不眠

不眠の原因

1.どうして症状が起こるの?

睡眠は、私たちが生きていくうえで欠かせないものです。ところが、心配事があるときや旅行先で環境が変わったときなど、一時的に眠れなくなって困ることがあります。睡眠を妨げる原因には何があるのでしょうか。また、質の良い睡眠はどうすれば訪れるのでしょうか。

  • 不眠の原因はどこにある?

    • なかなか寝付けない、夜中に何度も目が覚めてぐっすり眠れない、そんな不眠の症状は、過度なストレス、生活リズムの乱れ、生活環境の変化など複数の要因が重なって起こるとされています。

      不眠の主な要因
      心理的なストレス 次の日に重要な試験や仕事があるなど、不安や緊張があると眠れなくなることがあります。
      眠らなければ、と強く考えすぎて、床に就いたときに緊張してしまい、眠れなくなる人もいます。
      体内リズムの乱れ 交代制勤務や時差などで生活のリズムが乱れると、眠れなくなることがあります。
      外の光を浴びることや、食事、運動などの日中の活動も体内リズムに関係するため、日中の活動が足りないと眠れなくなることがあります。
      環境 音や光が気になったり、温度や湿度が快適でないとよく眠れないことがあります。
      刺激物 コーヒーや紅茶などに含まれるカフェイン、たばこに含まれるニコチンには覚醒作用があるため、寝る前に取ると眠れなくなることがあります。
      アルコールを寝る前に飲むと、夜中に目覚めやすくなります。
      加齢 加齢により、睡眠の機構が衰えてくるので、入眠時間が遅くなり、眠りが浅くなり、昼夜のメリハリがつきにくくなります。体内時計が前進して早寝早起きになる傾向があります。
      からだや心の病気 かゆみや痛みを伴う病気(アレルギー疾患、糖尿病、関節リウマチなど)、苦しさを伴う病気(高血圧、心臓病など)、頻尿を伴う病気(腎臓病、前立腺肥大など)などがあると、不眠につながる場合があります。また、うつ病などの精神疾患も不眠と関係しています。
  • 眠っている間も睡眠は変化する

    • 人間の睡眠は、レム睡眠とノンレム睡眠の2種類にわけられます。健康な人の典型的な夜間睡眠パターンをみると、まず脳を休ませる深いノンレム睡眠から始まり、朝方に向けて徐々に浅いノンレム睡眠が増えていきます。その間に約90分周期でレム睡眠が繰り返しあらわれ、徐々に1回ごとのレム睡眠時間が増加した後に目覚めます。
      深いノンレム睡眠を上手にとれると、質の高い眠りになります。

      レム睡眠

      レム睡眠のレム(REM)とは、Rapid Eye Movementの略で、眠っているときに眼球が素早く動いている状態です。眠りは浅く、からだは休ませながら脳は働いており、夢はこのときに見ます。

      ノンレム睡眠

      ノンレム睡眠は脳波活動が低下し、からだも脳も眠っている状態です。睡眠の深さにしたがってさらに4段階にわけられます。段階1は電車の中で駅を乗り越さずに眠れる程度、段階2は隣の人に首をもたせかけてしまう程度、段階3、4は熟睡した状態で多少の物音では目覚めません。深いノンレム睡眠のときに成長ホルモンが分泌されます。

      一般的な睡眠のパターン

      一般的な睡眠のパターン

  • 睡眠のメカニズム

    • 人間が、毎日規則正しい睡眠リズムを繰り返すのは、からだの状態を一定に保つため睡眠をとろうとする力(恒常性維持のしくみ)と、日中はしっかり覚醒させようとする力(体内時計のしくみ)という2つのメカニズムによって成り立っています。

      恒常性維持のしくみ~睡眠欲求~

      恒常性維持のしくみ~睡眠欲求~

      私たちは、起きている間に次第に疲労が蓄積されると睡眠欲求が起こります。睡眠欲求は目覚めている時間が長いほど強くなりますが、いったん眠りに入ると急速に減少します。からだの状態を一定に保つため、眠りの質と量は溜まった疲労に合わせて調節されます。その人が必要とするだけ睡眠をとると、睡眠欲求は消失して、自然に目が覚めるしくみになっています。徹夜のあとなどに深いノンレム睡眠が多くなるのは、このしくみのためです。

      体内時計のしくみ~覚醒力~

      もう一つ睡眠のメカニズムに関わる覚醒力は、睡眠と覚醒を調節する働きを持つ体内時計が大きく影響しています。体内時計から発信される覚醒力は決まった時刻に増大し、その後、就床時刻の1~2時間前頃からメラトニンというホルモンが分泌されると急速に低下して入眠を促します。これら以外にもさまざまな生体機能が協調しあいながら質の高い眠りのために作用し、朝方になると覚醒作用を持つ副腎皮質ホルモンの分泌が始まり、健やかな目覚めを迎えます。
      なお、睡眠を促進する作用を持つメラトニンは、明るい光の下では分泌が停止することがわかっています。そのため、電気を消した暗い部屋で休むことは、メラトニンや副腎皮質ホルモン分泌を妨げないだけでなく、睡眠をサポートする生理機能の面からみても重要です。

  • 眠れない日が続くとどうなる?

    • 次の二つの症状があると不眠症と診断されます。

      1. 1ヶ月以上夜間の不眠が続く
      2. 日中に精神や身体の不調を自覚して生活の質が低下する

      不眠症は、大きく4つのタイプにわけられます。まず、寝つきの悪い「入眠障害」、眠りが浅く途中で何度も目が覚める「中途覚醒」、早朝に目が覚めてしまう「早朝覚醒」、そしてある程度眠ってもぐっすり眠れたという満足感(休養感)が得られない「熟眠障害」です。

      日本睡眠学会による不眠症の定義

      入眠障害
      :夜間中々入眠出来ず寝つくのに普段より2時間以上かかる
      中間覚醒
      :一旦寝ついても夜中に目が醒め易く2回以上目が醒める
      早朝覚醒
      :朝普段よりも2時間以上早く目が醒めてしまう
      熟眠障害
      :朝起きたときにぐっすり眠った感じが得られない

      この様な不眠の訴えがしばしば見られ(週2回以上)、かつ少なくとも1ヶ月間は持続すること。不眠のため自らが苦痛を感じるか、社会生活または職業的機能が妨げられること。なお精神的なストレスや身体的苦痛のため一時的に夜間良く眠れない状態は、生理学的反応としての不眠ではあるが不眠症とは言わない。

      不眠の状態が続くと、十分な休息がとれずに倦怠感がとれないだけでなく、意欲低下、集中力低下、抑うつ、頭重、めまい、食欲不振などさまざまな症状が現れ、生活の質が低下することがわかっています。さらに最近は、睡眠障害が生活習慣病にかかるリスクを高め、症状を悪化させることや、その発症メカニズムが明らかになりつつあります。不眠の症状がある人は、十分な睡眠をとっている人と比較して、糖尿病になるリスクが1.5~2倍に上昇するほか、高血圧、肥満などのリスクも高くなることがわかっています。

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