健康

Vol.4サッカーって“毎秒がプレゼン”みたいなとこあるんですよ
中村憲剛氏 インタビュー(前編)

黙々とやったことはないですね。思ったことは口に出すタイプで

− チーム全体に目端をきかせるという意味では、会社でたとえると管理職的なポジションですね。

中村まあキャプテンでもありますから。そこで心がけているのは、「試合に勝つ」ということに対しての妥協は一切しないこと。

みんなに要求もしますし、その分こっちに跳ね返ってきますから、自分もやらないといけない。ポジション柄色んな選手に声をかけますね。「こうやったらいいんじゃない?」って。向こうから反応があればディスカッションじゃないですけど、やり取りも重ねます。考えてみると、黙々とやったことはないですね。思ったことは口に出すタイプで。

「相手が何を考えてるか?」を聞かないとモノゴトってうまくいかないと思うんです。「たぶん、こうだろう」と思ってやってたら、全然違うことを考えてたってよくあるじゃないですか? 言葉ひとつかけるだけで、よりスムースに進むことってけっこう多いんじゃないかと。

もちろん、こっちが言いすぎると年下の選手なんかはしょげちゃったりというのもあって、言い方やバランスは気を付けますよね。「そこはうまくやらないと」っていうふうに思ってますけど、気を遣いすぎて自分がモヤモヤしながらやるのはイヤなんで。

「なに言ってるの、憲剛さん?」っていうリアクションならそれはそれでいいし、「あ、そうだな」って気付いてやってくれるならそれもいい。どっちにせよ言わなかったら変わりませんからね。僕、チームで最年長なんですけど、下は二十歳前の選手もいるんで、彼らがよくなるためには「嫌われてもいいな」くらいの覚悟でやってます。

− 会社の上下関係にも近いところがあるのかもしれません。

中村まあ、中間管理職みたいなところはありますよね。でも、選手という立場では僕らみんな一緒じゃないですか? 若いからいいとかベテランだからいいっていうのはほとんどなくて、「使えるヤツ」が試合に出るわけですから。

チームの中にそういう選手が多ければ多いほど勝つ確率が高まりますから、「使えるヤツ」を増やしていかないとダメなんです。だからちょっとさぼってたり、抜けてたりすると、つい言っちゃうんですよね。「そんなんでいいの?」って(笑)。

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