賢者の仕事、賢者の健康

Vol.4サッカーって“毎秒がプレゼン”みたいなとこあるんですよ
中村憲剛氏 インタビュー(前編)

試合中は「チームが助かること」と「相手がいやがること」を考えてます

− 中村さんは川崎フロンターレに加入して14年目とうかがいましたが、無理かもしれないパーフェクトを何年も追求し続けるのは、しんどくないですか?

中村いや、逆ですね。だから面白いんですよ。できちゃったら面白くなくなると思います。

サッカーって同じシチュエーションがほとんどなくて。晴れの日、風の日、雨の日で違うのはもちろん、芝生が長いとか短いとか、水をグラウンドにまくとボールがスリップするとか。チームや相手のメンバー、自分のポジションが変わることでも全然プレーが違ってきて、「同じ試合」っていうのがないんです。そのことで常に新鮮な気持ちでいられるから、これまで続けてこられたんでしょうね。

− どんな仕事にも通じることですが、そうやって新鮮な気持ちを持ち続けられるのも才能だと思うんです。若い頃は新鮮な気持ちで仕事に取り組めていても、ベテランになるにつれ「慣れや惰性に流されるケースもあるのでは?」と思います。中村さんが新鮮さをキープし続けられるのはなぜでしょう?

中村それはやっぱり小さい頃から「サッカーが好き」っていうことに尽きるのかもしれませんね。あと、自分のプレーに沸いてくれる人たちがいるっていうのも大きいです。「キマった」と自分で思えるパスが出せて、スタジアムが沸いた時にゴールが入ったりすると、もうたまんないですよ。その味を一度知ってしまうとやめられないっていうか、どんどんやりたくなっちゃって。

− ここで素人感全開のご質問なんですけど、試合の時って何考えてるんですか。

中村いやー、いいですね。これはオレも頑張って話さないと(笑)。新鮮です。新しい何かが引き出されそうな。

試合の時、何考えてるか? うーん……大前提というか土台にあるのは、やっぱり勝つことですよね。当たり前ですけど。そこから逆算して、その日のチームや自分のコンディション、相手の調子のことなんかも。あと、ゴールが入ったりするとゲームが動きますから、その後の試合の流れとか。そういうのをずっーと考えてますね。

自分は中盤の選手なので、FWの選手やDFの選手より、全体をオーガナイズすることに意識が向かいます。「今、ちょっとチームの流れよくないな?」っていう時は、あえてスローダウンしてみたり。逆に相手が意気消沈していて「行ける!」ってなったら、ガッとスイッチを入れたりとか。簡単に言うと、「自分たちのチームが助かること」と「相手が嫌がること」を考えてます。

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